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2018年3月

2018年3月30日 (金)

実際的PAの話し②(某国市民より酷い境遇のPAスピーカ)

PAスピーカに特別な愛情を抱いてる訳じゃないが、可哀想と云えば今なお余りにもな境遇に置かれている。
電子ドラムがある今なのに、24インチのドラムセットでも滅多に邪魔者扱いされない。
ギターアンプMarshallのスピーカは大昔のままのサイズなのに、音色を理由に
邪魔者扱いされない。
PA
スピーカだって同じスピーカなのに楽器じゃないせいか、こっちだけはやたらと邪魔者扱いと凄い差別だ。

PAは無くても演奏自体は出来るから楽器とは違うけど、楽器の音を「そのまま出す」には「同じ位」が必要な筈なんだ。
しかも生太鼓のバスドラより
PAからの音は「録音物」みたいなのが要求されがちで、元のより「盛りたい」のだから更に大きくなったって当然な筈だ。
でも実際は誰からもそれを気付かれず、「もっと端っこ歩きなさいよ」となってる。

それ自体は大多数の要望と受け入れたとして、その結果何が起こるか「シワ寄せ」が生じるかは知っておいた方が良い。
ズバリ一番影響が出るのが前回記した「能率」で、何の事は無い俺自身が過去に大失敗経験をした。
クドイですが音響を専門的に学んで、成績だってブッチギリで…。
しかし学問の成績と実績は必ずしも結びついてはくれず、俺もアホだが教育の仕方や内容にだって問題…。

気持ちを切替え具体的に語ると、「兎小屋でバンド演奏」しようとしたのが原因だと思い込みたい。
防音(遮音)については専門業者と知恵を絞りあって何とか達成、但しそれで部屋の広さが外見は14畳が中は7畳と半分になった。
それでこれから買う
PA極小化して凌ごうとして、特にドラムのモニタに工夫した積りだった。

ドラムセットは何時でもすぐ叩ける様にしときたいが、それには部屋の隅等にしとかないと何かと邪魔になりそうだ。
なるべく音量を稼ぎたいので近くにスピーカを持って来たいが、「隅っこ」だから空間が僅少だ。
それで小型のなら「隙間」に配置出来、音圧不足を数で補おうとしたのだ。
俺は昔の人だから
PAは歌主体で良いので、これも小型化しても問題無い。
で、やってみたら殆ど聴こえねえでやんの。😢

でもAmpは拘りの真空管の130W x2としたからエネルギーの「元」は足りてる筈、
楽器Ampで出力最大のがBass用で丁度130Wなんだから
スピーカも1
chは超小型 x2だけどドラマーの手が届きそうな近さだし、太鼓頭上空間を利用して2chはJBLのまともな業務用を奮発したんでっせ。
暫くは苦悩したも見込みが立たず、仕方無く色々「誠実に」計算をしてみた。
印象とは恐ろしいものでWに注意が行き過ぎてて、能率
dBを軽視してたのが原因だったのです。

高能率業務用PAスピーカだけど楽器用と比べたら、実は能率が1/2~
1/3しか無かったのだ。
数値的には超小型:90dB・業務用:98dBに対し、楽器用のは大体102dB。
実況は98dBので叩くと聴こえず、90dBのに至っては叩かなくても「軽く弾かれれば」もう全然分からなかった。
前回の図と見比べて貰えば「当り前」がご理解頂けますが、当時のあたしゃご理解頂けてませんでしたよっと。

また楽器用はある程度楽器の音域に特化されてるので、通常使用時の能率もほぼ額面通りだ。
だがPA用は歌の音域でなら確かに
カタログ通りだが、それより低音になる程どんどん低下してる。
宅では
歌主体だがそれでもドラムマシンを鳴らす位は時々あったから、マシンのバスドラがまあまあ普通に聴き取れる位迄EQで低音をブーストさせていた。

ここからがミソなんだけど「こっちの操作は増やした」だが、PA君側からすると「増やしてない所が減った」になるのだ。
Ampの最大出力は変わらないので、出せる音量は「増やした所」が歪む手前迄になる。
結果として低音は出る様になったが、「能率の良い音域」の音量は下がっていたのだ。

生楽器をエレキ用のAmpに繋いだ音で我慢出来るなら別だが、今時はそれではキツそうで俺でもそうなって来た。
FolkやCountryの人ならアコギ用Ampの用意もしそうだし、鍵盤だって全部のレパートリーに最初から入ってるならそれ用Ampも用意する。
でもエレキ主体のRockだと時々だし、録音では生や電子楽器に
Ampは必須ではない。
そうなると歌主体でも楽器対応が無いと駄目で、その分も多く「サバ読み」しなきゃいけなくなるのである。

最終的に幾ら球キチガイでも超高出力「PA用」真空管Ampがそもそも無いのと、スピーカ最大入力には大量に余裕があったので球を諦めて石の510Wのを追加購入してそれで鳴らしている。
初代Ampは録音用に自作した球プリ+自作スピーカと組んで、電気楽器用に転用した。
小型のはどうしても聴こえないのでこれも別用途へ転用、今時
PAがモノラルなのは何だが「男気の単発!?」で賄っている。

今でも感じるのはたかが個人宅の
PA如きに510Wも要るんかいで、実情を知らない人が聴いたら「このオッサン来たら知らんぷりしよう」と思われそうだ。
しかし実際に出てる音量は昔のRichie  Blackmoreのとかと違って、ドラムを叩かれても聴こえる程度でしかないんだけどね。
もしPAスピーカが必要性に対して無理のない大きさになるのを認めれば、こんな事態は発生しないで済む処なのだ。

平均身長170cmの人用の吊革にチビ(俺も)が必死に背伸びしてつかまってる様なもので、かくして現代PAスピーカの多くは可哀想な状況なのだ。

2018年3月29日 (木)

実際的PAの話し①(何Wあれば聴こえる!?編)

珍しくいきなり結論を言うと「分からない」だが、何Wだけじゃなく「何dBのスピーカ何個で」と付けば責任を持って即答致しますです。
「何dB」ってのはスピーカの能率の事で、下手すりゃW数以上に実際に出て来る音量を左右するからなのよ。

変速機付自転車に例えるとW数が漕ぐ人の能力、能率dB(デシベル)はギアを何段目に入れてるかみたいなもんだ。
個人差はかなりあるが最高速用ギアで物凄い急発進出来る人は、まず居なさそうなのと似た感じ。


誰でも○○Wには目が行くのに、○○dBと来たら何故かマイナーで見過ごされがちと可哀想な現実。
だけど「爆音屋」さんだったらそれじゃ駄目よ、スピーカ能率って凄くピンからキリまであるんだからね。

ここから具体的数値を挙げて行くが、取敢えず基準として電気楽器Ampのスピーカ能率はトータルで
能率100dB位のが多い。
トータルとしたのはスピーカユニットの数の違うのもあるからで生ドラムと一緒に演れる都合で、
能率100dB位のを50~100W位で鳴らしているから出力音圧は117~120dB位になる。
Rockだからギターソロとボーカルが同音量で良いのでPAだって200Wもあれば余裕でOK!?、確かに大昔だったらそれでウルサイ位のもあったんだが…。

オーディオ用の
特に近年の小型のでは先ず再生周波数帯域(どれ位低い音も高い音も鳴らせるかの範囲)の確保だけを優先して、能率は大昔のスピーカと比べても信じられない程低かったりしている。
昔より高出力Ampが廉価で簡単に得られる様になったお陰で、「割はとても悪い」が理論に反して恐ろしく小さく出来る様になったんだ。

ご家庭用も真空管がデフォルトの時代ではAmpの方がスピーカより高く付くので、今の電気楽器用のととても似た性質のスピーカが普通でしたよ。
好みによっては音色はOKかも知れないけど、超低音再生等夢の又夢で高域だって実際は全然出せてませんでした。
今のスマホとかのだと大きさの都合で低音はOUTだけど、高い方はほぼ無制限状態になってるね。

PA用だとそこまで今昔差は無いけれど、それでも案外昔より能率は下がり気味なんです。
只これは訳アリで大昔のPAは大抵「ボーカルAmp」(昔はそんな呼称があった)だったが、今は生ドラムの音も再生しなくてはならなくなったからだ。
「バスドラの重低音をPAでお願いします」と来るから、生の太鼓以上に超低音を出せる必要が生じる。

その超低音の能率を稼ぐのが今でも大変厳しく、殆ど事故原発の処理並と云っても過言で無い位なのだ。
高い方なら割と高能率化がし易くて、メガホン何かは昔から偉く高能率だった。
メガはまんまでホンはホーン、つまりラッパで激音量ラッパって事。
これの欠点は今も同じだが出せる音の高低範囲が狭いのと、低いの出したきゃ信じられない程巨大化させなきゃならない処。
ラッパ型じゃなくても低音は寸法を要するが、これが現代にはミスマッチなので能率低下を受け入れるしかない訳だ。


この件の詳細は長いので別項へ譲るが、「出したい音程に能率が左右される」処は注意点だ。
そして上記の通り低音再生には大きさが必須なので、原理に逆らった小型とするとこれは著しい能率低下を招く。
もし高級ヘッドホンで聴くシンセの超低音をLiveで再生したければ、「1人では絶対運べない大きさ・重さ」のスピーカが必須になる。
その面で現実的には何処迄妥協出来るか、悩ましい処ではある。

