ドラマー用ヘッドホン(一部準緊急)
先週は望まぬ災難に遭遇して間が開いたがそれはさておき、成果としては従兄の先生が購入したVIC FIRTHの新ヘッドホンのプチ体験だった。
彼も教室のTwitter等でレビューしつつあるが、この期に一度これまでの俺体験を少しまとめてみよう。
ここでの俺のウリは、音響屋・音楽家の両方だと勝手に思ってるが…。
珍しくとっとと行くがVIC FIRTHはSIH1から2へ移行したみたいだが、外見はイヤーカップ(外側)の模様が変わっただけだった。
値段もほんの僅かな上昇だけだし、大きさ・重さ等にも差はみられない。
しかし音は別物って位違ってて、音色は硬いが低音高音のバランスはまともになっていた。
これがもたらす利点は「Bassがまんま聴ける」処で、リズム隊として低域バランスを取るのが可能になった点だろう。
先代のは高域中心で「アタックの聴き取り」はどんな楽器のも優れてたが、Bass Drum・Floor Tomと低音楽器の「低音のバランス」は不明だった。
なので超爆音君とか巨頭君以外の一般用途には激奨なのだが、俺の場合はこの2つともあるのでそのまでは不適合だった。
あと数ミリヘッドバンドが長いか伸ばせれば、ベストポジションへ持って来れるのにだった。
因みに俺の体は父親が大正生まれだったからか基本設計が古いみたいだが、帽子のサイズが格別大きい訳でもない。
だが兎に角頭のてっぺんから耳迄の距離がチト長いらしく、VIC FIRTHのだと最長にしても耳たぶが圧縮されて厳しいのだ。
であるから俺みたいな人には1にKOSSの古典タイプ、2にDIRECT SOUND辺りが候補となる。
次にサイズから音量へ行くが、古典KOSS以外には実は若干の不安要素があるのだ。
新しいの程高能率なので特別なAmp等無くても充分鳴らせるのは良いが、耐入力の余裕があまり無いのである。
VIC FIRTHのを調べると新旧どっちも最大入力100mW・能率110dBだったから、最大音圧は130dBとなる。
遮音型なので耳の健康も思えば妥当な値だが、アベレージは30mWなので124.77dBとなってしまう。
このアベレージを日本語化すると「耐連続入力」で、実使用時はこれを「絶対値」としないと破壊の危険が芽生えてしまう。
それでも耳瀕死レベルなのに何故かっつうと録音時の「未加工音源」等がソースの場合と、低音域の遮音性能が争点となって来るのだ。
実用上の問題から軽さは大事なんだが、軽いとどうしても低域遮音性能がかなり低下してしまうものなのだ。
で更なる事情として人には同音量でも周波数の高低でうるささが異なってる処で、これは人耳耐入力とも比例している。
低域遮音性能が高くないからこそ大きく鳴るってのは理屈に合ってるが、これと「実用上の理屈」は実は一致しないのだ。
以前のでは幾ら上げてもどうせ低音は聴こず高域がうるさくなるだけだったから諦めて貰えてたが、今度のはちょっと上げれは聴こえるのである。
それでうるさくないのもあって「前より大音量」にしちまう可能性もあり、その面ではマージンが減ったのと同じなのだ。
現行新品入手が可能なのの中で低域遮音性能で唯一勝ってるのは、古典KOSSで型番はQZ99だ。
古典頭・非常識爆音対応且つ異常高耐久だが、デカいは重いは能率高くない(102dBでVIC君達より-8dB)はと何かと面倒だ。
遮音性を除けば旧標準!?のPRO4AAも適してるが、太鼓演奏に用いると耳の健康は保証対象外かもだ。
それでも叩かれてる眼前で録音モニタ等をするにはPRO4AA一択で、「兎に角聴こえなきゃ」の人無視仕事のみ優先みたいな状況には他では無理なのだ。
それが極一部の者には悲報でまだQZ99は巷で売られてるが、KOSSのサイトからは姿が消えていたのだ。
重さと音色のショボさが災いしたと思われるが、遮音性能では断トツブッチギリで現況代替候補は皆無なのである。
ここで準年寄りの特権を生かして過去体験を例示して行くが、ヘッドホンの遮音性能には大別して2つの要素がある様だ。
最初は「入れ物」で、これは俗にイヤーカップ等と称されている。
人が装着するのに限界はあるが、ここがゴツイ程特に低域を遮断出来る。
