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2018年8月17日 (金)

Ludwig Speedkingの使い方①

間違い無く名機だが昔ののせいで、今実際に使われるのは昔の(或はからの)音楽の場合が大多数だ。
しかし俺にとっては最早無いと困る道具で、趣味は古いがラップだろうと何だろうとこれで踏んでるのだ。
世間と言っても主にネット上ではあるが演奏実務的観点の情報はとても少なく、ペダルの方に人が合せるのが多いと感じられた。
そこで普段使いしちゃう時の使い方について、僭越乍らこれから記して行こうと思う。

最初は使う上でのSpeedkingの特徴を列記する。
①絶対的強度はやはりそんなに高くない
→保管・移動時等は現代ペダルより注意した方が良い
②セッティングに対する強度は低い
→フープクランプを強く締められない(フレーム側が変形💢)
③演奏時の強度はかなり高い(フットボード・ビータ保持力除く)
→作りが柔な為却って耐衝撃性が現代のより高い
では順に詳細を述べて行こう。

①②については現代ペダルが強固になった経緯も大事なのだが、それは主にツアー途中で壊れて困らない様にした処から来てると云える。
特に舞台本番が始まってしまうと演者はお客さん相手で手一杯(そうならんでも困るが)になるので、機材類は他の者が扱う事が多くなる。
しかしそのスタッフが必ずしも精通者とは限らず、普通の人が普通に扱えば壊れないのだと助かるからだ。

②に関しては「やらかしたかも」の最中の俺だが、限りなく自己弁護臭く思われそうだが「違う真実」をここに挙げる。
それには設計当時の楽器の強度等が大いに関係してて、何処か1箇所だけ桁違いに丈夫にするとその周りを必ず壊してしまうからだ。
当時の対今比では貧弱なフープの破壊を防ぐには、ペダルクランプの締め付けが強過ぎると不味いのだ。

ペダルが壊れても太鼓が生きてたら最悪体やバチを使って少しは音を出せるが、本体が先に逝ってしまったらハイそれまでよだ。
現に宅で’69と’79年製のLudwig 3Plyセットと俺初号機との組合わせでは問題は一切発生しておらず、固定度についても少しだけゴムを貼った(過去記事参照)だけで全く安定している。
それよりドラムラック+
3Plyでとても軽いせいか、バスドラ全体が少し移動する位だ。

現代では固くツルツルのフープが一般的で、太鼓側視点ではどんな強締付けでも割れないもんって事だろう。
チューニングの都合だってあるだろうが固過ぎるフープは衝撃を他の部分にまんま投付けてしまうので、却ってチューニングボルトの緩みを促進させるだけだ。
これはある意味ペダルに不親切なフープで、こうなると強引に力のみで固定するしか無い。

中古入手の俺2号機や従兄ののポストが開いてたのはこれが原因の様で、しかも多分ずっとスペーサ無しで留めてたんだろう。
SpeedkingはLudwigである以上先ず自社の太鼓にフィットさせる為、ご存知の通りクランプが他のフープには深過ぎる。
スペーサ無しって事は左右に支えが無くなってて、
今週の俺よろしくそれを締付け強さで補おうとしがちになる。
だがクランプ可動側の先にギザギザ加工等の滑り止め対策がなされておらず、幾ら締めても少しは滑ってしまっている。

それがどうして太鼓が昔の
Ludwigなら平気なのかっつうと、フープが撓ったり表面の凹凸の摩擦で密着したりして滑らないのだ。
寧ろ下手に
クランプ可動側の先にギザギザ加工等があったらギザギザの山の頭なんかの接触圧が高過ぎて、フープの木の表面が望まない加工を施されてしまうのである。
これも宅のフープにYAMAHA FP時代のだけ「傷痕」が残ってて、最悪の場合この傷から割れたりする心配だって出て来るのだ。

関係のある脱線をして世間常識の確認をしてみると、近年では電車ですら「クラッシャブルゾーン」の概念が浸透しつつある。
万一の事故に対し最初はひたすら頑丈にしてみたが、これは衝突等の衝撃がそのまま乗客に伝わって人の体がもたなかった。
自家用車の方がより軽量化が必要だったので早期に方針転換され、車は駄目になっても極力人が助かる様に工夫してったのの応用だ。

その車に至っては今では屁にちょっと当たっちゃった位では殆ど車に痕跡も残らなくなったりしてるが、これは特にバンパーをわざと柔らかく作ったりしてるお陰だ。
当たれば凹むが簡単には割れず、障害物から離れると「元の形」に戻る。
差し詰め「緩やかな形状記憶」機能を持ってるのと同等で、少し柔だからこそ「後が無事」で済んでいるのだ。
それからすると一部では改善が見られるものの、太鼓楽器界の認識は古過ぎると思う。

しかもかつては上記例の様な「バランス主体」の時期を体験しとき乍らで、残念だが実に馬鹿な話しだ。
只現役現代ドラマーとしては「勝手の違い」を先に知ってないと俺みたいな事態に陥る訳で、それをもし不便と思うなら仕方無い。
但し現代ペダルを古典太鼓に付ける場合立場が逆になるだけで、この手の懸念が結局残る処は留意されたい。
個人差次第だが中々機材が1社の同時期のだけになる事は少なかろうから、程度差はあれどこの問題は避けるより学ぶ方が得策かと思う。

そして③だがこれにもちゃんと理由があって、主流の奏法と履物の変化の影響だ。
靴底が固い(当時)なら無理に力だけで踏もうとしたり等せぬ限り、4本リブ以降のフットボードなら強度は充分足りている。
でも靴底が柔らかいと狭い範囲に大きな力が加わる場合があるので、設計思想からすれば想定外なのだ。

ビータについてはオープンで踏んだり俺言い「閉じた柔らかい脚」であれば、このバカ踏み大王様が幾ら頑張っても緩んだ試しが是迄只の一度たりとも無い。
しかしバネ強現代ペダルでの俺言い「必死クローズ」での踏み方をすると、10発すら持たずに飛んでったりしてる。
どう云う事かってぇとSpeedkingは「摩擦方向の力の耐性が低い」で、極度にずっとビータをヘッドへ押付けてると緩むのだ。

人は呼吸するだけでも体が僅かでも動くが、手や反対の足で色々演ってれば尚更揺れる。
すると気付かぬ内にビータとヘッドが擦れ合っていて、「鳴らす時とは違う向き」に不要な力が働いてしまってるのだ。
これも設計側からしたら想定外で、
Speedkingではクローズするのにそんな無駄力は本来全く不要だからなのだ。

Speedkingの最大のご利益は何より「楽」なのが真髄で、フットボードに足を放置してればそれだけで絶大なミュート力があるのだ。
つまりバネは弱く脚は落すだけと全部脱力で纏めれば良く、腰掛けて足でリズムを取るのをペダルへそのまま持ってくだけで済んじまう。
手だと誰でもなるべく楽したがる癖に、どうして脚だとそんなに無駄な「音にちっとも繋がらない」苦労を皆したがるかねぇ。

<続く>

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