スピーカ出力音圧の実際の計算には入力電力・能率の他に、インピーダンス[Ω](単位はオーム)ってまたまた面倒な値にも左右される。
インピーダンスとは交流電力に対する抵抗値で、スピーカ等のそれは抵抗器でなくコイル(Voice Coil)なので周波数(音程の高低)によっても変動して…。
これを全部やってくとキリが無くなるので、今回最初は特定の条件を設定する事にする。

現実のスピーカの数値も全貌はグラフに任せ、インピーダンスだと
最小値を
公称値として記載している。

またスピーカ能率は断り書き無き場合1W入力時・1m離れた所で測った値とされていて、
100W入力時はそれ+20dbの出力音圧(音の大きさ)になる。

図を書いてみたが先ずは概念を理解して貰う目的で
、多少非現実的だが簡略化した条件設定を次に記す。
 白黒のスピーカは97dB
 赤いのは   
100dB
 青いのは    
94dB
 Amp
出力は各スピーカユニットの接続方法(直列・並列等)に係らず100W

Sp11

①能率がたったの!?3dB低いだけで数が2倍も必要になる
→出力電力(パワー)でなら50Wの2倍の音圧は100Wで得られるが、これは感覚的にリニアで理解し易い。
しかし能率は関数計算による比率なので+3dBが2倍・-3dBが半分となって、「見た目の数値差」は僅かなのに音量は大幅に違って来る。


②①の逆に能率が2倍あれば数は半分で足りる


③これを発展思考するとやはり能率が2倍あるとAmp出力が半分しかなくても同じ音量が得られる

数字のマジック(まやかし!?)と云えなくも無いけど、兎に角「能率dB」の影響って数字の見た目より全然凄いでしょ!。

<つづく>

2018年3月28日 (水)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉙

シリーズ前回の続編で Speedking の踏み方、また少し説明出来る理解の進展があったので。
最初は俺言い Ringo 踏みに従兄が完全にマッチした件、それにする迄は彼は少し Speedking を苦手としてた原因についてだ。

従兄は従兄なので類似点が多いんだが、双子じゃないから俺等の間では得意な処は真逆だったりしている。
俺が腿筋の方が強いのに対し従兄は足首(ふくらはぎ筋)が強い等、バランス的に逆なのだ。
だから Pedal を踏む動作も俺は腿・従兄はふくらはぎ頼みで、従兄は俺比では爪先が Foot Board 上に残り易くなってた。

これがバネ弱 Speedking の
Foot Board 通常位置では影響が出て、ビータストロークを想定外制限してたのは前回述べた。
踏んでる本人意識では単に脚を持上げ様としてるだけなんだが、俺が傍から観察すると脚の重さが爪先経由で「最後の最後迄残ってる」感じだった。
バネ強 Pedal ならそれでも Foot Board は上がり始めるが、この条件では「完全に足が不在」に近くないと上がり始めてくれないのだ。

「足首で腿を持上げる」では「腿が上がったらその後で爪先が上がる」が、下手すると爪先が接地したままでも腿は上がっている。
つまり本人意識は脚上げで腿はちゃんと上昇したから上がったと感じても、爪先が意外と上がって無かったりが発生し易い。
加えてベタ足比では「爪先の上下移動距離」も短目になり易い手法なので、例えここを強意識しても爪先位置基準での距離安定度は劣り易いだろう。

爪先上下移動距離「少な目派」には Pedal 後ろヒンジ寄りにする事で、必要ビータストロークの確保が可能になってる訳だ。
動画での Ringo 本人はベタ足踏みなのでそこは違うのだが、ベタ足にしたって極力小さな動きで済む方が疲労が減少するのは確かだ。
また多少の無駄を保険と考えれば、必ず必要ストロークが「自動的に得られる」手法でもある。

それと昔記した Speedking 「ヒール部開放・裏返し」への追加で、
爪先上下移動距離少な目派にはこれも結構大きな影響があるのが分った。
従兄曰くビータ軸長減少とヒール部開放を実施するとそれ以前より「軽くなったとハッキリ感じた」そうで、無意識でも動作速度が向上した。
俺には踏み方違いか鈍感のどっちのせいかは怪しげだが、これと云った差は感じなかった。
それより傍目目線では「カカト重さが絶対 Foot Board にかからない」で、脚の重さは常に爪先になるのも安定に貢献してると見えた。

Speedking はFoot Board の最大幅が決して狭くない等で一見小さく感じないが、具体的に比べると全体はホントに必要最低限の大きさしかない。
それで普通のペダルより無意識で普段より Foot Board の奥を踏んでやしないか確かめてみて
もしかして上手く踏めない原因はこれかも知れないから。
尤も俺みたいな原始人体質!?の人にはこれは無関係、あるのは脱力のみだ。

今回オマケでもう一点、Slide 奏法のコツについて。
って言っとき乍らの前置きだが、どうも俺考察では足首 Double Stroke は英国人にその達者が多く感じる。
逆に Slide Double は米人主導な印象があるが、従兄との会話から想像がついて来た。
前回紹介元の Drummerworld Ringo のページ掲載写真で、彼の靴(多分 Beatle Boots)の裏の映ってるのを発見した。
「革ブーツの裏だからツルツル」と想像してた
俺予想に反し、横向きギザギザの波模様が付いていた。

考えれば雨の多いイギリスで滑り止めがあるのに何の不思議も無いんだけど、それと滑り止め模様付きFoot Board の Speedking で Slide 奏法は困難だ。
Buddy Rich は出生柄太鼓より先にタップダンスをやらされたのを従兄から訊いて、大変な事に気付いた。(俺的つもり)
確かタップダンスに脚を後ろから前へ一振りで、爪先-カカトと極短時間で鳴らすのがあったのを思い出した。
これを Foot Board 上でやってるのが、正に Slide 奏法だ。

俺の
ツルツル認識の源泉はウェスタンブーツやローファー由来で、本邦の最近のはほぼ滑り止め付きだが昔は無い方が普通だったから。
URL 未記憶な為紹介出来ず申し訳無いが自分にとって Slide の映像で印象にあるのは、Al Jackson Jr. と BONZO のだ。
前者のはかなり大袈裟に前後動があり後者のは恐ろしく無造作に簡単な感じだったのだが、どっちも靴はサラリーマンのお父さんが履いてる様な革靴だった。

最近従兄の処では持込み Speedking 使用としてるが、その部屋が土足なのでまだ殆どツルツル物で演ってない。
現況 Double 迄は何とかなるがTriple 以上は不可に近く、帰宅後即素足で演れば楽々出来たのでやはり靴の影響は確実だ。
勢い良く蹴れば前向きで例え
滑り過ぎたとしても Foot Board が無反応で済みはしなくて、それで最低1個は音が鳴らせる。
引っ掛かると分かってて「突き足!?」が恐いと蹴れないか、勇気を出しても勢いは削がれ気味になり易いだろう。

Hi-HatとそのStand⑪

前回クスっの元凶!? Stand のバネ強さを簡易計測、宅の並の Stand のと比較してみた。(ホントの並とはどれ位知ってるかが怪しいのだが)
例によって玩具バネ秤活用の大雑把な方法だが、感覚だけなのかどうかはこれでハッキリして来た。
但しこの秤が 2kg 迄しか無いせいで、標準的な開け幅「指2本分」の計測は不能とまたぞろの半端さが情けない…。

ってのもかなり強いバネだって僅かな押し引きなら左程大きな力は不要、大きく伸張しようとする時程要する力の差も広がりそうだからねえ。
なので Kick Pedal の時より狭い範囲しか比べられなかったんだけど、それでも目に見える違いは出ましたよ。
因みに Top Hat Cymbal は乗せたままで、元凶君のは Zildjian New Beat 14インチ。
並君は YAMAHA HS-710 に Paiste The Line Soundedge 14インチ、Top Hat 自体の重さは測って無いってエエ加減さで失礼。

計測では Hi-Hat の上下全体が接した時点としてて、Closed Hat の実演奏時よりは多分弱くなってるでしょう。
けれど Cymbal の硬軟等でも「要 Closed 踏力」に結構違いがありそうで、Stand 分だけの比較なので敢えて無視してます。

ところで
元凶君のブランド・型番は非公表のままだけど、俺が個人的に悪っぽく言ってるのの悪影響を避けたいので悪しからず
従兄が太鼓の先生様だからって決して忖度なんかしちゃいませんの、物自体よりこっちの使い方が不適合とも思えるからですわ。
分厚く重い Top Hat だったらそれの影響で踏力が弱くなるのは必至で、もしバネ強さが足りなくて開き切らせなかったら困っちゃうからね。

先ず元凶!? Stand を「測ろうとした」ものの、指1本分でも計測領域オーバー😓、分ったのはそれでも 2kg 以上の力が要るのだけ。
しゃーないから帰宅後宅の並ののを測ると上記の如くで実使用時(俺の場合)のは不明なままだが、
指1本分設定時のは 1.2kg と何とか測れた。
結果的にバネ強さに元凶:並の差が2倍位以上なのだけは分り、指2本分時の差となればもっと拡大してそうな感じだ。

ここで Kick Pedal との比較をしてみると Foot Board 先端を引っ張ったのの値(今回も同様)は、Speedking と弱バネ改では 700g だった。(過去記事参照)
不明なものは仕方無いから仮に並君の実使用時の値を単純推測するとして、伸縮寸法の比率に合せて 2.2kg と仮定する。
これに基づけば俺宅の足の左右踏力差は3倍位、
普段無意識だし並君使用歴30年位なのもあってそれだけでどうとは感じて無い。

