« 楽器の欠点と使用者の立場 | トップページ | アップヒール奏法の功罪 »

2018年8月22日 (水)

Ludwig Speedkingの使い方③

前回俺初号機と対処療法後の2号機の演奏上の差について具体的に触れられなかったので、それを記しておこうと思う。
全く行き当たりバッタリ(俺界隈では失敗が多いので行き倒れバッタリといつも称してるが)ではあるが、Speedkingでのバネ強さによる違いを再体験してしまった。
これ迄の体験では太鼓が違うとかどこかで条件が揃ってなかったのと、トゥヒール系がロクに出来なかったのも今回とかなり違う。
もし宜しければ、別項Bass Drum Pedalの踏み方と合せてお読みくだされ。


対処療法の可否確認の目的での比較だったが、それは大丈夫そうと分かってもどうも労力が違って妙となった。
ちっとも注意深く無い性格のせいなのか「バネ強さは最初に揃えたから」と無視状態で、暫くは気付かず「なんでやねん」だった。
スライドも連続になると少しは差を感じたが、大きく異なったのはトゥヒール系であった。

トゥヒール系だと速度・連続回数の両面でまるで別物って位で、あんまり
大変だったから流石の俺も真面目に点検し直したって程だった。
初号機では普通の8Beat中に6連符のトゥヒールがテンポ140位迄は入れられるのが、2号機だと120でももう厳しくなった。
バネ強さ由来の体験をする度に桁が増えてく感じで、高速化を追及する程これでもかの「まだバネ強過ぎたんだだ。
これでは現代バネ強ペダルじゃ、試す気すら起きなくても仕方無いなと思った。

スライドにしても太鼓からのリバウンドに対するバネ力の割合が増えるせいで感覚が捉え難く、その分制御がし辛くなった。
なので少しでも
Speedkingに興味を持てるなら、バネは弱めるのをしつこいが強く推奨するものである。
バネ弱にしたら得られる利点をここらで並べてみよう。

①力が少なくて済んで超楽
②最高速が上がる
③摩耗が減る
④奏法の選択がより自由になる
⑤太鼓の反応を感じ取り易くなる

では順を追って詳細説明に入るが、①は
本来は言うまでも無いだろう。
人によって今迄の環境のせいであまりにも「脚上げ」に不慣れだとバネを強めたくなりそうだが、俺の答えは「およしなさい」だ。
強めた処で現代ペダルと比べたら所詮蚊の鳴く声程度にしかならないし、摩耗を大いに促進するだけだから。

以前述べた通り
Speedkingは「カム比率」(バネ伸縮距離)が現代の他のより全然短いので、もし打点でのバネ力を同等まで持って行けても今度は別の処が変になる。
凄く強いバネだったらニュートラルポジションではバネ力ほぼゼロでも、打点では強力発揮となる。
それを弱いので我武者羅に
近付け様とすると、ニュートラル付近でもとっても固くなりまっせ。
それでいて打点では、思った程全然強くなんてなってくんない変な踏み心地。

②は名前からすればこれが設計上最大の目的らしいが、やはり重くて強いより軽くて弱いの方が何でも速くなるみたいだ。
現代ペダルと比べたら実際強度も劣るけど、ここでの弱いは踏力の事。
普通速くするには先ず動力源をパワーアップするんだが、無神経にそれをやると前より重くなる。
折角パワフルにしても重いとそこで相殺されて大して速くならず
、それはベアリングとか他の場所でも同じ

しかも動力源が人だと個人差があっても最初から限界値が見えてる、言い換えるとこれをたかが知れてるってか。
そこで昔のアメさん考えた「じゃあ軽くすっぺ」と、を最大限に生かすには何でも弱く軽く「でも速く」が設計の方向と一致してんだわ。

③は油漬け(実際はグリスだが)でも押付けて擦る構造なので、他の普通の構造の以上に抵抗値による差が大きく出ます。
自動車のエンジンのカムと全く同じ方式だが、そう云や新車から走行距離○○kmに達する迄は○○回転以上に上げないでなんて注意書きがあったね。
これはエンジンオイルが十二分に浸透する迄は、摩擦抵抗が高くなるからなんだそうだ。

まあ凡人は俺様みたいな超高速はどうせ出せないから関係無さげだが、他ユーザーの間ても「馴染む迄は本調子は出ない」と語られてる様だ。
尤も製造中止から時間を経てる分新品でも「作り立て」のよりはだいぶ油は回ってそうなので、この面の心配度は下がってそうだ。
けれど調子よく滑ってくれても「擦ってる」事に違いはないから、バネが強いとその分減りが早くなりそうなのは未来永劫変らない。

④は実際の演奏時に関るので奏者にとって大問題だが、悲しいかな現代バネ凶ペダル(もう今日から強を凶て呼んじゃうもんね!!)蔓延で奏法の方が浦島さんに成り掛ってるよ。😢
もしや旧標準ペダルの保有量が少ないせいで本邦ドラマーの足技レベルが低下して、だから誰でもJ-POPなんてなってんだったらホント勘弁して欲しいわ。

俺が手下手なのでそうでない普通の皆はそんなに堪えないかもだが、太鼓演奏で使えるのは基本手足4本だ。
その1/4がロクに何のテクも使えないとなれば、
単純計算だがたったそれだけで全体の技量がもう25%も下がる訳っすよ。
ここへ着目すれば限界に近いハイレベルな手を無理して鍛えるより、無策の脚が向上したら素晴らしいじゃないの。

⑤に至るには④である程度に達しないと分かり辛いかもだけど、普通手の方では余程の初心者以外は誰も皆「反応を体感しながら」演ってるんでないかい。
その手に良く合う様にするには、脚だって同じ若しくは近い感触が得られた方が良いと思うがねぇ。
それとこれも手と一緒だけどリバウンド利用率が高まる程、奏者の労力は減少すんだよね。

もし高度テク不要な場合でも、労力の減った分を表現とかへつぎ込んだりも出来る。
上手下手とか難解単純とは関係無しに良い意味での楽なら、した方が結局それだけでも音が良くなるんじゃないのかな。
演ろうとしてるのは音楽なんだから音を出すのに「只出すだけ」にじゃなく、「もっと良い音」の為に労力を費やすのが奏者本来の使命でしょう。

現代ペダルの常識視点からだと使い方にも半ば指定があるかの如くに映る
Speedkingだが、他の現代ペダルを乗用車とすれば名前に偽り無しのレーシングカーだ。
競技用自動車には走りに直接関係無い装備は付いて無いから、乗用車より居住性等が劣るのは確かだ。
しかし演奏用の道具であって、1日中着用が必須の
下着なんかとは優先事項が違う。

最近のドラムイスにも俺は同様に感じてるが、イスであるからには座り心地は確かに大切だ。
けれどもそれをすると踏み難くなったりするんじゃ本末転倒で、座り心地偏重ならドラムイスの名は偽りになり休憩用イスと改名すべきだよ。
これももし脚じゃ皆どうせ大して何もせんのやからだったら、由々しき事態ですよホンマに。

« 楽器の欠点と使用者の立場 | トップページ | アップヒール奏法の功罪 »

音楽」カテゴリの記事

Ludwig Speedking」カテゴリの記事

ドラム」カテゴリの記事

ペダル」カテゴリの記事

奏法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Ludwig Speedkingの使い方③:

« 楽器の欠点と使用者の立場 | トップページ | アップヒール奏法の功罪 »

フォト
2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