Speedkingよもやま話④SWIV-O-MATICの踏み心地
前回迄の様に慣れとは時に大変なもんだが、実際のSWIV-O-MATIC(一体型フットボードタイプ)の踏み心地について少し記してみたい。
メカ的な点等では他の研究家の皆さんから素晴らしい発表がなされてるので、踏み心地に影響の少なそうな部分はここでは最小限に留める。
一般的な観点からの踏み心地についてはどうも見当たらない様なので、Speedkingも含め他のペダルとの相違点等については掘れるだけ掘ってみた。
短刀直入に言うとSWIV-O-MATICの踏み心地は、普通と呼んで差し支えのない範囲だと感じる。
昔の設計で片側ベアリングなのもあってか、近年のみたいなの程機械的動きが良くは無い。
しかし演奏には無問題で、以前の俺言い「無駄動き」が無い程度だ。
カムは順偏心(※)なので踏み始めが軽く最後が重くなるタイプだが、バネ強さ自体はYAMAHA FP-702と全く同じ。(以前の簡易計測値)
FPのカムはリニアとここのタイプは違うけれど踏む重さ等は大凡同じで、昔のペダルとしては特に癖があったりはしない。
現代の平均よりこれらはバネが弱いけれど、そこを除けば今でも普通の範疇にあると思う。
※:俺が世間に疎いので適切表現か不明だが、近年の偏心と称されてるのと偏りが同方向なので順とした。
本来ならSpeedking等もっと以前からあったのの方を基準にすべきと思うが、その時代にカムの偏心についてはあまり気に留められてなかったみたいだ。
SWIV-O-MATICで気になりそうなのは一体型フットボードタイプの部分で、従兄の場合はそれが為トゥ踏みがし易いと感じられるそうだ。
但しこれはSpeedkingを仮に10・現代のを1として比較すると、6ぐらいと云った感じで一番適してるとは言い難い。
足首には頻度にもよるが、やはりバネが弱い程有利に働く。
ここからが最近回と重複するが一体型フットボードタイプでもっと気になるのは、ヒール部が一段高くなっている処だ。
従兄はアップヒール系に慣れてるので気にならない様だが、俺みたいにベタ足系主体でヒンジの近くも踏む者にとっては違和感ありありだ。
特にスライドの時にヒール部至近のフットボードを蹴るのは中々難しくなり、通常設定のフットボードの傾斜が緩いままだと困難を来たした。
これについて段差は解消のしようが無いのでそれが問題となると不適合だが、それ以外はフル調整が可能なので「合わせ方次第」と言える。
しかし個人差はあれど往々にして調整箇所が多過ぎる物は一般用途に最適では無く、実演奏までに手間暇が掛り過ぎるとも思える。
もし普通で足りるのならわざわざ労力を使って入手する意義は低いと言わざるを得ないが、特殊条件を持ってる様なら寧ろこれしか無いかもだ。
ここでの特殊とは例えばバスドラに対してフットボードを水平方向で斜めにしたい等の事で、普通なら不安定になってもペダル全体をわざと左右どっちかへ曲げて取付ける等しか手が無い処だ。
またこれは近年のでもどれかを優先すれば他を妥協しなければならなくなるが、ビータヘッドをシャフト長さに依らずに必ずセンターへ持って行ったりが出来る。
当時の他ペダルと比較すると「普通も出来るけど変態が全然OK」となってるので、そもそもがそれらよりは「ニッチ商品」の位置付けだった様だ。
その意味では駆動がリンクやチェーンだったりすると交換の制約が大きいのも、ベルトで単純なネジ止めなのでとても自由で守備範囲が広い。
そう云やプラとフェルトの切替可能なビータヘッドはこれが確か元祖だったと思うが、この辺にも設計思想が窺い知れる。
昔のとしては設計年次が新しい方なので、強度についてはほぼ何の心配もないのも元祖且つRogersらしさだ。
なので個人的感想としては勉強にとか実験になら最適と考えられ、もしかしたらこのペダルのお陰でここ迄俺は何時の間にか色々理解出来る様になったのかも知れない。
尤もかなりメカ好きじゃないとそこ迄弄り倒してたか疑わしく、元は従兄のだったのに俺の方が詳しくなってたのもそのせいみたいだ。
おっと忘れるとこだった、もう一点珍しいのがあったのを危うく書き漏らす処だった。
内容が正にニッチであるがSpeedkingを除く多くのペダルは、ビータかフットボードか大抵どれかが中心からズレてる物ばかりだ。
構造的に仕方無さそうでもあるが、これが左利きメインの従兄にはとても気に障るらしい。
設計者が右利きか若しくはその前提での設計が多い為、左利き使用には「偏り」の向きのせいで著しく支障するらしい。
それが少なくとも従兄が知る限りではSWIV-O-MATICだけ偏りが逆なんだそうで、彼同様の違和感で苦労してる人には重要な選択肢となり得そうだ。
この点が従兄に踏み易いのに、傍目にも一番影響してるのが分った。
俺もFPよりSpeedkingが楽なのはバネのみならず、フットボードが「寄って無い」のが実際都合良く感じている。
SWIV-O-MATICの場合正面から見てフットボードはセンタで、ビータが僅かに左寄りだ。
但しその「寄り幅」が恐らく他のどれよりも僅かで、ビータヘッド高さ調整が可能なので殆ど気にせずに済むと感じられる。
近年のだとシングルペダルでもそのままツイン化出来そうな位、ビータが右に寄ってるのが主流だ。
パワーを徹底追及してます等と歌い乍ら、実際はこんな横をぶってますとはなんとも片腹痛いわな。
« Speedkingよもやま話③SWIV-O-MATICショックⅢ | トップページ | Speedkingよもやま話➄手持ちペダル比較 »
「音楽」カテゴリの記事
「Ludwig Speedking」カテゴリの記事
- 音楽備忘録1842 打倒閉塞感➐(2024.09.01)
- 音楽備忘録1824 楽器業界の行く末⑯(2024.08.14)
- 音楽備忘録1652 従兄記事に勝手に便乗➍(2024.02.23)
- 音楽備忘録1648 従兄記事に勝手に便乗➌(2024.02.19)
- 音楽備忘録1644 従兄記事に勝手に便乗➋(2024.02.15)
「ペダル」カテゴリの記事
- 音楽備忘録1946 音楽でのアイデアの実現方法②(2024.12.14)
- 音楽備忘録1942 音楽でのアイデアの実現方法①(2024.12.10)
- 音楽備忘録1967 楽器音色一般のイメージと実際の違い⓫(2025.01.04)
- 音楽備忘録1907 人力生演奏のススメ➑(2024.11.05)
- 音楽備忘録1842 打倒閉塞感➐(2024.09.01)
「奏法」カテゴリの記事
« Speedkingよもやま話③SWIV-O-MATICショックⅢ | トップページ | Speedkingよもやま話➄手持ちペダル比較 »
コメント