もしかして Hat Stand のバネももっと弱めたら奏法の幅を広げられるのか?、そこは今後の課題か。
話を戻して元凶君とだとなると 2x3 の6倍位もあったのねぇで、感覚を無視したところで流石にタダで済まなくても当然そうだ。
オーソドックスな Jazz なら Hat 足の踏んだままは殆ど出て来ないけど、Rock 系等じゃあ基本形だから厳しいやね。

従兄みたいに「筆を選ばず」路線の追及者には、この極端の克服は喜びかも知れない。
けれど「不要に強い」踏力が要求されて良い事は無い筈で、能力があるならもっとそれを音楽の表現等へ使えた方が良いと思う。

手持ち機材の関係で今はこれ以上が無理なのは残念至極だが、今回一連の件でもっと太鼓足用器具!?の弱力化に検討余地のあるのを知ったかな。
普通の演奏に無支障でもそれ以上を目指せば問題になりそうだし、要らん処で疲れてたら百害あって一利なしだ。
どうせ疲れるのにしても、もっと意義のある処でにしたいもんだ。

2018年3月23日 (金)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉘

今回は Speedking と Hi-Hat Stand の関係性、前回がビックリなら今回はクスっ。
以前に従兄の所の Hi-Hat Stand のバネの問題を記したが、ストロークは改善しても強過ぎ(俺判定)はそのままである。
従兄が上手過ぎるが為にどうも伝わりきって無い感じだったが、ちょっとした事で典型的な現象が起きたのだった。

従兄の所はドラム教室だから講師用と生徒用に太鼓は2つセットしてあり、生徒さんの利き腕次第で彼が反対側へ移動するシステムになっている。
彼は上手い他に左右どちらでも叩けるのでそんな芸当もこなせるが、
最初は左用を知らず違和感を抱えたまま暫くは右で苦労したお陰だ。
後で何が功を奏すか分からないの典型例だが、諦めずに続けたからこその賜物だろう。
だから俺等と本腰を入れて演る時は大抵本来の左だけ、俺がお邪魔中は右用セットへ居座ってるのもある。

その流れで Speedking は左用セットに付けっ放しで、彼の所で右で Speedking を目にする機会は訪れてなかった。
それが先日俺が Speedking のスペアを入手持参した事で両方のセットが Speedking になったので、偶然人が移動すればすぐにどちらででも試せる様になった。
この機会を逃すまいとおもむろに席を立ち、右で演って貰った。
そしたらねっと
「ウププっ」。

彼ともあろう者が Hi-Hat の Closed が閉め切れない、乗せてる Cymbal は左のより少し重いのにも拘わらずだ。
俺予想では
苦労するなら慣れが少なさそうな Kick Pedal と思ったのに、そっちは全く平気だったから余計に可笑しくなっちゃった。
本人も他ペダル時にはこんな現象は起きて無いらしく、苦笑いしていたな。
「だぁから言ったじゃないのぉ~よぉ~」だ、少しは凡人の苦労も知り給えっての。

まあそれでも実際の処は不慣れな右脚の脱力につられたんだと思うが、幾ら慣れたって左右が極端に違ったら楽じゃないだろう。
太鼓で左右が違うと云ったら代表は手のグリップだが、それで体の重心がズレたりはしない。
手だったら必要な時は「持ち変え」可能だが、足は元から「持ってはいない」のでそうは問屋が卸さないのだ。

人によっちゃバネ強 Hat Stand の方が素早い Open - Close が出来ると思うかも知れないけど、これは不正解です多分。
Close は平気だが Open がまともに Open と聴こえるのには、案外長目の時間が必要なのが1つ。
バネ強とは云え「脚で押さえられる強さ」の範囲では、足がサッサと「どいてくれない」事には始まらないのが2つ目の理由。

少なくとも俺経験では 100 から -50 にするより、10 から -100 の方が素早く動かせると感じている。
脚を上げるのと下すののどちらが得意って個人差もあるが、困った事に脚は大抵本人自覚より遥かに重くて脱力だけでは低速化させてる筈だ。
自慢ではなく飽く迄データとして語らせて貰うけど、私高校時代に短距離走で負けたのは甲子園で投げたエースと都大会で3位になった陸上部エースのみだ。
それ位足が速くてもバネ強を嫌がってる奴も居る
のだけはどうか覚えといて欲しい。

もう一つ付加えて置くべきがあって、バネ調節機能無しの彼現用 Hi-Hat Stand の製造時期だ。
その頃かつては入手困難・不可だった厚手の Cymbal が沢山出だした時期で、
重い Top Hat への対応が考慮された為と思われる。
だが彼の好みは標準より薄め(つまり軽くなる)、この2つのミスマッチは諸事情で生じている。

車もオートマ全盛となって久しいが、加減が上手とか好きな人にとっては「勝手にやられる」程辛い事は無いでしょう。
楽器なんて所詮玩具の一種なんだから、もっと単純で自由で良いんじゃないスかねえ。
プロよりアマが圧倒的に大勢なんだし安定より自由を優先した方が、愉しみだって増えて良いと思うんだけどなぁ。

2018年3月22日 (木)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉗

今回は期せずして実証された Ringo Starr 初期の踏み方、と云ってもそれを録音・録画等一切しなかったんで証拠を示せなくて何だが…。
しかも実行犯!?は俺じゃなく人体実験第2弾!?で今回も従兄と他力本願だが、俺が第三者として体感出来たのが却って有用とも思って記す事にした。
想像を絶する大幅な音量増大が起こり、奏者の技量の影響度は高そうだがパワー面でもこれなら Speedking はブッチギリのキングなのを認めさせられた。

Speedking と音量について俺が一番着目してるのが Ringo Starr で、それは数万人相手で PA レス 20 インチ使用だったからだ。
以前太鼓購入時にローピッチ好みの為 24 にするか 22 にするかで迷ったが、
近所のドラムショップカノウプスの専門家から Ludwig の場合音程は殆ど一緒で音量が違うだけと訊き現状の 22 にした経緯がある。
実際に試奏してみてその通りと感じたが、だとすれば Ringo の 20 がよくそれで聴こえたもんだと不思議感がずっとあったんだ。

状況からすれば音量も世界一必要で、武道館での彼の All Stars の Live でも太鼓の鳴りの相違から来る音色はかなりワイルドだった。
何十年も前から見聞きして来てるがかなり最近になって、太さは普通でも長目のスティックを使用してるのも知った。
それでも余りにも演ってる姿が普通で自然体なので、実際どの位音が大きいのかの見当は皆目付かずに居た。

俺:従兄比では彼は脚上げが足首頼りで、バネ弱だとビータストロークが縮み気味になるのでその対策一案としての情報提供だった。
彼のビータ動きが
俺感ではずっとストローク小さ目・速度遅めに見えてるのと Slide や Double が Speedking では少々苦労させられてる様子なので、コツを掴むキッカケにでもなればとしてだった。
肝心の目的に対してはその時点では効果が出なかったが、とんでもない事になってとても驚いた。

彼は元から手の方が得意で音量もそれに準じてたが、その音量を感覚的に云うと全体は平均・手は平均の 1.2 倍・脚はアクセント以外は平均の 0.7 倍位。
それが突然脚が手の3倍位になって、凄腕の手でどうやっても普段のスティックでは音量不足になったのだ。
試しに Ringo のと似た長さが 410mm のに持ち替えて貰ったら、何とかバランスがとれる様になった。

凄まじくうるさく2人ともすぐさまヘッドホンを被る、彼とは人生の大部分を共にして来てるが彼がこんな音量を出したのは初。
それも他でもこんなのは経験した記憶が無い程で、彼の持ち味の正確さ・音色・キレは維持されたままでなのだ。
スティック変更だけで足りずに叩く方が普段より労力を要し、草臥れさせて後で体調を崩させてしまったらしきには罪の意識を感じている。

して核心のセッティングは俺も踏み方の参考例として見つけた、Drummerworld にあった Beatles のワシントンでの Live ビデオ。

http://www.drummerworld.com/Videos/ringobeatleswashinton.html

この舞台では正面の向きを「回転させられるドラム台」で変えながら演ってて、それで珍しくペダルと足元が何度も良く拝めるのだ。

20 でもビータが大体中心に来てるので短くしてる筈で、その代りほぼ毎音ストロークが「水平発進」となっていた。
踏み方はベタ足(足首はなるべく動かさない)で、思い切った Foot Board の手前寄り(足指付け根がヒール側ヒンジから 1/3 位)。
ビータ軸が短めだろうと水平発進するには絶対「奥」では踏めない、先ず
どんな薄足君だって足にで次に脛にビータがつかえて無理。

Foot Board の移動距離がヒンジに近い程小さくなるので、ペダルの重さは強めに感じられる反面反発力も増加して脚上がりが速まりそう。
俺よりバネ強を苦に感じて無い彼なので、割と今迄慣れた踏み方のままで Speedking の特徴を生かせそうって魂胆だ。
しかしまさか丸々まんま Ringo る!?とは、全く予想出来なかった。
太鼓の上手い奴だとそうなるって事は、逆に考えりゃやっぱ Ringo は見掛けに因らず壮絶に上手いんだと思った。

