ドラムのパワーとトーンの関係性考察(五応私的)➄
少し遠回りな流れになるけれど、今週した新たな体験が役立ちそうなのでそれから。
お馴染み従兄の太鼓の先生のちょっと困った習性か、一旦終結した筈のバスドラペダル案件で「後出し」事案が発生。
彼が手本としたSimon Phillipsがその当時使用してたのと同一のを持ってたのを思い出したで、それの実験をしたいから付合えってのだった。
先に結論を言うと従兄が踏むと本人とは大違いの音に、俺が踏むとどのペダルでも大して変わらぬ音が出た。
奏者毎に体格も踏み方も違うだろうから当たり前ではあるが、その他に道具の影響度の高低もあるらしいのは改めて実感した次第だ。
そして従兄の場合は却って本人と少し異なるペダルの方が近い音が出せてて、逆に俺だとどうしてどれでも毎度の音しか出せなかったのか?。
分析へ進むがこれの最大の原因は脚重も含め、脚のパワーと速度の違いの様だった。
従兄の先生曰く「太鼓はその楽器が出せる限界音量に近付くと、色んな意味で似た様な音になってく」もんなんだそうだ。
物理的には基音と倍音の割合がこれをもたらしてるみたいで、強い(マトモに)程通常基音率は高くなるものだ。
基音は音色より音程等を司っどっているので、音色差が減少する訳だ。
一方従兄がそうなった主体は力ではなく踏み方の癖が原因だったが、これはSpeedkingで苦闘した過程で確認が取れてるので保証出来る。
Simon Phillipsみたいにするには俺言い「開いた柔らかい脚」から脱却出来て無いからで、目的に対し柔らか過ぎるアップヒールになっているからだ。
本家の参考例ではオープンを「ベタ足」で踏まれてるが、それでないと完全なオープンは特にバネ弱ペダルではとても困難だからだ。
へろへろ蛸アップヒールは美フォームなので無駄力みが入らないのは良いが、打点時の「爪先の離脱」が遅れ気味になる弱点がある。
つまり最初は股関節から指令と動作が順番に爪先へ波及して行くが、その為奏者意識で踏むから上げるへ反転しても爪先にタイムラグが生じるのだ。
結果的に打撃瞬間の長さが僅かでも長目となり、超低音の生成を阻害してしまう。
特にウルトラローピッチではより皮の振れ幅増加と時間延長の許容が求められるが、俺言い「ビータ離れ」の遅さで無意識ミュートしちまってる。
この件の詳細は過去に記してるのでご参照願うとして、結果的に従兄の現況ではある程度バネ強さで早く爪先を排除した方が低音が出るのだ。
しかし俺的には関心し兼ねるもので本来音を出す為だけには要らないバネ反力が加わり、「音を出す為の力」が幾分かでもペダルに横取りされてしまう。
これが音だけの影響ならまだ良いが実は労力への影響の方が大きくて、手に高度な技術があって楽な分従兄は余計踏みたがらなくなりそうだ。
俺が手下手の他にもすぐ脚で誤魔化したくなるのが多分逆現象が起こってるからで、これは長い目で見るとかなりな運命の分かれ道かも知れない。
従兄の場合は本人が何処迄求めてるか不明なのでここでは終りとするが、パワーや低音が欲しければ奏法的には「ベタ足」が最善策だ。
手の方でも下手に無理して小さな(動作範囲が)叩き方はしない方がと述べたが、高度な技術を駆使してなされるそれを決して否定は無い。
しかしもし高度技術が不要な場合、敢えて技術レベルを下げた分を基礎部分の加減等へ振り向ける事だって出来る筈だ。
太鼓の基本的な出音やノリを重視してたらどんなに簡単なフレーズでも暇になんかなりっこなくて、寧ろ数が少なく各音が目立つので余計神経を尖らせる位だ。
一流奏者だと無為に演ってもそれなりに上手いだろうけど、奏者内部を覗けば訓練度の高さが本件では災いし「思ったままが音に出てしまう」だろう。
だから技術面では何も労してなくても、他人に外から見える姿程は気持ちを緩める事が出来ないのだ。
これの典型例が前回記したJohnny吉長談なのだと思ったが、こう云う心持ちがあると奏法選択にも波及して然りとみえた。
上述「不要爪先残り」に着目すると柔軟アップヒールよりベタ足が桁違いに優勢だが、もしかしたら大元の求める音色の願望の「強さ」が現われただけなのかも知れない。
俺はSimon Phillipsの音に対して特に興味は無くどうチューニングしてどう踏んでるかを、先日の実験迄ノーマークで全く知らなかった。
それが蓋を開けてみるとヘッドは穴無し両面張り・Micは内部仕込み・ベタ足踏みと、ピッチ以外はそっくりだ。(※全て我々が参考とした時期)
どうやら常に「ドンッ」とか「ズシン」とかバスドラでは重い音色を出そうとして試行錯誤した挙句、各個人の体格差等以外が必然的に近似になったんだろう。
因みにベタ足は脚上げ面では柔軟アップヒールより基本労力面では不利だが、Simon氏程の達人でも音色の為にわざわざ茨の道を選んでる事になる。
要は所望バスドラ音色がたまたま元から似てた結果なんじゃないかと感じられ、未確認だが従兄のそれは対俺比ではにわか仕込みと伺えている。
もひとつ因みに「踏めれば良い」ならどっちの奏法でも大差無いが確実に「出せる最低音を維持」を最優先にすると、実は柔軟アップヒールの方が過労となる。
その仕組みは確実に速攻爪先離脱させるには、ベタ踏みよりかなりストロークの余裕が必要になるからだ。
音量に不要な領域まで脚を上下させる事となるが、こうしとけば完全脱力で下がり切った爪先も流石にフットボードから離れるって寸法だ。
こうした観点に立てば何故Charlie Wattsがわざわざぎこちなく面倒な叩き方に、長らく固執してるかの理由も少し分かった気になれる。
キャリアの浅い人には実感が持てる話しじゃ無さそうだが、普段どう求めてるかも長い間にはこんな処に迄違いが出て来るとなると全く気が抜けない。
始まりは気持ちの話しだったが奏法選択迄異なって来るなら、実はちっとも精神論では無く純粋な科学的理論だ。
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