ドラムのパワーとトーンの関係性考察(三応私的)③
太鼓自体には未だ道半ばの俺だが、Speedking関連に限っては初期に苦闘したお陰でそれなりの体験はした自負がある。
このペダル音色は今でも世間で割と好評らしく異論は無いが、その音色面でアンサンブル内ではチョイと工夫が実は要る。
低音豊富な代わりアタックも柔らか目なので、時としてBassと合わさった時現代一般物よりそれが埋もれ易いのだ。
解決方法自体は至極簡単で、現代一般ペダル時より少しハッキリしっかり踏めば良いだけだ。
が、演ってみると案外難しかった。
少しでも気が緩んだりでもすると全部正直にそれがキッチリ反映される、いやぁ本当に良い楽器で参るわだ。
これを「自覚した耳!?」で聴くと、一流人達のでも物によって少し聴き取りにムラがあったのが分かる。
けれども今迄無意識で耳にしててアンサンブルに不安感を抱かされる様な事は無く、ある意味「気に仕方の問題」なんだと思った。
逆にプロの現代一般ペダル使用物でこれを覚えたのが多々あり、結論的にアンサンブルの為には気持ちの力がとても大きいとなった。
紛らわしい表現補足でお断りさせて頂きますが、所謂「精神論」ではありませんで後程説明致しやす。
分析目的と味わい楽しむつもりでは人耳の聴こえ方が違って来る訳で、制作サイドと聴者の立場差が現われたのだろう。
録音での良い演奏とか技師として良い録音に意識が行けば、ちゃんと全部聴こえてるかに先ず気が向いてしまう。
これがアンサンブルパワーにはマイナスで、楽器もロクに弾けない技師が携わるのは荷が重過ぎる気がする。
J-POPの項でもそうなんだけど、どうも自分が納得出来たのと比べると録音技師の質のせいもある気がすんだよねえ。
俺自身音楽好きでも第一候補が駄目だった場合の保険意図で、かよった音響の専門校も半分は親の意向だった。
今でもその手合いはそこそこ居ると思うし、根底には音楽愛もあるんだろう。
だが近年事情に暗くて何だがその学生時代に音迄は学んだが、音楽自体が授業で出て来るのは遂に最後まで無かったんだ。
少々野暮な言い方だが超難関一流大学と比べたら、専門学校の生徒にはかなりのアホだって混じってるですよ。
それには卒業時に必要なレベルへ持ち上げるには、一流大学より余計に教えとかなきゃイケナイ筈なんだ。
高い方のレベルでは同等かそれ以上の生徒も居るが、反対側は敷居の高さが全然低いですので。
報道関係や通信業務であれば聴き取り第一だが、音楽ではそれが単に物理的なのでは足りず芸術性が要求される。
だから下手すると音楽家以上にホントは才能若しくはせめて適正が要るんだが、日本の学校システムでは紙の上の成績で成り立ってるので無理があるかも知れない。
実際個人事情抜きで学生時代ブラック理工学部生よりもっと暇も休みも無かったんだけど、そうまでさせといて遂に「音楽」は無し。
それが海外の過去の名作では例外無く漏れなく、音に係るスタッフは音楽家の端くれなんですわ。
Beatlesなんか極端でGeorge Martinなんて自ら率いるオーケストラの指揮者が本職なんだもの、どんな突飛な技術だって音楽優先になってて当然なのよ。
でこの点を太鼓へ持って来ると、毎度で申し訳無いがやっぱし道具より演奏の仕方なんですよ。
冒頭のバスドラ案件も瞬間最大では無く、その時その場面で過不足無い音量を出せてるかって事なんでしょう。
つまり分析耳ではアタックが目立って聴こえてるからセーフの現代一般ペダル音でも、音楽耳には実は通用してるとは限らないと。
余談だが過去の実態も漸く極最近知ったのは情けないけれど、Ian PaiceがFire Ballの録音でツーバス演るのにKeith Moonからバスドラ1個借用した話を調べてみた。
何をかってぇと当時普段Paice氏はLudwig・Moon氏はPremierを使ってたから、それなら足の左右の音色が微妙に違うんじゃって疑念をだ。
処がウィキペディアにMoon氏もLudwig持ってたの記載があり、その証拠を当たるとDrummerWorldに写真があって勝手に納得。
実際どれを借りたかは不明だが、彼等のLudwigは組合せは若干異なるも色も含めほぼRingo Starrのセットと同じ物の様だ。
売れ出してからのPaice氏には22ではLiveで・Moon氏はLudwigのは1つしか無くて足りないので、あっバスドラのこってすが録音には用いてもあまり人前では使わなくなってたみたいだ。
色を除外すればGinger BakerのはBDが20と22なので、Ringoの「人間上げ底用!?」20のと録音用22のを一緒に並べて使ってる事になる。
皮にしても’70年代に入ってやっとドットが出る迄は、厚み3種と表面ザラザラかツルツルか程度しか種類が無い。
それで皆さんあんなに全く音が違ったんですからね、少なくとも「楽器分析耳」ではなく「音楽耳」で聴くとね。
これも道具より人の影響の方が甚大だって証拠なんだが、ジャンルや曲にも依ろうがやはり変にちまちま叩いていたのではアカンのでせう。
これは個人特有の例かも知れんが俺は弦が先だったからか、太鼓で出すパワーの「出し方」を理解するのに結構時間が掛っちまってた。
要は瞬間最大より平均のパワーが太鼓には必要な処で、延々演らなきゃなんないとなると力では解決不可な処。
自分にとって現状で判明してるのは、①要るべきストロークはケチらない②力は要らんがキチンと叩くとなっている。
前述の如く動きの太鼓より小さい楽器のせいかもだが、「同じ音が出せるならなるべく小さい動きの方が楽」と洗脳期間が長かった。
物理学的には無駄が無くて正解なんだが、僅かな動作の中で(小音量の為では無く)微妙な加減をするのは却って大変になるのを見落してた訳だ。
フレーズ等如何では僅少ストロークでのフルショットもニーズはあるが、動きが小さくなる程高速化して瞬間的なものとなる。
その狭く短い時間の中でとなると加減なんかロクに効かなくなって当然で、落着いて考えりゃ弦にもEric Claptonの「スローハンド」とかあったんだよねぇ。
※音は沢山で素早いのに見た目がゆったりと見えた様。
無苦労では入手不可だが頭を正しく働かせ乍らだったら、パワードラミングってそこ迄難しくは無いと思ったんだよ。
オプション機能!?のある物ってベーシックなのより大抵高価だから、それを入手するのにその分余計に稼ぐ労力で消耗するですよ。
そんなら練習での疲労が同じ迄かそれ以下だったら、果たしてどちらがお得でせうか?。
道具は消耗品は買い直しだけど、一たび人の身に技が付けばその後はタダで御座居ます。
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