アンサンブルの低音の作り方Ⅲ
さて今回案件の「中域」についてだが、敢えてその周波数範囲は少々独善的としている。
一般的にオーディオ界等では200~4kHz位とされてるし、楽器の種類によっても捉え方に多様性もある様だ。
しかし音楽系録音に於いては上記のより個人的に低く見積もってて、1kHz位を上限と考えている。
もっと正確に表せば中低域と中高域等と呼べるが、1~4kHz位は全体としての粒立ちに強烈に影響するので弄るのは最後の手段としてなるべく温存だ。
この帯域に元から極度な過不足があれば手直しが要るが、大抵はそれはマイキングの不具合等が原因だ。
なので音色調整の初期段階は「俺言い中域」からで、無論低・高域だって含まれはするがこの領域は環境や曲の条件等で制約される。
また低・高域は目立つので音量と共に間違え難いし、ベースの低いサイドで絡むのは通常太鼓の大きいのだけだ。
強いてこれを系統立てると中域は個性等「好み」で、低・高域はある意味「ビジネス」と考えても良いと思っている。
中域は他のほぼ全てと被ってるから厄介だが、既述の如く特定楽器のモデル差等の個性は主にこの部分に左右される。
素人には判別困難なシンバルでもアタック音の「キン」「チン」「パシン」等位なら分かるが、ここには案外中域成分が作用している。
「低音の作り方」って言っといて中域ばかりとは妙だろうが、何も考えずに低音を増やす前に有効手段があるのを指摘したいのだ。
それは1に各楽器毎にそれぞれに無駄若しくは不要な中域を見極める事で、これらを削ぐと分離度向上にも効果的だ。
これをすると結果的に中より低高が相対的に大きくなるが、これがその2となる。
太鼓の低い側やベースの場合は特に影響が大きい様で、これには人耳とMicの「性能差」もある様に感じられる。
大昔連発してた人耳の弁別能のせいで、聴きたいor聴こうとしてるのだけ感度が自然に上がったりしている。
機械の方は正直な分融通が効かないので、余程○○様専用仕様とでも作られてない限り劣っても仕方無い。
しかし下手に専用度が高過ぎるMicでは制約がキツ過ぎるし、その場の人の気分迄は流石にもう面倒見てられないからねぇ。
又機械側が一定であるのは同状態の再現し易さ等には必要なので、それを思うと面倒でも動くのは人の側だけの方が良さそうでもある。
ではその「不要中域の見極め」の初めを具体的に一言で表すと、特定周波数のみを下げても「音色・音量共殆ど変わらない」のが「それ」だ。
極論的には「出て無い物は下げても平気」だがそれ以外にも、実は「出てても器楽音に無効」なのもあったりするのだ。
つまり「誰も聴こうとしていない部分」があったりするからで、そこは周りの邪魔にもなってるし個性の鈍化にも繋がっている。
一具体例を挙げると、拙ブログ「Speedkingよもやま話⑥従兄所持ペダル比較」での録音結果等が該当している。
Speedkingだけメータの振れが一目盛り小さいのに、実際の出音は一段大きかったあれだ。
機械は正直に最大音を示してはくれるが、それは耳にでは無く飽く迄電気的な部分なのだ。
人耳で感知困難な極短時間のでも出た物は「出た」と表示されただけで、耳に対する音量にはそりよりは時間の長さも必要だからだ。
なので無駄中域判別も「耳」中心で判断するのが大切で、耳が主役でメータは脇役なのを忘れるとロクな結果が得られなくなってしまったりする。
人耳は気分に左右されたりするから何かと不安も伴うけれど、最終目的は「メータを眺めて楽しむ」為じゃないからねえ。
それと無駄中域となると音量は低目な場合も多そうで、それだと最早メータは役立たずだ。
もう1つ注意せねばならぬ点があって、無駄と必須が至近距離の隣り合わせになってる場合がある処だ。
現代ではデジタル力のお陰で帯域の細分化は比較的楽になったが、時として「限界に挑戦」等と云う側面に出くわす覚悟はしといた方が良いだろう。
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