ドラマー用ヘッドホンⅡ
前回のをもう少し踏み込んでみるが、それにしても公表スペックの規格がまちまちで不便なもんだ。
もしどんな使い方をしても平気なんならそれでも構わんが、設計の新しいの程「余裕」が少な目傾向なので弱る。
そこで代表的なのの一部を表にしてみた。
感覚表現については個人差もありそうだが例えと思って貰って、それより比較の為にドラマー用じゃないのと製造終了品が入ってるのにご用心だす。
先ず終了品がSIH1とQZ99で、前者は新品入手がかなり困難っぽい。
非専用はPRO4AAとMDR-CD900STだが、これ等との比較で「ドラマー用」の傾向が浮彫りになればって魂胆。
価格はサウンドハウスの税込のを参考掲載してるが、同一店舗のなら差の具合が分り易そうって按配。
表上段右側の「感覚的表現」については個人差があるので一例扱い願うが、遮音性能に公表値を載せなかったのは「訳あり」でだ。
メーカーは立場上「最良点」を提示するが、それが使う側に無益になる場合もあるからだ。
ドラマー用と限定してすら太鼓の数・種類・音程がオマケに演る人自体が様々で、真に対応させるならオーダーメイド以外全然無理なのもあるだろう。
次にその右の「深さ」とはイヤーパッドから内部迄の距離で、耳の形によって浅いと被ってる間耳やその一部が圧迫されたりするからだ。
例えば俺は柄が大き目で頭頂部から少し遠いだけだが、従兄の先生はかなり「立った」形だったのを50年以上掛ってこないだ漸く知った。
それで深い程良いかと思ったら本人にはそうでも無かったりとややこしいが、俺自身は無変形で済む物に快適さを感じている。
そして冒頭に記した如く公表値に規格差と詳細不掲載等もあるので、これからする説明も熟読されたしである。
また※注1とあるのは元から発表されてないのを、宅で人柱覚悟!?で長時間連続試験をしての結果を載せといた。
それと耐入力・能率・インピーダンスも載せたのは、これ等次第で必要とする駆動Ampが違って来たりするからなのだ。
では総評へ移るが、この表からも爆音君・原始人以外にはVIC FIRTH SIH2が推奨だろう。
これの方向性としては「なるべく遮って普通に鳴らす」って感じで、これはKOSS QZ99も同系統の原始人向けって感じか。
そして音量を出さない時のHi-Fi度ではSIH2が頭一つリードしてるが、超硬質な音色は並以上に鳴らしたいなら拷問機材化しそうだ。
次に上に該当しない場合(俺とか)にはDirect Soundのが有力候補となるが、最大音量が大きい他に普通のヘッドホンアウトでそれを得易いのも特筆だ。
高能率なのに加えインピーダンスが32Ωとなってて、この「32Ω」は各音響機器ヘッドホンアウトの現代標準値だ。
インピーダンスの詳説は難解につきここでは省くが、要はこれの大小でツマミ位置に対する音量が違って来ると思っとけば良い。
例としてAmp側・ヘッドホンとも32Ωのへ64Ωヘッドホンを「そのまま」繋ぎ替えると、大凡半分位の出力に落ちるのだ。
この他に音量は能率にも左右されるので一概には断じられないが、250Ωとかに迄なれば少なくとも大パワーを得るのが「条件付き」になるって事だ。
参考掲載したKOSS PRO4AAではもうヘッドホンアウトでは役不足で、真価を発揮させるにはスピーカアウトの方が好結果な場合もある位だ。
この件の詳説も長くなるので過去記事等へ譲るとして次は重さだが、ご覧の通り1つ(PRO4AA)を除きやはり遮音性能を稼ぐには重さへの妥協は要る様だ。
因みにこの例外もそうしたのは遮音以外の目的での重さも含まれてるからで、決して無関係ではない。
それからその左隣の「ユニット[mm]」とは発音体の直径で、今回は大音量時の性質に関係が出るのでの掲載だ。
大きい音はその分空気を沢山揺さぶらないとならないが、それには口径が大きい程有利そうなのは自明の理だろう。
それで同じ音量が出せたとしても違いが出るが、小さいと主に歪率等で不利となる。
因みにⅡでオーディオでは普通歪率は誇示されてるが、スピーカ・ヘッドホンとなると急に非公表となっている。
本来とても問題となる点な筈だが前者は設置環境差を危惧してか、俺知り過去で公表されてたのはTANNOYと業務用JBLの一部位だ。
ヘッドホンは耳直だから尚更大問題なのだが一般人の実感と測定値が必ずしも一致しないせいか、これは俺知りではKOSSが唯一だ。
実体験的に特に大音量時に「マトモな音色」で鳴ってくれるのはほぼKOSSのみで、それが俺が固執し出した一因になっている。
並の音量でなら近代のとか定番CD900STが頼れるが、爆音再生時は定番君ですら少し「違う顔」となってしまう様だ。
だから聴こえるだけで済めば良いが、技師として爆音録音モニタを要する際に正確さを期すならPRO4AA一択となっている。
前から逐次述べてるが、そもそも人耳の性能が音量で変化してしまって一定に収まってくれないもんなのだ。
<つづく>
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