実際的PAの話し④(狭隘空間での爆音の悩み)
何が辛いって狭い程「防振対策」は大変で、結局は妥協点を見出すしか無さそうだ。
しかも単独楽器の録音に対しては、その時は不使用の他楽器が共振源になったりもする。
今回の発端はベースのAmp録り由来で、最初はスピーカユニットの不具合だった。
さっき漸く修理が終わりそれ自体は良かったんだが、結局は…。
不調の原因を最初は外部(今もそれは残ったままだが😓)で探し続けたが埒が明かず、本体と箱のどちらが原因かを調べる為ユニットを取り外してテストしてみた。
実はこのスピーカユニットはハズレを引いたのか、使用開始から間もなく雑音が出る様になって一度修理している。
このユニットは可動部と磁石部がボルト締結式ので、普通のよりは分解再組立が可能な方式のだ。
しかしボイスコイルのリード線を受ける「内部」の金具が折れて外れたのが原因で、センタキャップを一度剥がして処置後貼り直している。
運悪く購入から使用開始迄に時間が掛ったので無償修理が利かず、普通ならこの構造を活かしてユニット可動部を買って取替える処。
でも幾らも使ってなかったしコイルが焼切れたとかじゃ無いので、出費を惜しんで挑戦してみたのだ。
今回も最初はそこを疑ったが素材が紙なので、流石にセンタキャップの再剥がし貼り直しは厳しそうで覚悟はさせられた。
今度は不幸中の幸いか懸念はハズレてくれたが、何とも情けない原因が判明してそれはそれで中々複雑な心境に追いやられた。
以前掲出の概念図と似てるかは気にせず、左が元の・中が不具合中・右が処置後の断面である。
スピーカ真ん中下に穴があるが、これが無いとコーン紙の動きに「空気ブレーキ」が掛ってしまうからだ。
余計な所に隙間があれば埃侵入等で不都合だが、下手に「完全密封」されるのも上記の如くで困る。
そこでこの穴に金網(丸みのある方)とスポンジ(赤)が嵌め込まれてて、空気だけを通す様になっていた。
ところがスポンジが経年劣化で縮んで穴から外れ(中図)、内部で暴れて雑音を発していたのだ。
これのキッカケが又特異でユニット上向き(下に物を挟んで隙間は確保)でテスト中、「何か音出すと中からゴミが落ちて来る」で分解してみたらばだった。
今回は構造のご利益が漸く利いたのは良かったが、見た事も訊いた事も無い現象でつまらん話しであった。
特殊なので無い限り又劣化の可能性があるのでそのまま更新はせず、金網の外側へ手持ち品を周囲をボンドで固定した(左図の黄)。
単体テストに合格し気を取り直していざ箱へ。
で、全体としての音はあっちでビリビリそっちでガタガタ…、部屋のそこら中が震えて雑音だらけ😢。
狭さの都合でスピーカの箱が床置きじゃないのも不利だが、この狭い処でこの音量(生太鼓と釣合う)となりゃ「細けぇ事」何ぞお構いなしなのだ。
それで私は人間辞めましたじゃなくて、半強制的に方針変更です。
一部のマニアの方なら徹底追及・強制改善も可能かも知れませんがねぇ、音楽の実演を主とするには音響ばかりを優先しては居られませぬ。
何かが「動かせる」状態で置かれていれば、振動が来れば必ずそれなりの音を出してしまう。
それとこれは「継続的大音量低音」限定で、それ以外の爆音なら是程の問題にはなっていない。
Bassの単体Amp録りの必要性が皆無じゃないので、雑音対策は続けるけれどどうにも困難そうだ。
Ampらしさの為には歪む寸前位の状態が一番象徴的な音色になるから、単に音量をツマミで下げるのでは目的から遠のくだけだ。
しかも大音量機な程高音質な傾向があって悩ましいし、音響屋としてはS/N比(音と雑音の割合)的にも「元音」は大きいのが歓迎される。
「狭さ」改善が不可な以上、宅ではBassはLine録りの範疇で工夫する方が効果的なんだろう。
本件もBANDメンバーからの強い要望からだが、パートが違うと理解を得難いものだ。
しかし電気楽器本来の音としてはAmpからのが正統派なのは確かで、「Amp臭いLine」をもっと追及してみるしかなさそうだ。
大した腕でも無いけれどどんなAmpだったら満足出来るかは分かってる積りで、俺だとスピーカに最近ではマイナーな18インチが先ずは欲しい処だ。
だがしかしとても俺では空間にも経済にも全く整合性が無く、とてもじゃないが購入不可能だ。
PAの項でも述べたが何かと「低音は大変」で、コストもかなり掛けない事には仕方無い。
お馴染み変な例えだが、「ロクでも無い録音」でバスドラがそれらしく聴こえるのはどんな物か!?。
答えは単純に「なるべく大きいの」で、低音が拾えなくてもアタックが鈍目とか皮の揺れる感じが大きいのっぽいとかで雰囲気が出せるからだ。
これは最高の録音でも再生時がどうかは不明な場合にも有効で、「ものの分かってる」技師ならこの要素を大抵は盛込んでるみたいだ。
Bassにも共通要素はあるが困った事に太鼓より倍音だけでは表現出来ず、しかも何せ「皮」が無い。
弦はあっても長さの種類は限られ、演奏上の制約も大きい。
せいぜいわざと緩く張って「ベロンベロン」言わせる位が関の山、これだってGuitarでの方がより効果的だしねえ。
低音はスピーカの箱を大きく出来れば有利だが、PA以上に「低音中心」となると箱容積ももっと入用だ。
それも録音を考慮すると雑音源から距離を取れるのが現実的には有効なので、部屋の広さも要求される。
Amp録りしろってんなら広い部屋よこせってな感じ!?、分かるかなぁ~分かんねえだろうなぁ他パートの人にゃ…。
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