ドラムのパワーとトーンの関係性考察(四応私的)④
少なくとも俺の体験ではSpeedkingは爆音面でもかなり優れてるのを述べたが、エエからかんに踏んだ場合は現代一般ペダルより大抵非力になる。
そこへも使い辛さを覚えられそうだが、現代一般ペダルならホントにアンサンブル内で足りてるかの確認が必要だ。
製造者にはちょっと申し訳無いが俺的に正直言うと、9割方今の道具だけでは足りてまへんだす。
これホントは道具だけのせいじゃなさそうだが、音色に騙されて奏者がしくじり易いって事かも知れませぬ。
取敢えずアタックは聴き取れたってんで油断したと、太鼓ってアンサンブル内ではそれで演奏の可否の判断するのが普通らしいからね。
実際体験的にもそれが有効なのは分かるんだけど、どうもこれにも但し書きがあるらしいんだわ。
つまり普通の音色ならOKだが、作為的にアタックが目立つ様にしてあったりするのの場合は該当しなくなって来るみたいなんだねぇ。
ドラマーより他楽器奏者や観客は離れて聴いてる訳で、眼前では目立つのが遠鳴りしてるとは限らないのよ。
太鼓以外の音も含めると体験的に、上記の眼前目立ちはどっちかっつうと遠鳴りしてない方が多かった。
これは高音は遮ってしまえば遮断できるが、低音だと空気的に遮断しても振動成分が通過して音漏れとなる防音の件でも実証されてる。
まあそもそもバスドラムの使命は低音だから極論するなら、アタックだけで良いんならCymbalでもメロタムでも他の何でも構わなくなっちゃうね。
そして通常はアタック音=高音・基音=低音(バスドラの場合は超低音)となるが、両者では指向特性(音の拡がれる向き)に違いがある。
音の指向特性とは音は物理的には空気の震えだが、この震えの空気中での伝わり方が音程の高低次第で異なるパターンに自然となってしまう現象だ。
高音は直線的に伝播するが低音は発音源から全方位へ球状に伝播し、前者は指向性が鋭い・後者は無指向性と呼称されている。
だから元からアタック音がそのまま聴こえるのは特定箇所限定で、ありのまま全部が聴こえてるのはバスドラ打面の表正面だけなのだ。
ドラムセットの客側正面でもハスドラフロントヘッドに穴があったり、それ自体を装着して無かったりすれば胴の中の打面ヘッドは見える。
なので少しはアタックが聴こえる様にはなるが上述「高音は遮られると伝わらない」から「裏面」なので、ドラマー比では全然小さくこもった音となっているのだ。
また多くの場合本番での舞台の配列等では電気楽器アンプは太鼓からはほぼ側面しか見えない位置関係になってるが、これはドラマーに聴こえる他楽器音が実際より低音中心に変化してる事になる。
そう云う位置関係故他楽器奏者が耳にする太鼓音もドラマーより低音中心化してて、各奏者は自分のはアタック音・他人のは基音を聴いて判断・加減する様な状況になりがちだ。
また賑々しいのの中だとアタックが明瞭に越した事無いけれど、鳴ったのが単に分かるのと全体で「ズンっ」とかになるののどっちが大事で必要かなのよ。
これも過去に別稿で述べたが低音てのは空気を沢山揺すらなきゃなんないから、どうしても発音エネルギーが結構要って減らせない。
それでもチューバで最低音を綺麗に鳴らすのよりはマシそうなので、無理に楽しようとしないのが賢明なんじゃないだろうか。
こうしてみると音楽に真の意味で都合の良い道具ってのは最初からフレンドリーなのじゃなく、自分にも他人にも正直なのの方が向いてると思った。
その意味では現代一般ペダルは、ちょっと罪な奴なんじゃないのか。
商業的に買うのは奏者でアンサンブル内の他楽器奏者じゃないから仕方無い側面があるのも分かるが、それでは恐らくモデル寿命が縮まる事だろう。
スタンダードがこれによってコロコロ変わるのでは、奏者の技量向上には負の寄与となりそうで困る。
処で大昔のドラムマガジンのインタビューでJohnny吉長氏の「んなもんは気合を入れて一発叩きゃ音はヌケる」ってのが載ってたけど、当時は只上手きゃそうなるのかなんてタカを括ってた。
今にしてみると実はこれが核心を突いてたの気がしてるが、絶対雑な気持ちにならずに音を出そうとするのが最も効果的なのの一表現だった様だ。
生だからなのか動作が他楽器より大き目だからか理由はまだ俺に分からないけれど、何故か太鼓は他楽器比では悪い意味でのテキトーが一切通用しないのだけは断言出来る。
では演奏がその分大変なのかってば必ずしもさに非ずで、サボりさえしなきゃムキになんなくても平気みたいだ。
個人差次第で俺だけか分からんが他楽器では普段物凄く手抜きしててもいざって時だけ必死こく感じで、そっちは休みは多いが時々大地震みたいなもんだ。
俺みたいに先に他楽器に慣れてると違和感解消に手間取ったりもしそうだが、太鼓はそれで言うなら浮き沈みが余り無い様な感じか。
そこからの太鼓の考えるべき点としては、出そうと思えば他を圧倒する大きな音が可能な楽器って処である。
電気楽器の最大音は機械的限界が絶対だが、生の場合は人次第でそれよりは融通が効く。
つまり足りなきゃ駄目だが大き過ぎも他からは迷惑と、自然と音が大きくなる所より要らん処で小さくなりがちなのへの注意がもっと要る様に思われたのだ。
更に演奏家個人のパワーを誇示したいだけなら瞬間最大のみに心血を注げば良いが、それは聴き手がドラマーだけを注視ししてくれてたらの話し。
そんなナルシス君こそ興味の無い人にも見て貰いたいのが人情で、となれば如何にアンサンブルとその中で存在感を発揮出来てるかが勝負になる。
どぉんと欲しいが他楽器奏者が皆フレーズの都合などで苦心してる時なんかに、太鼓が任せろって感じでビシッと決められれば決定的ヒーローの誕生だ。
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