バネ強では「重くない脚」ならこうならずに済むが、踏む時の速度は抵抗増加であまり速くはし辛い筈だ。
脚力自慢の俺ですらバネ強をとても嫌がってるんだから、余程怪力で俊足の持ち主以外の者がバネ強を良いと感じてたならそれはきっと幻影に違いない。
人は機械じゃなく疲れて来るので、なるべく疲れないのだって大音量には必要なな筈でそれも幾ら多く踏んでもだ。
只の一発だけだったら、誰でもある程度までは出せるんだからさ。

この件を物理的解析で語ると、速度反応型なのとストローク長さを最大活用したとなる。
ビータ軸距の短縮分をストローク長と速さで補ってて、軽いからそれを少ない力と踏み込み距離で実現出来てる訳。
帰宅後翌日早速期待して俺も試してみたが絶大な鈍感力のせいか知らんが、どこをどうしてどう踏んでもサッパリ変化無し。

その翌日の今さっきになって僅かに差が出て来たみたいだが、やはり大して変わり映えがしなかった。
何をどうやっても「何時もの自分の音」しか出なかったのは果たして吉か凶か不明だが、今の俺には初期 Ringo 式は止めるのが不安定になるのと Paice 氏式 Double への移行時に不便さを感じている。

どうも脚の動きが小さ目なら手前・大袈裟なら奥目を踏めば、割合普通っぽく演れる気がして来た。
今の他のペダルと「調整箇所」が違うから気付かなかったが、色んなネジとかを回すより「足の場所」をズラすだけで済む方がよっぽど簡単だったんだよね。
スティックだったたら誰だって持ち方なんかをまず試行してる訳で、「ペダル=機械だからネジ」って思う俺のバカは救い様が無い…。

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉖

今回は「カムの形」関連についてで、毎度てんこ盛りの前菜付で済まないが時系列的に顛末を述べたいので暫しご辛抱あれ。
最初は俺の失敗談で親切の積りで弱バネを彼の所へ持参した件、俺のマヌケで散々弄ってみた後で無駄が判明した話し。
場所と人体実験!?になって貰ったのは、お馴染み従兄の Studiolite ドラム教室講師なので俺よりは信頼性が高いのは保証する。

彼は職業柄多数のペダルを所持してるがその殆どが俺言いバネ強で、手ぶらで訪れた際は俺に不都合だったりしていた。
最近では小学女児の生徒さんも来てるそうなので、もしや自分と同じに感じる人もいるかもと思っての事だった。
それとカムの件で彼の大多数は真円だが、1つだけ
Speedking 同様の俺言い「逆偏心」のがあったのでそれをバネ弱化したらもしやって色気があった。

結論的にはそのペダルの元からのバネがかなり弱目ので、持参したのと大差なく失敗!!😓。
玩具バネ秤も持参してたんだから先に測れば良いのに、勝手な思い込みで後回しにしたのが不味かった。
上述の関係で今回俺は試奏しなかったけど、Speedking 以外の彼所持ペダルの中では俺にも馴染めたのはそれが原因だった様だ。

そのペダルは弱バネ+バネ調整のネジを思い切り長くしといてで、調整範囲を広くとった親切設計と感じた。
それでも Paice 氏式 Double (本当の始祖は Buddy Rich 辺りっぽい)時、最低限サイズの逆偏心カムでも少し邪魔になってしまう。
紆余曲折を経て結局一本に左右に通った「カム軸」自体がこれには不都合で、特に Foot Board の傾斜が強めだと軸だけでもう空間が不足してる。

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普段にも増して簡略化の著しい概念図だが、Foot Board 先端が一番高く(ビータが最反位)て爪先(黄)は奥一杯時の場合。
左が真円・左から2つ目が逆偏心・3つ目が Speedking、右の3つはその側面からだが足は途中でブツ切り・ Foot Board さえ省いた酷い手抜き。
ペダル次第で回転軸の床からの高さ(距離)が違ったりもあるが、必要ビータ軸長の都合等で差は大きく出来ない様だ。

この拙画と違い「片持ち式」のもあるが効率良く引っ張るには、Foot Board 先端の左右中心にベルト・チェーン・リンク等が付く。
爪先の先はバスドラのヘッド迄「何も無し」は、これらでまず無理みたいだ。
また左から2つ目みたいなのでも軸にカムを固定させる為には、必ず軸より太くせざるを得ない。
それが左右間直線の軸を持ってるのの宿命で、回避策として Speedking の変に反った様な形のが1つの回答なんだろう。

ガタつきや無用な偏心等の都合では横一直線の軸が最適で、加工精度等が低かった昔に「変形」を採用したのは相当な冒険だ。

機械としてより楽器として奏法の制限等の排除を優先したって事で、それがロングセラーの一因とも思った。
製造中止=売行き不振が色んな奏法を使う者が減ったせいなら残念な話しで、人力率が高いのは面倒だが人類の退化とみれば忌々しき問題かもだ。

太鼓演奏は機械で何でも演奏可能な今日にわざわざ汗かいて叩いたり踏んだりする訳だから、昔より更に幾らでも変態的に演れたら良さそうな気もする。

それに適するのは複雑精巧なのより、単純なの程向いてるんだけどねぇ。

2018年3月20日 (火)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉕

Speedking の自主小改良について記したが、その後編です。
現況迄に俺が実施した分は今回で全てになるが、所謂改造は一切してない。
寒いから手袋をしたみたいなレベルだが、自分の使用環境には「しといた方が良い」そんな感じ。
それと別件だがスペアを漸く入手(幸運にも¥2万弱で)、多分既所持のと同時期のだと思うけど結果的に個体差比較のサンプルにもなった。

ここ迄のバネ研究等で他ペダルでも俺技が多少可能になるのは分ったが、技の可能度以外に労力の差は大きく感じられた。
もう作って無い・将来普通は値上がりする・「減り」の少ない個体が減って行きそうなのと、上記が為貧民(俺)にこの決断を下させたのだ。

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概念図説だが左が宅の Ludwig へそのままで装着した時の状況、中がそれを補ったので右が他の太鼓へ付ける時の現況だ。

俺は激しく!? Slide を多用するのと宅のバスドラが軽量なせいか、そのままだと Speedking 本体が左右にズレる時があった。
クランプを一杯迄締めても防げなかったしウッドフープを変形させるのも芳しくないので困ったが、他の手持ちペダルでは奏法に差がありはするが殆どこうはならなかった。
どうも幾ら締めても少し滑ってズレてる様に感じたので、密着具合を観察してみた。

すると図右の如くフープとクランプ部下側のカーブ(角度)が合って無く、外側(青矢印)に隙間が空いてるじゃ
あ~りませんか。
それで余ってる板ゴムのかけらを図中(赤:実際は黒く真
上から見た雰囲気)の様に貼ったら、全て解消出来た。
ここで思い浮かんだのが設計上の「基準サイズ」で、俺技等の都合でビータを最大長にしてるが中心より上をぶっている。

俺は宅の 22 インチが勝手に標準サイズと思ってたが、どうやら Speedking のそれは 24 インチらしい感じがする。
それだとフープのカーブもビータの長さも丁度合いそうな具合で、26 インチにも対応出来そうだ。(実際 Bonzo・Paice 等多士済々)
Live での Ringo みたいに 20 やそれ以下で使用されても居たが、音量が不要ならビータを短くしても平気でしょって事なのか!?。

尤も Ringo は見栄えで 20 にしてただけで音量は世界一必要だったんだが、当時の動画を見るとビータストロークをほぼ常に水平からスタートさせてる。
距離と速度で稼ぐスタイルだがこれは Speedking の最も得意な処で、小型バスドラも決して無視はしてないって事らしい。
けれど俺の使い方の都合には合わないので「センタ打ち」は妥協してるが、直接比較しなければ今の処俺には気になっていない。

鈍感系!?の俺みたいなのでも通用しないのがフープ幅の差異で、現況頻度が低いので 6 ~ 9mm 厚位の板切れを挟む様にしてて図右の赤網のが板切れで肌色がフープ。
研究家によると製造時期等によっては図右の穴のある部分がフープ側へ長い(ロングフィン)のもあるそうで、その場合は不要だそうだ。

只普段が Ludwig でどっかの気違い(俺)にとってはビータの消耗が激しいので、なるべく平らに近くビータが当たる
ショートフィンの方が良さそうな気はする。
今の自分にはこの方が好都合だがまだ踏み方に下手があるやも知れず、不要ならそれこそ不要な小細工なのかな。

それにしても何でバネ弱化しても他ので不都合かと云うと、カムの偏心もありそうだが一番はカム(又はベルトやチェーンのホイール)自体が邪魔になる処だ。
Paice 氏式 Double は「目一杯奥」が有利なので、それをしないなら確かに問題にならないんだけどね。
特に裸足じゃない時は物によっては絶望的で、Foot Board 自体には「まだ先がある」のに全然足が入らないヤツ。
しかも見た目は踏めそうなデザインをしてたりすると、腹立たしくなっちまう。

Speedking だって左右支柱幅が大柄なアメリカさんにしては随分狭くした感じで、俺みたいな足幅が狭くない方の者には履物が挟まりそうではある。(😢経験済み)
だけど見えたのと踏むのに差は無く、行けると思って無理ってのは無い。
それと足が触れた場合の想定が他の多くのと違って明らかに想定されたデザインで、「挟まる」以外怪我等の心配は少なさそうだ。

