Bass Drum Pedalの踏み方Ⅱ③足の方向編
足の動かす・力を入れる方向なんて今更のお題だけれども、結構誰でも把握の甘そうな点だ。
前回指摘した「無自覚でもフットボード上で足は少しは滑るもの」同様、必ずしも奏者意識と実際の動きは一致してなかったりするもんだ。
手の方でもその道の権威!?たる従兄の先生によれば、「指だけの時も手の甲を無理に固定しない方が良い」と指摘している。
意図的に動かしたら駄目だが、自然に揺れるのを無理に固定するのもバチの動きを阻害してしまうそうだ。
とても訓練された手なら誤差は小さかろうが、人の単一動作で機械みたいに寸分違わずは不可能だ。
その代り常に微妙に加減する対応力では勝っていて、指のムラを手の甲で修正してるとも考えられる。
だから見た目は全体でも演ってるのは指だけが成立してるんだが、足の方なら更に加減が大雑把になるんだから余計にこう云った滑る等の要素が必須になるのだ。
最初はペダルが機能する方向から見て行くが、勿論主体は上から下だ。
横だと掛けた力の行き場が無くてフットボードが下がったりはするが、パワーロスが大変多いし動作抵抗も格段に増加する。
前後方向について後ろはフットボードのヒンジが後端にある為殆ど不可で、前の場合は「動くことは動く」。
しかしこれも物理的に非効率な向きで、スライド奏法等は例外措置だ。
スライドが例外なのは上下が間に合わなくて「仕方無く前」なのであって、この低効率の為に速度が一定以上でないと成立しなくなっている。
次に人の側から見てみてると、一部例外を除き大抵は腰掛けた状態での動作だ。
この例外は楽ではないが立っていると自然と上下主体になるが、座ってる時は気を付けないと「不適切な前」になってる場合が多々ある様だ。
後ろに関してはフットボードをヒンジへ押付けるだけだし、イスから前へ滑り落ちる力も発生してやり辛いのであまり起こらないだろう。
ここで両者を合わせて見てみるが、手のフィンガーストローク時と同様に「踏んだら自然と僅かに前へ行った」なら平気だ。
それはフットボード上の同じ場所に足がある時、フットボードは小角度の回転運動をしてるからそうなる。
フットボードはニュートラル時より打点時は水平に近くなるが、それでヒンジからの距離が微増するからだ。
だがもし意図的に前へ押してもフットボードの可動方向に含まれないので、運良く音を鳴らせた処でアンダープレートの無いのだったらヒンジ部が浮き上がって雑音を出すだけだ。
スライド時ですら無理をするとこの現象が発生するが(体験済み😓)、フットボード位置が正規からズレる為演奏に支障を来す。
なので意図的前へは必要最小限に留めるのが良い様で、極力「上下だけ」と思っておくのが無難だ。
この面でスイベル奏法の難点は外見は左右だが、充分習得出来てる者のはペダル側から見たらほぼ上下のみの加力となってそうな処。
そうでなければペダルがあんなに速くは動けなくて、それでもスライド以上に効率は悪い奏法と云えよう。
もしスライドが出来るならその方がまだ下への力が簡単に掛けられるからで、ペダルはスティックみたいに可動方向がフリーじゃないからだ。
久々の余談!?は手前味噌だが、俺の現行バンドでの話し。
従兄の先生のバスドラサウンドにギタリストから苦情が出た事があったが、一言で原因を言うなら奏法選択ミスとなる。
ミディアムスローテンポの曲で連打じゃ無い時に「柔軟なアップヒール」で踏んだのが不味かったんだが、これは脚の速度が低過ぎたのに起因している。
俺言い「柔軟なアップヒール」は見た目が美しく奏者自身はタイミングが取り易いが、「柔らかい」のは裏目に出れば必要な力も吸収して伝え切れない弱点があるのだ。
適切な速度(テンポ)でずっと動き続けてればその「勢い」で自然に加力されるが、適正領域を外れるとわざと「大袈裟な動きで意表を突いて小さく鳴らす」のと同じ事になってしまうからだ。
もう1つの難点は柔らかい故かなり気を付けぬと脚の重さがフットボードへ伝え切れなくなる処で、勢いが足りない場合はベタ足より却って重労働になる。
だからやはりペダルの基本奏法は「ベタ足」としとくのが合ってる様で、これもSpeedking等の骨董ペダルに限らない。
ベタ足は基本的に単に「脚の重さを全部下へぶつけ様とする」だけなので、余程低く座らない限りはパワーロスの無いシステムだ。
奏者意識は「落すだけ」だが自然と「動く所」へ加力される様に、「自動補正される」と考えて貰おう。
「下へやったのに少し前」とか「指だけなのに甲も揺れる」と同様で、傍目と当事者意識の相違な訳だ。
ベタ足の積りでも速く連打となるに連れ、音を重視してれば「自然と」柔軟なアップヒールに必要分だけなってる筈だ。
これはスライドにも同じ事が言え、飽く迄必要に迫られた結果でないと上手く行かない。
唯一例外なのがトゥヒール系で、これはかなり大袈裟に位意図的にそうしないと成立しない。
大凡タップダンサー以外にとってはちょっと非日常的動作なので、実際は本人の想定より大抵足が動いて無いからだ。
漸く本線へ復帰するが足の方向でも上記と同様で、なるべく単純な動作をすればズレは起こり難い。
不要に複雑な動作は僅かなタイミングの誤差が加力方向の異常につながり、奏者の意図と出音の誤差となって表れてしまう。
常に足とペダルが完全に連動するなら話は別だが、単調な連打時以外は速度も頻度も変化するものだからね。
慣れの問題もあると云えどベタ足が余りにやり難いなら、多分それはペダルが「合ってない」のが原因だ。
もし「そのペダルじゃないとスイベルが出来ないから」等と感じたとしても、スイベル自体もまだ本物にはなり切れて無い可能性が高い。
必要に迫られて「追加」する技は、その土台が充分出来上がって無ければ砂上の石の家状態できっと脆いだろう。
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