Speedkingよもやま話⑫1足3連余談
今週従兄にとある外国人の踏み方の質問を受けたが、それは変形足首ダブル(ヒールトゥ)であった。
何処が変形かってば普通の2連打なのにカカト→爪先と順番が一般的なのの逆なのに、2打目が決して非力にならないのが珍しかった。
従兄は選択ミスで俺言い「足首ダブル」でかつて逆順に慣れてしまい、必要なパワーを得るのに難儀した為苦手意識を持ってしまっていた。
力を意識すると今度は速度面が一層不利になるが、スライドが体質的に苦手だったのもあって半ば脚は放置プレイ化していた。
それに一条の光明を見出したかの如くだったから大いに興味を持った様だし、普通なら見落としそうなのにも気付いたらしい。
これの秘密を述べるに当り誤認回避で「足首ダブル」のおさらいをしとくが、強弱無視で単に2つ鳴らせれば良いんなら順不同である。
だがCloseを意識したり色々「条件」が加われば、「演り易い」とかもっと言えば「演れる」順番の制限が出て来るものなのだ。
一例として上記「Close意識」について述べると、次のような現象が起こる。
普段の単打との差を極小化しようとすると、どうしても必要な時以外は足の何処かがフットボード等から離れなくなるだろう。
この時ダブルでもカカト(腿に依る脚踏み)を先にすると、1打目後の爪先は上がっていない。
Close意識なので当然の結果だが、これが為どうしても2打目動作の開始が遅延気味になってしまうのだ。
特にアップヒール常用だと一段と顕著に出て、1.カカト降ろして→2.爪先上げて→3.それから漸く踏むと随分な迂回になる。
これではパワーは勿論それ以前に速度面で不利で、ダブルストロークにする意義すら薄れてしまう。
では何故順番が違うトゥヒールだとセーフかっつうと、以下の如くになるからだ。
1打目を爪先とすると特にアップヒールならカカトは「上がったまま」なので、素早い足首の脱力をすればそれだけでもうフットボードが上がってくれるのだ。
少なくとも奏者意識的には「踏む前に上げる」が不要となり、身体の動作数のみならず脳の指令系統の方も「時短」化される。
加えて「爪先踏み前」には猶予が取れるので、パワーを出し易い踏み方へ持ってくのも容易になって来る訳だ。
普通の現代ペダルでは所詮パワーでは爪先がカカト(脚)には勝てぬが、Speedking等の骨董系でバネ弱になって来るとその差はかなり縮小する。
昔だって歯切れではClose優位なのは一緒だが、PAレスで肝心な「低音」が補償不可となれば優劣も逆転する。
それで「楽にOpen」が得やすいとか他楽器の音量が今より小さ目な昔では、足首由来の爪先踏みが優位に立つので道具側も意識せざるを得なかったからだ。
これ以上続けると何だから詳細は過去記事参照願うとして、本件の核心へ向かおう。
一見只の逆順に見える今事例のヒールトゥだが、自称専門家の俺分析では違っていた。
実はトゥの方が普通ではなく、俺言い「超速1足3連」(Slide)の3打目と同じ踏み方となっていたのだ。
核心の核心に触れるが、要は爪先踏みの動力源が足首のみじゃなく「膝」等を利用するとこう云った芸当が可能になるのだ。
これも詳細は俺別言い「Slide Triple」過去記事参照願うが、通常誰だって足首より膝の方が力は強いもんだ。
殊に足首とハイブリッドとなれば脚を大人1人とすれば、子供でも2人掛かりになれば対抗の可能性も生まれるって感じだ。
普通のヒールトゥならカカトが上がっていても平気だが、動画の主の2打目時は必ず「カカト接地」状態から為されてるのがその証拠だ。
膝動作で爪先を下げられるのは「カカトが突っかえてる」からこそで、足首関節とカカトの先端に多少なりとも距離差があるからこうなるのだ。
理科的表現をすればカカト=支点・足首=力点・爪先=作用点となっていて、力点の動力源が膝である。
厳密には腿の筋力も使ってるかとか各部の力のバランスはってのもあるだろうが、体格差もあるのでそこ迄の追及は各個人毎じゃないと無意味だと思う。
俺自身の意識は「下へ」であるが、今回の件で若干の見直しにもなった。
それは爪先上げ時には「下へ」より「前へ」の方が有利なのが明かだからで、自身の脚を無視してフットボードばかりを凝視してたからかも知れない。
俺がこれのキッカケを得たのは「Slideの延長」で、元々膝を使っていたし前へ押す発想があったせいで早かったみたいだ。
ってより実際足を前へ動かしてて、「止めなかっただけ」とも取れるか。
尤も指不使用のバチのリバウンドと一緒で数の制約があり、フットボードと脚の両者の長さもあるから3つ程度が実用限界みたいだ。
俺は2連には現況必要性が低いのでこの変形ヒールトゥはほぼ不使用だが、従兄みたいに逆順がフィットする者には確かに朗報であろう。
けれども一番利用率の高い連打では1打目は「16分の裏」が多いので、2打目の「表」時に単打と連打で逆動作となる懸念は残るシステムだ。
フレージングの自由度を考えると手と同様で、平常時「表裏の鳴らす方法」が固定の方が有利に思える。
演りたいのがこれで充足する等条件次第では、1つの選択肢なのも確かだろう。
何しろ全身を使うからか、太鼓演奏は個人の体格差の影響が大きいから。
但ししかしこれ以外の奏法も習得したいんなら、亜流から入れば従兄がした辛酸舐めは辞さない。
例えば1足3連へ行くのは道順がとても複雑化してしまい、習得前の修正箇所からして多くなってしまう。
なので原理的に考察すると次善策ともみなせ、俺的には余りお勧め出来るものではない。
複雑な技を持ち出すのは速度的必然性等があっての事なんで、可能な限り一番簡単な方法を用いるのが良さげに思っている。
またその様な発想にしといた方が、更なる高度化への発展性に繋がるのだ。
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