事の発端は当時ダイレクトドライブ最安なだけだったんだけど、何だか使って行く程自分には色々とこれじゃないと駄目になって来た。
何か宗教的な呪文にでも引っかかったみたいな変な気分、奏法上の必要が無ければわざわざ販売終了品等に惑わされず済むんだもの。

諸事情で仕方無いのかも知れないけど、もう少し色んな踏み方を想定した新ペダルが出ても良いのにねえ。
一部に凄そうなのがあるのも少しは知ってるけど超絶高額、じゃあ貧民は技を持っちゃいけないのかよってな。
本来金が無いから技で解決だった筈なんだ。

2018年3月18日 (日)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉔

今回は Speedking の「機械的雑音」についての考察、設計以上に材料や部品加工の点で古いのは普通不利だが果たしてどうか。
実際に巷で「キコキコ」とか何とか語られてるし、最終型の以外は可動部が「錆られる」金属同士になってる。
俺所持の最終型にしたって間にプラが入ってるのはリンク部だけだし、固定されたアンダープレートなんてのもありゃしない。

構造的に羽以外全部金属製の昔の扇風機よろしく、設計が定期的に給油する考えになってる。
油切れは摩耗の面でも不利なので、購入当初はかなり気にして始終様子を見ていた。
幸い俺はペダルが濡れる可能性がとても低い環境なのもあるせいか、実際は大して気にしなくても平気だった。

只こっちが「踏み損ね」て変な向きに力が掛れば、金属同士だからカチャカチャ音は出てしまう。
でも裏を返すと正しく!?踏めた限りでは、少な目な俺経験だが意外にも他のより断然静かだ。
原理には反する筈だが実際の演奏ではそうなってて、尤も自然体で踏める為の練習と言うか慣れるのにはそれなりに時間を要しはしたが。

毎度の押売りまがいで済まないが
①最低限の重さのが動く
②一般的なのより弱い力で充分動く
等で奏者の脚・足を柔軟に保ちやすいってのは雑音抑制にとっても、結構重大なポイントなんじゃないかなぁ。

初期段階ではそもそも踏むの自体が経験のあった一般的なのと全然違うから、俺のせいかペダルのせいかが判らなかった。(内心ほぼ自分とは思ってたが…)
それで簡単に可能な対策を考えたんだけど、取敢えずなるべく金属同士が直接触れない様にしてみる事にした。
度々触れてるが金属等の「硬い物」同士がぶつかれば、柔らかいの同士と違って比較的大きな音が出るからだ。

1 

例によって図説だが一応 Speedking のリンク部の概念で、左3つが元の状態。
第1は当初の腕(脚)の問題だったが裸足だと足裏面は左右対称じゃないのもあって、意に反して斜めに力が加わったりする。

その時左から2,3の状況が発生してカチャってた様なので、プラのワッシャ擬きをこしらえて隙間に挟んだ現況のが左から4つ目。

本式にはピンを一度挿し直すべきだがお試しには面倒なので省き、ワッシャの方に軸より狭い切れ目を入れといて押し込んでいる。(黄緑の丸いの、実際は透明なもの)


この擬きの材料は透明で薄いプラだが廃物利用で、小さい商品が後ろがボール紙台紙で前が透明プラでパッケージされてる様なヤツからだ。

これの厚みが適度になる様「元ネタ」を物色・選別して実施した処、完全じゃないがかなり目立たなくなった。

切れ目があるので擦り減る前に時々
外れて飛んだりするが、その頻度はビータが抜け飛ぶのと同程度で「たまに」である。

加えて俺が無茶な Slide 奏法乱用者なので、アンダープレートと本体との隙間も気になった。

ここの隙間は分解時に必要なものだが Slide 乱用には不都合で、皮からの反動フル活用では下板に掛る力の方向も前後両方になるからだ。

そこで同要領で一番右の様に挟んでるが、これの形は丸じゃなく長方形の2つ折りになっている。


厳密な差は不明だが「隙間の減少」(動きに支障の無い範囲)と硬いの同士じゃなくなって、少なくとも「雑音の音色」は変わって目立ち難くなったと感じている。
想定よりは長持ちしてるし多少の手間は要るが材料入手が全く安易なので、当分の間はこの方法でになっている。
全然テキトーなんだけど、自分のウルサイ鼻息は止められないしねえ。


話が前後するが俺がペダルの雑音が気になり出したのは Speedking 以前からで、新品の精巧な物を持った事が無いのもあるかも知れないが。

これとは別にモータの摩耗でガタが出た軸受け
が原因で、騒音化したファンについても色々延命策を探っている。
しかもベアリング付なら固定軸受けより遥かに減り難い筈なんだが、こっちの予想程「静かな時間」が長持ちしない。


それで音の部分だけで考えてみると

①例えベアリングでも全く隙間が無かったら動けないから隙間は必ずある

②隙間があるなら「当たれる」のでその時必ず音が出る

方式や精度で音量の大小差はあっても、無音は通常あり得ないのに気付いた。


無論動作抵抗はベアリングの方がずっと小さいから可動部に用いるのは有益なんだが、音だけについてだと必ずしもそうならない場合があった。

ベアリング内の球はとても小さく軽いから動き易いが、それが小さくてもチャリチャリ鳴り出す事もあるのだ。


更に人や場合によって靴底と Foot Board の当たる時の音もあるしで、音を無くそうとするより曲に合せようとした方が実用的みたいだ。

太鼓が生楽器なせいで色んな雑音に気を取られるが、エレキギターを弾く腕の袖の擦れる音なんかは余り気にされてない(全然してない俺)様に思った。

2018年3月16日 (金)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉓

音色が良いとも言われてる Speedking 、その原因を解析してみよう。
何時もの様に物理学的面から、概念図を交えて考察する。
又してもだが音の為の機械の分析には音波の理論も必要で、当ブログで音程によって「最低限の音の長さ」が定まってるのを述べた。

音波とは空気の粗密波つまりは空気の「震え」だが、これそのものを可視化するのは困難だ。
その最たる原因は人の目には震えが細か過ぎ・速過ぎて、その程度の見極めがつけられない。
そこで普通はそれを電気に変換し、波形で表して判別されている。
遅ればせながら今回漸くの視覚化、簡単で雑だが先ずは図1を眺めて頂戴。

Sin2_2


黒の横線が基準となる 0V 、赤と水色が音の基音の波形。
縦軸が音の大きさ(電気的には電圧)を、横軸に時間の経過(音程=周波数)を表す。
又実際の楽器の波形はもっと複雑怪奇な形だが、どんなのでも純粋に音程を決めてる成分だけを抽出すれば大体こんな感じになる。
だから基音と称され、音色の成分は倍音と称して区別されてる。

図の赤を
仮に 100Hz とすれば水色が 200Hz になり、簡単に云うと水色は赤の1オクターヴ上の音程って事。
今回直接は不要なので理由は省くが、高い音程のの方が波の数が倍になってる処だけ分かって貰えればOK。

で実際には人の耳や頭の遅さで必ずしも上下ひと山分だけじゃ判定し切れなかったりもするけど、
兎に角最低上下のワンセット分がないと「元の音程」にならなくなるのがミソ。
図の赤の前半の
上側だけでちょん切って止めると、「それだけが連続してる」のと同じ様に聴こえてしまう。

ここで比較し易さの為に「もしそれが続いてたら」を黄色で加えてて、同理由で山と谷の位置を水色に合せる為にわざとずらしてある。
音波は波の山・谷の数と横巾が同じなら、幾ら連結しても音程が変わらない性質を持っている。

試しに
半赤の2コ分=黄の「山」と「谷」を数えてみて、赤を半分にしただけなのに何故か元のより倍に増えてるねえ。
波の形と上下の位置はズレてて違うけど、半赤2コ分=は水色と山谷の数と横間隔が同じ→音程も水色と同じになったって事。
元の音程が出なくなったって現象が発生してて、
この例のは音程が1オクターヴ上に上がってる。

これがKick Pedal だと、「押付けて止め易過ぎる」のが該当するのだ。
それは「ワンセット目の途中で止めちゃった」らで、重低音ともなると最低必要時間も結構長く必要になって来るからだ。
実際は人の感覚で判別不可な瞬時の出来事だが、裏を返せば制御不可領域とも言える。

Closed Kick 時普通演る側は「単に押付けて止める」意識だと思うが、音響の理屈の理想としては「鳴ったら止める」が必須。
でも上記の如く、演る側で瞬時に「鳴らす」「止める」と思って連続させるのはとても無理っぽい。
だから重低音生成の為には人が感知不可な僅かさだが、「ひと足遅れて止まって」くれたら助かってその一例が Speedking なのだ。

太鼓は破裂音の楽器なんで幾ら Mute しても、他楽器等と比べると倍音天国。
流石に Cymbal 等には負けるがそれだけ基音の割が少ないってのは、音程が判り難いって事。
それでシンセベース等より含有率はかなり少ないが、実際の音程はとても低く音程どころか地響きみたいだったら格好良い位だ。
では何故「押付けが弱い」になるか、今回はバーゲンセールだ図2を見よ。

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Foot Board 等は省略の横からの概念図で左x2 が Speedking (カム:黄緑)を若干誇張したの、中x2 が一般的な偏心カム(水色:扁平半円が上手く書けなかったので略)で右が真円カム(藤丸)のつもりだ。
Speedking のにだけオレンジの線があるが、力学的に置換したもの。

