アンサンブルの低音の作り方Ⅱ
引き続きで低高域と中域のバランス問題だが、いつ作られたかの時代性重視ならやはり極力ワイドレンジにすべきだろう。
最近の様な広帯域は過去には不可能で、それはそれは涙ぐましい迄の努力をしても虚しい結果しか得られなかったのだから。
しかしこれを幾ら出来るからって闇雲に追及するのはとても危険で、前回述べた通り現代でも聴取環境は一様にハイファイなのでは無いからだ。
それも再生装置側だけでなくそれこそ本当にそれが置かれた環境に至っては、寧ろ今日の方が騒々しくなって悪化したともみえる。
1つひとつは小音量化してても携帯電話やら何やらで、生活には必要でも音楽に対しては邪魔なのの種類と数は圧倒的に増えたと思う。
エアコンや車のドアの鍵等電波によるリモコンの物は、本体から操縦者が離れてるのもあって確認は「ピッ」とかの音頼みだ。
更にこれは考え方にも依ろうが聴こえさえすれば良いのかで、不要に聴者に聴き取り負担を負わせるのもどうかと思う。
こうして考えて行くとやはり中域主体若しくは、重視するのを外す訳には行かなくなる。
同じ対象物を裸眼で見るのか拡大鏡を覗くのかと云った感じで、意図的特例以外は対象物が違ってしまっては宜しくないのではと思うのだ。
俺が良く知ってる理想的な例としてはPaul McCartney等がそれで、この面でも伊達に世界一じゃないんだなと痛感させれる。
お馴染みのいつものトーンでありながら、新しいのになる程少しづつワイドレンジ化もなされている。
こう云う要点を熟知した人だと楽器・録音の方法等の悪影響は一切受け無さそうで、それはやはりミッドレンジの重要性を知ってるからなんだと思われる。
Wings時代のRickenbackerでは俺は当時中域強過ぎと感じていて、
Beatles後期のより軽薄な印象すら受けていた。
だが楽器単体の音色自体は今一でも彼のメロディックベースはそれ自体がもう曲だったりするので、今では聴取環境を選ばない為の施策だった様にも思えて来た。
思い起こすと確かにテレビやラジオだろうが、カーステでもオーディオでもHi-Fi度以外に違って聴こえる事が無かった。
アンサンブルとして純粋に○○Hzの低音成分が欲しいだけなら別だが、もし倍音を極度にカットすると楽器由来の音色差は僅かとなってしまう。
「何による低音」なのかを気にし出すと、中域の情報量が必要なだけないとならなくなって来るのだ。
低音域のだと「基音に近い倍音」が中域になるからで、特例を除き「基音に特徴が近い倍音」はその倍数が小さい程顕著になる傾向がある。
例としてスラップ奏法のプルの「パキッ」音を解析すると、「パ」が中域で「キ」が高域となっている。
「キ」は何かとこもって聴こえがちなのが補われるし現代的だが、ギターより太く長い弦を打付けた「らしさ」がそこには無い。
これを担ってるのが「パ」で、ギターのそれとは明確な差がある。
一等目立つ部分だけを取り上げると単に「弦を打付けた音」として近似だが、「含まれる」ものをみて行くと異なっている。
ギターでは「ピ」とか「ペ」なのがベースだと「ポ」「プ」等になってて、周波数的には思いの外下の方迄あるのが分かるだろう。
で、この部分はもう完全に中域なのだ。
倍音と名乗るからには実際基音より○オクターヴ上になるし、今時倍音と言えば高域と思ってしまう。(普段は俺も!)
処がその実態は案外中域にも沢山あるし、低音楽器だと音色の基本的個性を決定付けるものは高域には余り残っていないのだ。
常に「あるのが当り前」の中域なだけに案外見落とされ易く、太い音色の根源はここにある。
但し確かに「棲み分け」は考えなければ混濁するだけで、楽器ごとに出しても効果が低い帯域はある様だ。
単独でなら量感が出はするがアンサンブル内となると、個人経験からは電気楽器系の場合200~350と500~600Hz辺りは割と邪魔になるだけで寧ろ少し削ると良い感じだ。
だが好みにも依るが400とか800Hz辺りは太さやタッチ感に大いに関わってる様で、一般的にベースの太さと思われてる100~300Hz辺りは無関係では無いが他への悪影響が大きい。
ギターとベースでは「目立たせる音域」は異なる事が多いけれど、物理・電気的観点だと「たったの1オクターヴ違う」だけに過ぎないのだ。
そして減衰音とは云え電気楽器は生より持続性が目立のもあり、どっちかっつうと削るより部分強調するのが効果的な様で太鼓と比べたら真逆かも知れない。
では具体的にどう整合性を取って行くのかは、次回に過去例を挙げ乍ら説明しようと思う。
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