実際的PAの話し③(一番省スペースなのは)
音楽人からしたら無いと困るが邪魔なPA、一番省スペースになるのはどんなのだろうか!?。
但しそこは「爆音」かつ「低域再生が減らない」前提のについてで、爆音不要ならパワーアンプ等の方だけで今は対応出来る様になった。
高音用のスピーカは元から低音用よりかなり小型で、それだけでよけりゃ小さくするのはいとも簡単だ。
俺自身空間の都合で「小型を多数」を試したが、前回の如く失敗した。
一番問題になったのは超低音を出そうとすれば音量不足になり、音量を出すと超低音が出せなくなった処でこの2つは相反している。
家庭や自動車内でならとっくに小型化が実現してるのに何故かと云うと、やはりスピーカの構造と音の原理から来ている。
更にその前段階として音そのものについてだが、極度に省略した概念図1で済まぬが上図の左・中をご覧あれ。
左は弦楽器の弦の震えを最低限に表した積りで、赤が開放弦・青が真ん中(Guitar・Bassなら12フレット)を押さえた時の弦の様子。
中はそれをそのまま電気信号に変換した時の様子で、右は後で。
ここで俺が指摘したいのは同じ楽器の同じ弦を同じ強さで弾いた時、どこを押さえても「同じ音量に聴こえる」事だ。
「同じ大きさ」からすると弦の振れ幅も同じと思っちまうが実際は音程が高い程振れ幅は狭くなっていて、実験すればすぐ分かると思うよ。
図の中の通り音の高さ(音程)次第で、耳に同音量でも音波形の高さは違う。
つまり低音になる程、スピーカ振動板のストロークも長く必要になるのだ。
次にスピーカユニットの大きさから来る違いで、極限省略描画(振動板のイメージのみ)だが図1右をご参照。
同音量が得られるってのは「空気を震えさせる量」が同じって事で、スピーカ直径が半分になるとストロークは4倍必要になるのを描いた。
実際30cmのスピーカ1個と15cmのなら4個で取付けられる板の大きさは一緒なので、低音じゃないなら却って4個の方が高能率(=音量増加)になる場合だってある。
だが上記の通り低音はストロークが要るのでこれが小さいと、高音ならまだまだ出せるのに頭打ちで打ち止めだ。
少し纏めると
①大き過ぎると細かい「震え」が間に合わなくなって来る→高音が出せない
②小さ過ぎるとその逆で→低音が物凄く小さくしか出せない
さて能率は小型でも低音を出せる様にしたり大入力を入れられる様にするとどんどん下がって行くが、これを例によって概念図2化。
一応図表示の説明をするが、今回は場所と様子だけ分かっとけば後はテキトーでOK。
赤 :振動板(音が出る所)[可動]
銀 :フレーム[固定]
青+黒 :磁気回路(青は磁気を通しやすい鉄・黒が磁石)[固定]
オレンジ:コイル[可動]
黄土 :ボビン(コイルを巻く為の筒で振動板につなぐ役割も)[可動]
緑+桃 :エッヂとダンパ(伸縮して動けながら振動系を支える)[半固定]
①「青+黒」と「オレンジ・黄土」の『隙間』が狭い程高能率になる
②可動部が軽く「赤」の割合が広い程高能率になる
③「緑+桃」が柔らかい程低音が出せる
④全体が大きくなれば自然とストロークは大きくなって低音の音量は上がる
ここで理想的には図2で「完全に」上下のみに動いてくれれば良いが、爆音が出せる様にした物や特に小型のだとそうは行ってくれない。
同音量を前提にすると図1右と前述の如くストロークを伸ばすしかないが、大きく動かす程「ブレてしまった」時の余裕が余計に必要になって来る。
しかもそれには上記③となるが、支えが柔らかければその分もブレ易くなる。
それでも雑音が出ないように(接触を避ける)には、どうしても隙間(①)が広がり能率が犠牲になるのだ。
逆に支えの硬さを保たせたまま長ストロークとするならヒダの数を増やせば良いが、「桃」は「赤」に無関係に巾を増やせる。
でも「緑」の方は巾を増やすとその分「赤」が狭くなり、「音を出す所」が小さくなるのでやはり能率が下がるのだ。
結局小型化すると低音の出が低下する上能率も下がるので、数が大量に要る上アンプ出力も余計に必要となるのだ。
それも能率低下があるので、半分の大きさで上述の4個は現実じゃ足りない。
単体が小さい分廉価でもこれ程大量となれば高価になるし、総専有面積自体は実は増加してしまうのだ。
だから設置場所には苦労させられるが、細かいの多数より性能的に最適な大きいのの最小数とするのが省スペースになるのだ。
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