一部に Speedking と同様な打点側でペダル軸からカムを引っ張る所の横の距離が減るのもあるが、このタイプの方が現行少なそうなので仮に「逆偏心」と呼ぶ事にする。
真円のが1つしかないのはもうお分かりですね、どの位置でも距離は一緒さ。
で要は赤の両矢印が短いの程ビータ頭を皮へ押付ける力が弱くなってて、もう殆ど下へ引っ張ろうとするだけになってるもんね。

偏心だと押付けが強いので原理的は止めるのが楽そうだが、俺体験では現況理論通り!?の物に出会った試しがない。
原因はバネが強過ぎるからで、それを半分以下に弱めれば効果が表れそうだ。
確かに強押付けなんだがバネ強過ぎによって安定感が減る、力の要る分「状況に合わせた柔軟な受止め」がし難い。

逆偏心でもバネが強過ぎれば同傾向だが押付けが弱くなる分その「反発力」も弱まるので、「鳴った後」を止めとくのが却って少し演り易くなるみたいだ。
前述の重低音に都合が良いのは止まるのが「適度に遅い」だが、これが Kick Pedal の場合「押付け・バネが弱い」のが該当する訳だ。

確かに鳴って直に止まる程アタックが目立って輪郭は明確化するが、意地悪に云えばアタックの倍音がやたら多く低音が無くなってるだけ。
最乱暴にほざけばそんなのだったら最早 Bass (Drum)じゃないよで、他のでもイイんでねだ。
難聴じゃない人に普通は生太鼓の音って爆音な筈で、一聴では音の大きさから来る迫力と過剰倍音の刺激の強さに耳が行く。

勿論誰の好みも否定する気は更々無いが、バスドラらしさの点では「割合が少なくても基音が入ってる」のが唯一の道ですハイ。
生では大音量の迫力で補えてもいざ録ったのを未加工のまま小さ目の音にして聴くと、低音が足りなさ過ぎると大太鼓には聴こえなくなって来ますよ。

さて重低音マニアの俺の実験によると、皮の中心部が微動だに出来なくならない限りかなり Mute しても基音は残るみたいだった。
その割合は相当減って感じられたが、上述「必要な時間的長さ」が確保されてると微かでも残ってた。
だが普通のペダルで馬鹿力脚で無茶な押付け(俺)をすると、No Mute でも低域がお留守になった。

Mute は大抵皮の周囲側からかけるがビータ押付けは中心部、専門用語の分割振動は生き残れても基音生成の動きは妨げられる。
その上クドイけどバネ強だとその分加減する余裕も減るので、もし巧く出来たとしても大変ご苦労さんになるでしょう。
バネ弱や押付け弱は一見止め難そうだがそれは未体験時の想像に過ぎず、多少慣れれば実際の制御はし易くなったのだ。

この普通のペダルでの馬鹿脚力瞬止めが想定外反応になるのは、「強い者同士」の衝突の余波は簡単には収まらないから。
この時の脚はとても硬く固まってるので、僅かにせよ却って反動に正直に反応して動いちゃう。
そして硬いの同士が当たれば余計な音も出易くて、短いバズロール状になって アタックに余計な分身が表れて
結局はボケた

此処迄のアホは力は要って頭はあっちゃイカンので滅多に居ないだろうけど、程度の差があっても現象は同じ。
雨の日にズブ濡れは免れても、傘さしたって大抵どっかがちょっと濡れたりはするじゃない。
これが弱押付け・バネなら車でお出掛けって感じで、濡れる可能性が乗り降り時限定になる様なもんだ。

また皆さんはどうか知らないが俺みたいに踏みっ放しが多いと別問題が生じて、Closed で演りたい場合休符がある時と無い時の音色差が気になって仕方無い。
休符無し時は自動的に Open になるからね、そもそも音創りの調整をどっちに寄せるかだけで悩んで日が暮れそうになる。
Closed が「Closed 過ぎる」と歯切れは良いが存在感が不足し、連打だからこそ粒立ちを目立たせたいのが今度は逆にしか出来ない。

最初は馬鹿だから全力押付け、若かったし叩く時間が短かったから辛うじて出来てたか。
音はヒステリックでちっとも良くないが、録る様な代物じゃなかったから生で大きくするのしか考えて無かった。
その後だんだん時間が延び録る様になる頃には無意識の内に少しは脱力してたが、ここで音色差に悩み始める。

人もペダルも立派に老けた!?頃 Speedking に挑戦する目になって、体だけじゃどうにもならないから漸く少し頭を使わざるを得なくなったのが今。
後は以前の拙ブログに記した通りで、Speedking 以外でもどんな奏法でもなるべく余計な力を抜けると自然に止まるのを知ったんだとさ。

考えてみればコンクリートに球を投付けると跳ね返るけど、フカフカの布団にだとまず跳ね返らない。
のは子供の頃から知ってたのにね、正真正銘のおバカだよねぇ。(´Д`)ハァ…

2018年3月11日 (日)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉒

前回は入り切らずバネだけに終わったが、いよいよペダルの簡易計測だ。
元はバネ強さの比較しか考えてなかったのがここに至った経緯もあり、それが無ければ方法はおろか多分測ろうともしなかったでしょう。
なので
お手数ですが必要なら前回のを「タブ出し」しといて貰って、概念図は逐次参照に願います。

普通のペダルでもバネを著しく弱めると Speedking 特有!?の奏法が可能にはなったが、それでいて実際は大差があったでしたね。
本来なら次は Speedking のバネを測るべきだが、諸問題回避の為敢えて割愛した。
まず種類が引きと押しで違って同一方法での計測が不可(案は浮かぶがバネが横に曲がるのを防ぐ手立てが現状無し)、しかも一度取出すと大量のグリースがやり直しになるので。

取敢えずは一番踏み込んだ状態での物理的相違(必要な力)を比較しようと思い、それなりに確立した積りのが前回の図のやり方だ。
1つはビータ自体の「引き戻そうとする力」で、もう1つはその時の「ペダルを押す力」。
それぞれの強さと同時に、その比率も見てやろうって魂胆だ。

「引き」の方は偶然ビータ長が同一なので、フェルトがヘッドに接する角度時にその付け根を直接バネ秤で引っ張って測ってみた。
Speedking は 100g で FP は 120g だったが、これは FP のバネは代替候補品 1.05kg での値。
つまりオリジナルだともっと強くなる筈なのでその面だけなら「戻り」が速そうなもんだが、実際は少なくとも限界速 Slide 奏法時は全く逆の感触しか無かった。

で「押し」の方は両方とも同一で 700g だった。
厳密に行けば Foot Board の長さ等に僅かでも差異があるが、今回は敢えて無視してる。
と言うのも Ian Paice 式!?連続 Double が、極力 Foot Board の目一杯奥じゃないと速度が出せないからだ。
また今の俺的にはそう云うペダルじゃないと Slid も高速化出来なかったし。

少し話が戻るが両者のビータは全長のみならずフェルト径や重量もかなり近似で、以前それぞれ逆に付けてもほぼ差が無かったのも付け加えておこう。
フェルト硬さや音色も俺的にはほぼ同様だが、これも以前述べたが材質差か唯一の違いはヘッドとフェルト消耗度の割合だ。
Ludwig ではフェルトの方が YAMAHA ではヘッドの方が消耗が早く、因みにペダル自体でのメーカー相違も同様だ。

さてこの結果を受けてどう解釈するかだが、結局「動き方」の違いも大きな要因らしきを認めるしかなさそうだ。
過去の俺体験では俗に云うカムが「真円」かどうかで差を感じなかったから気にせずに居たが、今回そうは行かなくなって来た様だ。
手持ちのペダル残り1つの ROGERS SWIV-O-MATIC を見ると、要約で言うと Speedking とは真逆みたいだった。

またぞろの脱線ないし小休止、手持ちペダルの経緯を少し。
先ず言えるのは俺にとっては好み優先の選択じゃなかった処で、それは主に経済事情に因る。(或は貧乏な癖に欲張った結果とも…)
1つ目が ROGERS SWIV-O-MATIC のヒールが「独立してない」型ので、2つ目が FP で俺にとって深い理由は全く無い。
特に最近では名機の誉れ!?も高い様だが、失礼乍ら今でもまだ自分にとってはそこ迄では無い。
単に馬鹿なのかも知れんが、ニーズと好みに対してジャストフィットじゃないのが主な原因だと思ってる。

最初の2つは身近な処で従兄のドラムの先生から譲って貰った結果だからで、どうやら当時から彼は「見る目」を持ってた様だ。
当時彼はまだ
一介のアマチュアに過ぎなかったが、今にしてみると納得だ。
只流石の従兄も機械的面には俺より弱く、修理や物理学を駆使しての調整が困難で少し手に余してたのだろう。
その面では俺は困らないが俺の都合ではやたらに速いとか強力な『音』が好みで、特に当時だと無理じゃないけどそこは不一致だった。

SWIV-O-MATIC の俺不適合点はヒール部が厚くて高いのとそれも影響して Foot Board の傾斜が水平に近い処で、傾いてる程 Slide がし易く感じるからだ。
当時は今よりイスを低くしてたから尚更で、俺的には不自然な脚のフォームになってしまう。
幸い何でも調節出来る仕様なのを裏利用してギリギリ許容範囲に持ってけてはいるが、ヒールの独特な厚みで左右足のカカト高さが揃わないのはそのままだ。
解消には Hat Stand も揃えるしか無いが、俺経済にちょっと困難な相談だ。

