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2018年12月20日 (木)

コンプレッサー(リミッター)の話し⑤ 「ムラを減らしたい、が…」編

久々の続編だが今回は敢えて太鼓はお休みにして、エレキ(Guitar・Bass)に特化してみよう。
Rock系だと同じ音が短間隔で続けて弾かれるのは、弦系のバッキングが典型例じゃなかろうか。(所謂ジャ
ジャジャジャ)
この状況はすぐ前後に比較対象があるので、ムラがあると検知し易そうだ。

音色・密度の他にここを安定させたくて近年J-POPでは兎に角コンプとなってる様だが、俺的には無駄若しくは害悪となってるのが大半と感じられる。
どうも「何がムラなのか」をはき違えてる様に思われるんだが、この点から考察して行こう。
その始めは言わば何処迄機械演奏に迫る必要があるのかで、安定・正確度では物理的に絶対に適わんって前提があるのを肝に命じといて貰おう。

リズム(タイミング)についてはコンプは無力なので、これは弾く方を頑張るかPCに頼って修正するしか無いので今回は除外。
ほら、もうこの時点で機械:人では人に勝ち目が無いですね。
けれど人耳に美味しいムラっつうのもあってこれ人間様しか出来ない技だが、それが所謂「ノリ」って奴ですな。
勝てるとしたらここが勝負でせう。

少々ややこしくなるが人耳にと物理的な正確さは不一致部分があるので、本当に追及するなら達人化してショボイClick等捨てちまうしかない。
だが多くの場合ポピュラーにそこ迄の精度は不要で、それより注力すべきものが盛り沢山だ。
この面では楽曲を聴くのに、聴き手に負担が無いレベルが達成されれば合格だろう。

特別気になる様な凸凹が無ければOKって事だが、その代わりってんでもないがアンサンブル全体でそうなっている必要は大いにある。
ここが俺的第一懸案で、楽器単体毎での配慮では不足で最悪時は無意味だって処だ。
つまりアンサンブルに於ける各楽器音量のバランスが意図に反し不用意に変わると、その中で目立った或は隠れたヤツがトチったかと聴こえるのだ。

現代の一般聴取環境は結構厳しいからそれへ対応させるには、音量はなるべく一定な方が良いのは確か。
だから兎に角コンプ…じゃ駄目で、音色等次第で物理的同音量が人耳にそうなるとは限らないのを見落している。
その上人耳自体が個人差の宝庫でもうお手上げ…、物理的観点では御名答ではあるが。

しかしある意味「細かい事は気にすんな」のポピュラーでは、最大公約数的なのを確保出来れば実用上無問題だ。
ってさっきからのだと「どっちよ」ぽい論調だが、であるからして機械(メータ等)でなく飽く迄人耳で加減をすると解決するのだ。
その精度は演奏集団の腕次第だが、技師側でもっと気を付けるべき点があると思っている。

技師は任務全うの為少しでも良い音を追及するが、奏者達に聴こえてるのと違い過ぎるのを拾ってはいけない。
が、余程気を付けないと大抵はそうなってしまいがちだ。
奏者側も強弱やバランスが全然演ってた時の耳のと違うのに、
美しいからってそれをOKテイクにしちまったらアカンでっせ。

現代では多くの場合パート個別の挿替えが可能なのもあって、録ったのを試聴する時自分の単独でしか聴かなかったりしてしまう。
その段階でOKと思っても、バランスの確認がお留守になってるのだ。
集団音楽では個人の力量より全体が問題なんだから、バランスが駄目=それだけで没テイクと考えなきゃヤバいんす。

また生楽器みたいにダイナミックレンジ(最大・最小音量の差)が広く、Micがこの面でその出音に追従し切れて無い場合には補填コンプはあった方が良い。
だがエレキで特に歪ませてるヤツは、少なくとも物理的には殆ど出音の音量が最初から一定なのだ。
なので音量面ではこれにコンプを掛けても何の効果も出し様が無く、関係性があるのは音色に少々なだけなのだ。

処でJ-POPにとても批判的な俺だが、今の若者に対してこの点ではほぼ批判は無い。
メジャー配給の元締めはクソオヤジ共で、特に音楽をロクに知らん癖に勘違いして分かったつもりで威張ってる奴等へ向けてのものだ。
ってのも形はどうあれ歴史・経緯は体験者しか発信出来ないんだから、知らせて貰えん分は後進者にはどうしようも無いんだからなぁ。

てなこって本件に関連する部分を今更だが、エレキの歪みのおさらいだ。
昔の球Ampには「歪み機構」は非搭載で、過大入力or過大出力に依って得ていた。
この場合歪み出してからは音量の上昇は僅少化するが、それでも少しは変化があった。
良く言えば高反応だが悪く言やムラが出易く、奏者が腕不足だと歪み方さえ不安定になる。

その次が所謂コンパクトEffectorで、最初のはFUZZだった。
これもアナクロなアナログ回路なので多少の差は出たが、昔の球Amp歪ませよりは最大音量の変化が更に少ない。
これから先進みしたDistortion系となると、安定度は素晴らしいが音量的強弱は基本的に一切受付なくなっている。

人耳には音密度・音色の変化を音量変化と感知される場合もあるが、物理的な最大音量の変化は起きていない。
歪み系Effectorは上記の点で人耳を一瞬騙す作用は持ってるとも言えるが、それが必ずしも人耳や奏者の都合通りとはなってくれない。
コンプレッサも漸次進化してるものの機械なので、基本的に物理量しか取り扱えない。

では
Effectorを使えば諦めるしか無いかっつうと音量的強弱が要る時はフットスイッチでOffにしたり、他の目的に適したEffectorに切り替えればOKって道が残ってはいる。
それが近年は派手さを求めたか深く歪ませたがる輩が増えた様で、
音量的強弱が出せないのばかりを並べてる光景を良く見掛ける。
であれば音量的ムラは物理的には存在しないので、コンプを掛けても安定感に何も貢献しないのだ。

アンサンブル全体の均一化を図りたいなら、生-無歪-歪みの順でコンプに有効性がある。
先ず生楽器での注意点は前述の如く物理的と人耳の音量の非同一性で、バランス的にアタック音が強いとコンプは大きく働く。
だがこの手のパーカッシブな音は音程感が普通のより少なく、それをコンプで更に潰せばもっと音程感は減っちまうのだ。

極端表現すれば何かの音が鳴ったのは分かるが、人耳にはもう何のとかどれの等は殆ど分からなくなってしまうのだ。
アンサンブルってルールがあると倍音は一旦置いといて、基音の割合=ほぼ各楽器の音量バランスとなるのである。

エレキBassは純生では無いがこれの影響が一番出易く、単体での音量均一が場合によってはアンサンブル内では全く無効になったりする。

リズム隊がこんな具合にも拘わらずGuitarを妙に安定化させたら、どんどん差が広がるだけで全体としてはムラムラになるだけなんじゃい。
しかもこの現象はフレーズ・音程・組合せで無限に変化するので、耳からの情報を頼りに手加減する以外バランスが取れる方法が無いんですわ。
それを無理にコンプでまとめようとしたら、「ノイジーで劣化が激しくリズム不安定な打込みの出来損ない」にしかなりませんですの。

<つづく>

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