エレキGuitarの歪み①
今更系のお題が得意みたいな拙ブログだが、近年のエレキ歪み音に魅力的なのがご無沙汰と感じられる。
オーディオ的にはどれも中々イケてるのに、どうも個性だとかムードなんかが全然足りないのだ。
そこで例の如く独善的だがその原因を探って行く。
最初に思い当たるのは、Effector依存度が高過ぎるせいってのがある。
昔と違って今は歪み系は何でもあるし、繋ぐだけで出来上がりが多いのは一見便利だろう。
だが裏を返すと繋いだ楽器や奏者の影響力が僅少化してるとも言え、何だかEffector様だけが神みたいじゃありませんか。
これの何が不味いってば半ば歪み自体の音色が固定な処で、それではまるで打込みで音源を選ぶしか無いのと同じになってしまう。
今時打込みが苦手って人は半分は気のせいで、だったらスマホを持ってないんだろうねと問いたくなる。
因みに俺は打込みはまあまあ得意だが、ガラケー所持歴すら未だに御座居ません。😢
何をやるにもそれなりの学習と慣れが要るもんだが、打込みはある意味頭だけで音楽を演れる方法だろう。
一方一々弦の張替えなんかの手間が掛るGuitarがまだ生き残ってるのは、ある意味手と感性だけで音楽が演れてしまうからだと思っている。
言い換えれば機械:人力とか自動:手動とかで、非機械側の手間が許容される中には自由に出来るのも含まれてる筈なのだ。
それが前述みたいになって来ると阻害され、普段はどうあれやはり基礎や歴史を誰でも少しは知っとくべきだと思ったのだ。
要はAmpで歪ませてみるのの事で、知れば知る程「便利過ぎる歪み系Effector」の弱点・欠点を痛感するだろう。
これに際し歪みの音色の作られる原理とか、要素についておさらいだ。
更にこれに際しエレキの歪む前の音から行かせて貰うが、その時の音は生ギターより低音高音は沢山出せたりもするが資質的には同類だ。
今日俺的には歪ませエレキはヴァイオリンに匹敵するメロディー楽器と認識してるが、それは音の余韻を長く出来る様になった為と思っている。
メロと云ったら王道は先ず人の歌声だと思うが、長い音・伸びる音が限度はあるが自由になる。
それが歪ませない内は無理だったから、対応出来るメロに制限があった訳だ。
この長さ以外についてが今回扱う処だが、歪ませで起こる音色変化とその調整である。
元が歪まない時に適した音色なので、Guitarなら歪ませると大抵はバランス的に低・高音過多となる。
生では小さかった成分が、感度が上がって聴こえる様になる。
逆に元から大きかった部分は、歪む事で大凡一定レベル以上には大きくならない。
これを実用的にするには多過ぎるのを適宣「削る」のだが、その加減がその人の腕の見せ所であり個性となるのだ。
歪み自体もやり方で数種あるが、上記の音色調整みたいに無限にありはしない。
また削り方にも大別すると2種あるが、歪ませる前か後かである。
無論両方の組合せもあるが、原点的にだと基本的に前しか無い。
それは電気楽器Ampが当初は歪ませて使う想定が無かったからで、Amp回路の後段へ行くほど歪み出すからだ。
事の初めは低出力なGuitarを繋いでも所定の音量が出せる為に、入力感度に余裕を持たせていた処だ。
それをわざと歪ませたまま使おうとしたのがコロンブスの卵だったんだが、その信号経路を辿ってみよう。
エレキ本体の出力はどうしようもない程微弱で、真空管時代は増幅が一段やそこらではどう頑張っても歪む程信号を大きくは出来なかったのだ。
電子素子の進化で半導体のトランジスタは球よりは増幅率が上がったが、それでも最低2段は無いと無理だった。(ジミヘンなんかのFuzzが該当)
たった1段でも手に負える様になったのはずっと後の、集積回路(ICオペアンプ)登場以降だ。
それ等の流れもあってトーン後掛けは後年になってからが主体だが、僅少な例外がVOX AC-30辺りだ。
こ奴はパワー段に「Cut」って名のツマミが付いてて、かなり大胆に高域を削るのも可能な様だ。
他のと違った回路のお陰で高反応だが若干ノイジー、要らない時はついでに雑音も減らせそうと考えてなのかは知らないが…。
トーン先掛けの特徴は調整次第で歪み方も変られる処だが、音色と歪み方のせめぎ合いって制約はある。
一方後掛けは音色と歪みを独立して加減出来るが、歪みは殆ど深さしか変えられないのと高域を絞った時に「歪みの高域成分」も一緒に減ってしまう。
加えて軽く歪ませた場合に弦によって歪み度合いが違っても、Amp側でそれを解決する手段が通常はほぼ無い。
そんな訳で最初にAmp歪ませ体験をするなら、敢えてOverdriveチャンネル等が付いて無い真空管物が学習するには最適だ。
「もっと歪を」でFuzzを用いたジミヘンも常にOnでは無く、結構古典MarshallのAmp歪みだけの使用箇所も多い。
メタラーにとってVan Halen以上の歪みはAmpだけじゃ無理って制約はあるが、最初からEffectorだけに行ってしまうと本筋が学べなくなってしまう。
自由だとある意味キリが無いので、その人に合った加減が見つかる迄はかなり面倒だとは思う。
だが何処にも売って無い他のと違うEffectorを自ら作れて、尚且つ使える好みの音に仕上げられるならもう立派な楽器屋さんだ。
歪みをEffector頼みでもオリジナルサウンドにするにはこれが必要で、さもなくば同じのを持ってるどっかの誰かと殆ど同じ音しか出せないのだよ。
どうせ他と大差無いなら今だったら打込みがお得、一度完成させてしまえば絶対にトチる心配が無いんだからさ。
お馴染み180°転換論だがこんな今だからこそ人力を選ぶなら、機械依存率を下げられる程良い意味での差別化が図れるのではないか?。
人次第で認識差はあろうが例え好みや所望の音に届かなくても、Effectorは無くてもエレキGuitarは本体とAmpがあれば楽器として成立する。
無いと困ったりもするから重要だけれど、それ故やはりEffectorは楽器では無いのだ。
万一Effectorを上位に置けば、楽器や演奏側に必ず妙な不都合が生じるの請合いだ。
世間に極マイナーな俺体験ではあるが、知った上での方がEffectorをより上手く使えるのも確かだから。
<つづく>
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