FP の方では俺の欲しいニュートラル位置が前か後ろにズレるのと、Foot Board が Bass Drum センタより Snare 側にズレてるのが不都合だ。
標準配列(旧!?)の 2Tom 1Floor で云う大好きな 2Tom が遠目になり、有効利用度が低下しそうだからだ。
加えて近年まで件の Foot Board の反りのまともな修理も覚束無かったので、やはりそれも使い辛かった。
そもそも今以上に大した腕前じゃなかったから、それでも買換える気は起きなかった。

本題へ戻るが、
SWIV-O-MATIC のホイールはオーバルで FP は真円だ。
前者は解析すると踏み始めが軽くなりそうな対 Foot Board でビータの動きは小、最後は大になっていた。
ビータの慣性モーメントに従ったとも言え、後者はリニアで日本的と言えるかも知れない。
で肝心の Speedking は前者と真逆になってて、この点では踏み始めに力が要る筈の仕様になってる。

だが現実はバネ強さのせいもあるだろうが Speedking だけが桁違いに軽く、重要なのが「動いてる途中」での軽さである。
それが単なる単打だったら理論通りかも知れないけど、そう云うテストはしていない。
少なくとも自分には楽曲中での状態が重要で、目的の技の可否や容易さが問題になるからなのだ。

超高速連続 Slide では足の可動範囲に著しく制限が掛るから、その時にこそ少しでもペダル側に助けて欲しいのだ。
この点
で SWIV-O-MATIC だとビータがヘッドに近い時程 Foot Board が重くなりそうで、真円の FP で大幅バネ弱化のすら不足を感じたからバネ交換テストは見送る事にした。

それと最近では Speedking での方が他のより俺だと最大音量も大きくなる様になれてて、各ペダルをそれぞれ色々調整してみたが今の処チャンピオンベルトの移動は起きていない。
しかもいざ出来てみたらばそれに要する労力がこれも桁違いに軽く、外見とは裏腹にこの方面でも汎用なのを再認識させらてる。
但しある意味業務用だからか「無意味なバカ力」は無視してくれて、「壊す恐さ」以前にそもそもが「非対応」仕様みたいだ。

また音色問題としては理屈上「ヘッドにビータを強く押付けるのは苦手」な Speedking の仕様が俺には好都合で、低音が出易いシステムだ。
従前は Speedking で「普通に止める」のに苦労したが、今度は普通のペダルで「 Speedking 的音色」を出しながら止めようとしたらもっと難しかった。
この件の理屈は詳しくはドラムセット録音の話等で触れたが、要は Mute が早過ぎると「重低音が出る」のに間に合わないからだ。

「鳴ったら瞬時に Mute」を人力で毎回せねばならぬからで、もし何処かの達人が達成出来たとしても毎回一々大変な手間になる。
不完全だとしても大時代的な大雑把な加減でそれを得られる方が、Speedking の方が実践的ではあると思った。
なので FP だとこの目的的には俺は Close 不使用になってて、当時はまだ分かっちゃいなかったが Speedking 移行直前には自然とそうなっていた。

解析としてはかなり中途半端そうだが、他に実験機も無いので今回はこの辺でお開きとさせて頂こう。
それでも自分的には「必要最低限のバネ強さ」と「必要最低限のビータ押付け力」の意味がまた少し分かった気がしている。

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉑

今回は下手すると夏休みの宿題レベルかも知れないが、物理的(理科的!?)な他ペダルとの比較分析だ。
最近週1で従兄の処で一緒に叩いたりしててそこに従兄所有のスピキンもあるが、彼が折角習得中なので他の一般的なのを借用している。
在り来たりのでも俺技が発揮出来たらの狙いも確かにあるが、車移動にも拘らず手間を惜しんでの結果と少々だらしないか!?。

俺環境では裸足のが従兄教室は土足なので、自分の足とペダルの両方を毎回清掃するのが億劫なのだ。
しかも従兄教室 Hi-Hat Stand はストロークは改善したが、バネは強いままだからこっちはせめて靴を履いていたい。
とても言い訳がましいけども実際 Speedking は製造終了から久しいし、寧ろ従兄の所が例外で持参しなけりゃ大抵は他の現代ペダルになる。

また最近は例の奏法が普通のペダルでも全く不可能では無くなりつつあるし、俺的には兎に角先ずバネさえ弱められれば少しは行けそうに感じてた。
それで調整や最低限の部品交換で不完全でも少しは代役が務まらないかと思い、色々試してみる事にしたのだ。


以前から少しだけやり始めてはいたが、手持ちの YAMAHA FP-702 のバネをもっと色々換装してみる。
最近従兄の Hi-Hat Stand の絡みもあったが押しバネ候補は同一2本しか見つかって無いが、引きバネ候補は多数あった。
最終的には試行錯誤しかないものの候補バネの長さもまちまち、その度に強さ調節ネジも調整し直しになる。
そこで今回は闇雲な実験を避け、先に大凡のバネの強さを測る事にした。


どんなに大雑把でも何某か測れれば少なくとも「比率」が掴めるので色々思案し、未だ手元にある
大昔の月刊雑誌付録のほぼ玩具のバネ秤で試した。
こんなものだが全く出鱈目でも無く大体の重さ(本来の用途)はそれなりに測れるし、一応「ゼロ調整ツマミ」も付いてる。
最初は「バネ自体」の強さを測り、その後ペダル全体の様子が知りたくなって
図説の方法で測ってみた。

1

毎度お馴染み!?の図解だが左が横からで中の緑▽が前、右がそのバネ秤の概念図。
左図赤・青が計測点だが、実際はペダルフレームに邪魔されるので工夫を要す。
中図の様に Foot Board 先端に棒を渡し緑表示の紐を両端へ結び、紐の先端をバネ秤のフックへとしてフレームを回避した。

この時バネ秤を通常使用とは逆さにしてペダルの下へ引っ張る空間確保に、適度な巾の角材上にペダルを置き角材自体を床面から嵩上げした。(実際は図の5倍位の下部空間)

最初はバネ強さであるが先ずは基準になるオリジナルで、ニュートラルからビータがヘッドに接する迄が現設定では 6mm の伸びだった。
そこで 6mm 伸ばす力を簡易測定するとして片端を固定、反対端を使用法が逆になるがバネ秤で引っ張ってみた。
結果は大体 2kg とギリギリ測れるのが分かったから、他のも同様にやってみる。

以前試したのバネは換装して踏んだ感じは若干弱まってたが測ったらオリジナルと一緒😢、どうりで断念した訳だ。
実は今回「もう1つのキッカケ」になったのがあって、従兄から FP のスペアと思しきバネを貰った。
ところが揃いも揃っての大勘違いでそれは Stratocaster のアームのだっ!!、持って来る前に偽物でも2人とも Strato 所持してるのに気づかぬボケぶりとは参った。

だが本来用途には2人とも間に合ってるし引きバネには違いないし、勘違いの元凶はサイズが近似だったせいなので試しに測ってみると
1.7kg と少し弱い。
瓢箪から駒だが換装してお試し踏みしてみると、オリジナルよりは俺流スピキンテク!?が僅かに通用し始めた。
やはり方向性としては俺には良さそうだったがまだ俺脚には辛いし、
最大の欠点はかなりの音量低下で FP で俺的には初体験現象だ

因みに従兄の所等で俺的バネ強ペダルでバネ以外の調整で多少マシになった方法はストローク短縮だったが、この時は音量に差は感じなかった。
これは手持ちの FP の方がマシだったから、それの状態にに近付けてみた訳だ。
現況の Slide 奏法が発展・完成!?したのは Speedking 様のお陰だが、発想自体のキッカケは FP で得られたものだ。

またビータ自体の長さは並のシャフト長のだと自分には速度に無関係だったので、Speedking に習い最大長としている。
感覚的にも Foot Board より大幅にビータが振れる方が良くて、Slide 奏法では操作側では最短ストロークしか取れないから余計そう感じるみたいだ。

しかし今回斯様にビータ長ではもう稼げないとなると、俺的には禁だったストローク延長しか手が無い。
古いので連続調節は効かず「隣のネジ穴へ移動」のみで、そもそも俺理想には元の位置は短めに感じては居た。
でもたった1つ隣でも今迄の条件では不具合感満載だったからだ。

今回の成行き上ではもっと弱いバネが要るので計測してくと、1.05kg と大体半分位のが見つかった。
これを試すと今迄に無かったやり易さ!!、かなり行ける(様な気がした)。
半分偶然だがビータのニュートラル時の角度も大体同一になってて、見掛けと踏力上はかなり近似になった。

確認の為 Speedking にすぐさま交換して踏んでみると、「残念でした~ぁ」全然違うわ。
単独では奏法が可能になったので良かったが、比較したら労力も速度も断然Speedking が圧倒であった。
半分は察してたけれど、もしこんなんで得られれば大変お得と思ったが大甘に終る。

収穫としては「一応出来る」でこれは俺にとっちゃそれなりの成果だ。
「別のペダル」だから
当然とも言えなく無いが、バネ・角度・ビータ等はほぼ同一でこの大差は何だと改めて思う。
今回は最終的にはボケからの甘と散々だって悔しいから、次回へつづく!?。

2018年3月 2日 (金)

