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2018年5月 5日 (土)

Ludwig 3ply Reinforcement Drumの話し②

ボディ材の厚みで当然音色差が生じて来るが、エレキ弦楽器と太鼓ではどうも作用の方向が違う様だ。
エレキ弦楽器では「順当」なのだが、太鼓ではイメージに反して厚胴・深胴=太い音に余りならないと感じている。
確かに
厚胴・深胴だと音像はカッチリするんだけど、思いの外低音が目立たなくなった様に聴こえるのだ。
私的勝手な推測では、振動源と共鳴体の「振動方向」が違うせいではないかと思っている。

質量・剛性(硬さ)面等だけなら物理的に大きいの程共振周波数が下がる(より低い音に共振・共鳴)のだが、太鼓だと「余韻は確実に伸びる」んだがアタック音の低音割合は減ってしまうみたいなのだ。
エレキ弦楽器でもしっかりした音色になる程風情(独特固有な響き)は減るものだが、ローエンドは間違い無く増加しているんだがね。
こうなると上記の
相違点位しか「残り」は無く、方向しか考えられなくなって来る。
弦の場合は筐体は平行に存在してるので同一方向の共振となるが、太鼓の革と胴は垂直に存在してるからだ。

もう1つ思い当たるのは、大抵太鼓の革は弦より硬いのもあるかも知れない。
1つの音の中の一番音程的に低い成分つまり基音が、この「硬さ」のせいで弦のより短時間で減衰してそうだからだ。
音のアタック部分は多くの楽器で一番倍音の種類・量共最大になるので、人耳の印象では余韻のの方が低域(基音等)が目立つ。
でも余韻時に源でもう無くなってるんなら、幾ら共鳴率が高くたってそりぁ出る訳がないやね。

また
硬い方が倍音は凄く高いのまで出せるが、基音と倍音の比率では減少傾向にある。
これは薄胴のには振動源由来じゃない倍音もあるからで、振動源側からシビアに見れば半ば「雑音」と同義的とも言える様なもの。
もし普通のGuitarでシタールみたいな音がしたら、雑音が出てるかもみたいに思われるのと似た様なもんだ。
同じ弦楽器なのにシタールだけ故障とか演奏失敗と思われないのは、最初からわざとそうしてあるのを知ってるからだよね。

太鼓も本当はちゃんと音程はあるんだけど一般的にそう認識されてないから、余程ズレたり別種の音じゃなければ楽音と思われるだろう。
だから「聴くに堪え得る音」なら倍音豊富な程らしく思われそうで、BONZOなんかペダル類等の雑音をわざと出してた位だもんね。
するとその奏者が一生涯不要な保証があるの以外、生太鼓はなるべく倍音が何でもやたらと出る方が良さそうだ。

太鼓の音で俺の好みは割とミュートが効いてるのなので矛盾にみえそうだが、厚・深胴では只でさえ少ないのを更に削ると「残しときたいの」迄無くなる事があった。
逆説で
厚・深胴はノーミュートでも散漫にならずに済む良さはあるが、加減出来る範囲の狭さがあると思っとくのが良さそう。

この差が表へ現れたのが録音で、生耳と録音物ではそれぞれが意外に逆に聴こえたのだ。
ドラマーには低音豊富に聴こえる従兄の厚・深胴もいざ録ってみると、想像より案外迫力が無い感じだった。
逆に柔かいが若干軽薄なLudwig 3ply Reinforcementが、録音してみたら低音もたっぷりしっかり入っていたのだ。

どうも生耳で薄胴はその大音量と人耳の特性のせいで、
基音は豊富な倍音に隠されてたらしい。
更に
一番顕著になったのが「遮音型ヘッドホン」を被って薄胴を叩いた時で、「全く別の楽器か」って程生より劇的に重低音のオンパレードとなった事だ。
幾ら遮音型でも低い音になる程中々カット出来ないのは当然だが、それでも
従兄の厚・深胴では「別の」には決してならなかった。

弦より動きの小さい革で低音を出すには、どうやら革の振動特性だけを考えては不足と云う事の様だ。
弦はある程度長さがあれば動いたのが簡単に目視出来るが、太鼓ではかなり大口径かつチューニングが低いのでないと目に判り難い。
で革に大差無いのなら低音の差は胴しか無いとなり、胴自体が震え易いせいとしか思えない現象だ。

理屈的にはシェルの変形は無いのが理想だが、機械的に優れる物は出音も機械っぽくなるのか!?。
もし太鼓の胴が無変形で震えられたら別の結果になりそうだが、革を支える任務を果たすには自由に動かれては困る。
となると「その場」で震えて貰うしか無く、それには微妙な変形を許容するしか無い。

前述の「生での歪み」もどうやら胴のチープさのせいみたいで、胴が「ゆがんだ」からそれで音も当然ゆがんだ=歪んだらしい。
俺としてはこの特質は音色表現には好都合で、特にポピュラー系では音量での表現巾が広く取れないからね。
これもコンプので記した「源音」に関わるので、その面でも大きなアドバンテージだと思う。

これ機械的には間違いなのだが音楽的にはこっちが正解で、昔からのスタイルを堅持してる楽器も多い一因だと思うのだ。
現在までの体験で長所と感じたのは
 ①音色(表現力含む)
 ②軽さ
で短所は
 ③明瞭度
 ④堅牢性
と云った処。

②については俺がドラムラックにしてるのもあるが、バスドラペダルの付替え等が断然楽だ。
③は単純な聴き取り易さについてで、
合奏時の生耳ではそう感じた。
但し録音すると逆転するのは薄胴は他の奏者へ、厚胴は太鼓奏者に忖度でもしてる様なもんなのかも知れない。

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