ドラムセット録音の話④「Mic の構造 図解編」
Mic の構造の差による「作用の仕方」の違いの説明で、概念図を書いてみた。
俺程度のヤツが幾ら頑張っても苦手な人には分り難そうだが、なるべく演奏者観点からとしてみた。
電気的原理は必要最低限としてるのでそれは他所様へ、これで果たして効果があるかどうか…。
では図の説明前にちょっとだけ予備知識で知っといて欲しいのが、「音って何」についてだ。
勿論「耳に聴こえるもの」なんだが物理的には何かと言うと、「空気の振動」だ。
実際には「震え」と言う方が近い感じで、人が数えられない位細かい振動。
この「空気の震え」を捕えて電気に変換・出力するのが Mic なのだ。
太鼓や Cymbal を叩くと皮や板( Cymbal )が振動(震え)するが、それが空気を「揺らす」(震わせる)。
「1つの区切り」(部屋等)の中の空気は全部「繋がってる」ので恐ろしく小さな音以外は、全体の空気が震える。
空気が軽いから僅かな力でも「微かに」なら動かせ(震え)て、人の耳にも到達して音として聴こえる。
この震えの回数が音の周波数で、特定範囲の周波数の場合に音と感じる。
「特定範囲外」の下はそれこそ正に「振動」で、上が所謂「超音波」になってる。
図自体の説明( Mic 心臓部横断面概念)
青:フレーム(下の切れ目は空気抜きの穴)
赤:振動板(音を受ける所)
灰色:磁石
オレンジの小さい丸:コイル(電線を巻いた物)
緑:固定電極(電気は通って動かない)
この図では省略してるがダイナミックはオレンジから2本、コンデンサは赤と
緑のそれぞれから電線が出ててそれが電気出力だ。
この時点で分からなくても慌てずに、今回は名前が重要ではない。
各部の「色」でどんな「仕事」を担当してるか説明して行く。
青は誰でもすぐ分かる「入物」とか「台」、赤が「空気によって震える」所で音の入り口だ。
そしてここから先がダイナミック型(左)とコンデンサ型(右)で違い始めるが、そのせいで「赤の震え方」も違って音色の特徴が別れる。
最初にダイナミックは赤と一緒にオレンジ丸も動くが、「動くぐるぐる巻きの電線」と「動かない磁石」の組合せは乾電池で回るモータとそっくりだ。
モータは磁石の中で線が回るが Mic は往復運動と動き方は違うが、電気⇔運動の変換原理は同じだ。
因みに電気で回す時にモータと呼び回して電気を起こすのを発電機と呼ぶだけで、原理的には両者は同一。
ここで重要なのは空気の震えはとても非力なので、赤はとても軽くしないとならない。
それで極薄を目指すのだが「余計な変形」があっては困り、「音がゆがむ」つまり歪んだり違う音になったりしてしまう。
そこで平らな所の両側が波みたいに書いたが、ここだけ音を拾わず平らな所が自由に動ける為の柔らかいシワみたいにしてある。(スピーカの円周部と近似)
現物のは赤部分は大抵は円盤型で余計な変形をし難い様に Cymbal みたいに少し膨らみを持たせてて、「シワ」はもっと複雑な形になってる。
兎に角これらで空気の震えをほぼそのままで、電線の震えにしてるのだ。
次にコンデンサ型だが緑の所はわざと動かない様にしてあり、赤との間も物凄く狭い隙間にしてある。
これの場合赤も電気が通る物になってるが、赤と緑の間には電子が詰ってる。
コンデンサとはそもそも一時的に貯めとける電池みたいな物で、Mic の場合隙間の距離が変わるとそれに応じて出力電圧が変化する。
隙間が極僅かなのでダイナミック型みたいに赤が「動ける」と、緑とくっ付いちゃって機能しなくなる。
動きが小さくて平気だし「震える所の電線」がいらないので、ダイナミックよりは重さの心配が減ってその分大きくも出来たりする。
そして僅かな隙間・震え(動き)が小さくてOKなので、ダイナミックより小さい音にも反応出来るのだ。
但し「間接発電」なのでダイナミックの「直接」よりは、時間が掛るので「音のアタック成分」に対してリニアじゃないのだ。
また僅かで良いを逆に見ると「沢山は駄目」なので大きい音の側は小さい方と比べたら、原理から来る性質としても不得意でここでも実はリニアじゃない。
ここからが本題で上述の通りダイナミック型は直接的で言い換えると原始的でもあるので、低性能でも音への「副作用」は起き難い。
反対にコンデンサ型は高性能だが様々な手間や副作用への工夫が要るが、負の要素を「完全に排除するのは不可能」なのがポイントだ。
取敢えず「そのままを拾える」点ではダイナミック型の圧勝だが、如何せん「拾え切れない音」も結構多い。
とても小さい音や人が聴ける最低音から最高音までを1コで同時に等が無理
で、「とても小さい」は単なる全体の音量以外にも影響するのが注意点だ。
つまり倍音(音色決定要素)が基音(音程決定要素)より極端に小さい場合、一言で表せば「無視」される。
一方コンデンサの方を一言で表すと、音の多くの部分が勝手に「演出済み」になってしまう。
人の好みに対しては甲乙が付きはしないが、場合によっては「無理」な事もあるのだ。
<つづく>
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