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2018年7月25日 (水)

エレキギター修理の話し④

前回の続編だがシールドの仕方の方法についてで、予めメーカーで施されてる例から参考に挙げて行こう。

①キャビティ内に金属製の箱を入れ越ししてるもの
②アルミ箔や銅箔が貼られてるもの
③導電性塗料が塗られてるもの
と大体大まかには3種類ある様だ。

これは歴史的に大凡上記の順番となってるが、技術的要因からと云え様。
先ず①についてだが当時の加工・材料入手性等より、主に真鍮(ブラス)板で作られている。
因みに「キャビティ」とはボリウムポットや切替SW等を内臓する為に、ボディを表や裏等から削って(ザグリ)出来た空間の事。
ボディ材が貼り合せ等になってるのだと、物によっては機械加工の都合で接着前に削られてるのもあったりする。

②は①よりは材料コスト等の点で有利だが、アルミの場合専用のペーストを使わないとハンダが付かない。(①の真鍮だとハンダ付は容易)
それでピックガードの裏等、平面での施工例が主流の様だ。
③はどんな複雑な内部形状にも対応するが、高コストなのが難点だ。
これらの理由から俺個人は、基本なるべく幅の広いアルミテープを買ってそれで工夫して凌いでいる。

経済事情の必然で高価な楽器を所持してないので、幸運な
偶然だがキャビティ形状がそこ迄複雑なのが無いから通用する手ではある。
ご丁寧にホントに部品の形にキッチリ合せて削られてるのだと加工としてはとても立派だが、こう云う面では不都合になる。
それで前回書いたLes Paulでは銅箔テープにしたが、これは必要時にハンダを垂らして電気的に結合する腹だったからだ。

このテープ利用の貼り込みではしっかり接着させる為に付属のヘラで極力空気を抜きながら押付けて行くんだが、幸いこの件ではそれだけで充分な電気的導通が得られた。
銅箔テープの中にはその糊が導電性になってるタイプもあり(②bとしよう)、普通のより当然高価だが確実性が欲しければこちらがより適してるだろう。
導電性銅箔テープまで行くと導電性塗料と価格的にはほぼ同等だが、未経験者でも塗料よりは確実性が高そうだ。

ストラトタイプのシングルコイルピックアップなんかのポールピースはアースされてないのが多いが、指弾き主体だったりすると問題を感じる。
常に体が触れてるかその逆だったら良いが、接触の有無でノイズの感じが一々変化すると結構気になったりするものだ。
こう云う場合は殆ど②bや③が有効手段だが、俺自身は録音に使用するものでこのタイプのは不所持なので未購入だ。

この
ポールピースアースも元からなってないのだと厳密には極僅かでも音色が変化する可能性はあるが、近代設計のピックアップではどれも施されてるのを記しておく。
エレキのピックアップは磁気誘導式なので大きな電源トランス等に接近したら雑音の防ぎ様が無いが、それでもノイズ耐性の不備的弱さでここでもあそこでも弾くのが駄目となるよりは良いと思うのだ。

余談だが
こんな貧民の俺も仲間のお陰で少し前に、超高級シールドの体験をする機会が得られた。
伝達特性に優れるのは当然だったが音色的に例えリニアじゃなくても中々旨味があって、ある意味良いEffector的要素も持ってる様だった。
普通のケーブルの5~10倍と高価だが、それだって楽器を超高価なのに変えるのよりは断然ローコストなので人によったら大いに意義はあるだろう。

しかし
全てを網羅した訳じゃ無いので全部がそうかは不明だが、俺が体験出来たのはどれも衝撃にはとても弱かった。
これはケーブル自体の耐久性とかではなくて、線が何かに当たった時にそれが結構な大きさで音に出てしまうと云うもの。
大人しく座って演奏するなら影響も小さく出来そうだが、基本立って動き回っても演れる楽器に対しては余計な制約があり過ぎると思った。

この手のは言うなればオーディオ的発想で、俺言い楽器工学的には問題ありと言わざるを得ない。
これらを比較して行くと導電性
銅箔テープは高くても¥1万位迄で済むので、コスパは最良だろう。
テープの「継ぎ目」が重なる様に貼りさえすればそれだけで電気的に全部繋がってくれるので、ボリウムポットやSWの金属部分に触れてれば貼るだけでシールドが完成する。

俺自身は更に予算が無いのと既にアルミテープは持ってたのでまだやってないが、シールド効果自体に差は無いし作業の楽さと確実性では
導電性銅箔テープが一択だろう。
最終的にはバランスの問題なんだろうが幾ら奏者本人に快適な音色でも、聴者にノイズの方が目立つ様なら結局音色も評価して貰えないだろうから。
演る者には音楽だが、聴き手によってはもうオーディオなんだよね。

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