近年の技術を駆使すればかなり丈夫に作れる様になってるが、軽いと例えば超低域の殆ど振動みたいなのには無力なのが分かって貰えるかだろうか。
その昔Keith MoonがLiveでの「同期演奏」時に用いてたのがPioneerのSEシリーズで、ショーケンこと萩原健一がTVドラマオープニングで被ってたデカいヤツ等だった。
時期によってKOSSやBOSEのも使ってた様だが、どれも大型でゴツイのばかりだ。
因みに彼の職場The Whoはギネスに載った事がある位の大音量である。
そしてもう1つはイヤーパッドで、こっちは材質・加工技術等の関係か近年の物程高性能だ。
但し掛け心地・肌触りは格段に良いものの、反面耐久性ではかなり昔のより短く感じられる。
しかも大抵近年のはパッドの劣化が遮音性能劣化に直結してるので、幾ら見栄えを妥協しても済まされなくなってしまった。
歴史的有力参考例として現物体験が無いので程度不明だが、昔Beatlesが使用してたのの名前が漸く判明した。
英国のSG Brown Type Super Kだそうで、興味のある方はググってみとくれやす。
以前どっかで触れた気もするがこれの特徴がとても気になってて、何とイヤーパッドが「2重」になってるのだ。
何しろ当時は細密技術が今より無かったから現代比では恐らく低能率で、次善の策だったらしきは拭えないかも知れない。
簡単に言うと外側のパッドはオーバーイヤーで内側のがオンイヤーとなってて、前者は耳を外から包む・後者は耳に乗るって意味だ。大昔のだから見掛け程大したもんじゃなさそうだし掛け心地も二の次っぽいけど、それだって1重と2重では流石に同じにはならないだろうからだ。
現代で近似状態を再現するならイヤープラグ(工事現場等で利用されてるヤツ)とインナーイヤー(耳の穴に差し込むヤツ)併用となりそうだが、普通の音楽鑑賞以上の音量でのインナータイプ使用は俺的にはご法度だ。
これも過去記事重複だが「空気のクッションゼロ」で耳の安全が保障出来るのは、囁き声レベルと思っとけば確実だからだ。
耳穴の容積等微小に過ぎぬが、それだって突っ込むか否かでは倍以上の差が出るものだ。
そして振動板面積がスピーカでは数十センチなのがヘッドホンでは数十ミリと桁違いで、こうなれば「数cc」の差だって響いておかしくないのである。
100と80なら大差無いが1と3だったらって相違で、極論すれば有りと無しでは大違いなのは誰でも認める処でしょ。
結論的にはKOSSだって買ったままでは役不足があり、それは自前魔改造で補っている。
具体的にはユニットの表裏が隔られて無い為、逆相で低音がスポイルされていたのである。
これを下図の如く工作して簡易分離した処、以前より低域が聴こえる様になった。
近年のこの状況は古代人!?へは切捨て無視の差別とも感じられるが、商業的に成立するニーズが無いのではやむを得ずかもだ。
しかしそれでもせめて「素材」位は残して欲しいもんで、それが古典的なゴツく重いイヤーカップなのである。
耳に合せるには楕円形が良いがそれ自体を自作するのは流石に困難で、既存の物の小改造が現実的だと思う。
また別観点でも留意されたいのが音質で、普通の意味でだけなら新しいの程良好ではある。
だが極限音量時では一概にそうはならず、例えば小音量で聴き取り良好なのは往々にして大音量になると硬過ぎとなる。
これは継続時間の長さでも同様で音色が硬い程疲労も高くなりがちで、それを無理に我慢するのも難聴へ直結している。
残念乍ら現況新品でこの部分が合格点のはたった1つ以外皆無になったが、良く言えばそこ迄無理に鳴らす必要が無くなったと解釈出来るかもだ。
けれどそれで小さい方優先で大きい方が置き去りな感じで、デフォルト音量が大きい分野にとっちゃ退化である。
俺知りでこれがクリアされてるのが前出KOSS PRO4AAで、最早これだけになってしまった。
最後に因みにだが、誰でも出来る確実な難聴対策だ。
感覚が麻痺してからだと無理だけれどそれ前なら、「ウルサかったらウルサくなくす」のが基本だ。
巷では音量ばかりが論じられてるが、実際には音色もそれに遜色無い位影響しているのだ。
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