ドラムセット録音の話➄「Mic の適合性(物理的)図解編」

ドラム録音での Mic 選択の適合性に行くが、物理原理的観点からのだ。
度々触れてるが好みや裏技等とこの世界では何でもアリだし、それを否定する気は更々無いのを断っておく。
実際使用時に完全な可否は無いが、目的や意図に対しての可否は明確に存在している。
なので Mic 各方式の性質を知ってた方が便利で、少なくとも俺はそれが役立っている。

1

波形の概念図の説明だが実際の楽器の波形はもっと複雑なのと上下にあるが、今回の説明に不要なので上半分を簡略化で描いた。
 黄:楽器の波形
 桃:ダイナミック型の拾える範囲
 水:コンデンサ型が拾える範囲

左が音源に近く、右が少し離れた場合の例。

始めは太鼓と金物( Cymbal )に対してで基本的には太鼓はダイナミック型、金物にはコンデンサ型が合っている。
前回記した通りダイナミックは速度・コンデンサは感度に優れるからで、他にも Cymbal は太鼓より距離を離して拾った方がらしい音になり勝ちなのもある。

逆にしたらどうかと云うと必ずしも駄目ではないが、以下の点が不利で工夫が必要になって来る。
運良く高耐入力のコンデンサがあって太鼓の On (超近接集音)でも平気だとして、好みを除くとそのままの音は拾えて居ない。

Cymbal だと耳では太鼓と同音量に感じても実際はせいぜい半分の音量しか出てないので、大抵はダイナミックならコンデンサより近付ける事になるだろう。(これについては次回)
普段人が(一番近くの太鼓奏者でも!)聴くより近いのと、倍音の上の方が欠けて(特に余韻の終りの部分等では)かなり違う印象になる。

これも以前書いたが体験しての実感で波形等色々分析するとちゃんと高域は入ってるのに、いざ聴くと艶とか鮮明さが何故か殆どお留守になっててどうにも地味なのだ。
当時はコンデンサ不所持だし俺言い「目立つ倍音」思想が無かったので、迷宮入り&諦めて妥協&苦しい誤魔化し。

ここで疑問視されそうな「目立つ」が少々「訳あり」で、俺言い「目立つ倍音」は人耳に対しての事だ。
つまり耳に目立っても電気・物理的には同じと限らず、実際の含有量が思いの外少ない場合が多々あるのだ。

だからそれが欠けると途端に別物っぽくなってしまい、一度無くすと後からどうにかするのが大変困難になる。
目立つ倍音は周波数(音程的高さ)のみならずその出方(音量の上下の仕方)等総合的に成り立ってるので、少し補えても
後での完全再現はまず無理で安物コンデンサにも負ける程だろう。

残念だが最近は特に Off  用ダイナミックを見かけないので俺も未知だが、あっても Cymbal の「らしさ」を気にするならコンデンサ型系一択になると思う。
では太鼓をコンデンサでで有効なのが、Off Mic の場合だ。
少しでも距離が増せばその分音の到達時間も遅れ、コンデンサでも追付いて来るからだ。

波形的に言うと最初の「山の傾斜がなだらかになる」で、その分斜面の低い所から拾える様になる。
最大音時のピーク成分(波形にすると最初の尖った高い山)も間の空気が多いとマイルドになり、この面でも悪影響が格段に減る。

図では手抜きして山の高さと傾斜だけ違えてあるが、更に現実には山の尖り具合も鈍くなったりと…。
御免なさい、これ位で勘弁しといて。

因みに Mic の速度差は人に検知出来る時間的長さでは無く、万一判るとしらそれは微妙な音色差等になるだろう。
以前の繰返しになるが昔と違い現代の標準的デジタル録音だと、ほぼ Mic で「拾えたありのまま」が記録される。

録った後の音響処理にしてもデジタルは「必ずしも美味しくは無く」ても、目的以外の部分が変形させられる事がほぼ無くなっている。
だから「昔より好みじゃない」にしても、「Mic の音」が最後迄影響し易くなったのだ。

2018年3月 1日 (木)

Hi-HatとそのStand⑩

昨日従兄の所へ Paiste 602 を持ってって彼が試奏したが、以前と違ってかなり気に入った様だった。
これは加齢からの好みの変化とか彼の工夫で Hi-Hat Stand が小改良されたのも無視出来ないが、ちょっとした秘密!?が他にもあったのだ。

もう一つ私的だが俺の娘が従兄と似たのか、バカテクなのにベーシックが駄目で親父として困り果ててる話し。
この人普通科大学の受験に失敗し音大しか行けず、俺の貧乏を強力に後押しして下さってる。
そう云う学校だから卒業後の就職先は音楽業界になり勝ちだが、職業音楽家なら先ずベーシック部分の腕が何しろモノを言うから大問題なのだ。

さて1つ目だが実際は秘密って程大袈裟じゃないんだが、Hat Top の Cup の裏側に
以前から貼ってた「布ガムテープ」を剥がしといた。
大昔に貼ったのなんで剥がしただけじゃテープの糊がふんだんに残るが、それで素と差が出てはいけないと思いこそぎ落して措いた。

最近の実験で薄手・柔らか目な Cymbal 程、その保持の僅かな差が音に出易いのを実感してたからだ。
作業し終えた時点での俺的パッと聴きではあってもなくても大差は感じなかったが、より本物の人にとってはハッキリ認識出来たのかも知れない。

また代替候補になりそうなバネを宅の我楽多山から抽出して持参したが、寸法がギリギリ合わずこっちは残念でしたに終わる。
彼が今回施した小改良はバネストロークの不足を小さなゴムを挟んで補ったので、効果は大いに出てたがまだ寸法がこっちは足りてない。

それで薄手・柔らか目の時は「細心の注意」で押さえてないと、すぐに「不要 Mute」状態となり易かった。
そもそもはこれを彼にも気付いて欲しくて、602 を持参したんだ。
そこから今度は別方向へ2人の興味が行って、Cymbal の掃除になった。

彼の教室は表通り沿いのコンクリビルの地下にあるが、随分時間がたっても湿気がとても多く頻繁に除湿器をかけている。
日によっちゃたった一晩でそれのタンクが満水になるが、これと通りからの煤が悪さをしてそうだと見たのでこうなったのだ。

最初は Ride のチップ音の目立つ筈の倍音が Cymbal の型の割に妙に少なくボケた感じの違和感を覚え、彼がじゃあ一寸やってみるかとなった。
外見上は大して汚れて無さそうだったが、驚く程全然違う音になった。
ついでで彼の Zildjian New Beat Hi-Hat にも施すと、こちらも豹変してまたビックリ。

それで判明したのが細かくて深めの溝切加工のある Cymbal では、「溝が埋まって浅く」なると「目立つ倍音」に特に大幅に影響が出る処だ。
かつて一時期に「表面ツルツル」 Cymbal が流行ったのは、今更だが見た目だけじゃなくこれもあったのかも知れないと思った。

表題の Stand 自体はまだ道半ばで薄手・柔らか目の時は要注意だが、腕のある人だったら手に負える位にはなった様だ。
但しもっと良くなったら(特にフェルト硬過ぎの解消)、従兄の弱点!?が必ず減らせるのを保障致します。
無意識で求める音が出せるに越した事は無いんだからねえ。

こうしてハード面の一応の整備が完了したのに、Cymbal によって凄腕の従兄の方がまだ妙に埋もれる時があった。
これは結局上手くてどうとでも加減出来るのが、「余計な所」へ顔を出すのがマズかったんだろう。

加減が次元違いに下手な俺は最低限確保へ注力するし、技の不足を音色で補わなければならないからそこだけはある程度維持される。
考えてみると今従兄は教師としてかなり出世して腕も格段に上がったのに、昔より録音に呼ばれなくなってる様にも伺えるのはこの辺のせいか。

彼は先ずドラム好きなのと比べると俺は曲で叩きたいのが主なので正常進化なんだろうが、俺からは宝の持ち腐れに見えて勿体無い。
これって金持ち対貧乏人とも似てそうだが、羨ましくていて残念な感じ。

そしてこれが宅の娘話しへリンクするんだが、長年ちゃんと習った割に「簡単なの」のクウォリティが低過ぎるのだ。
職業音楽家に技術は当然必要だが順番があり、どんなに簡単だろうと先ず「プロの音」を出せるのが最低限だと俺は思う。

音楽は動画全盛の現代でも芝居等他のと比べりゃ、見せる為の物より「聴ける」かが大事だからだ。
本当に見るのメインだと例えば俺だったら楽器なんか別に出来なくたって美人な程良いし、なるべく薄着だったりしたら大喜びだ。

それに太鼓より他のが主役なのも圧倒的に多いとなりゃ尚更で、超絶技を出せる機会は全体からは僅かしかない。
娘の
メイン楽器は太鼓でなくピアノなので太鼓よりは前に位置し易いが、彼女の希望は「バレエピアニスト」でこれは正真正銘の伴奏である。

やはり音色に影響する部分はこの様な観点からだと全く無視出来ない、録音屋の立場としても「録れる音」になるまで録るのは遠慮したくなる。
他力本願的思考だが出音のせいで下手な録音だと思われたくないから、もし音色に無神経な癖に拘り捲る奏者に当たると最悪なのだ。

真っ当な録音屋なら「その人の音」を決して変え様とはしない、只「その人が本来出せる最高の音」を録ってあげたいと考えるのだ。
録音屋も原点は「イイ音」が好きから来てるんだから、それを追及するのは半ば使命なのだ。

ドラムセット録音の話④「Mic の構造 図解編」

Mic の構造の差による「作用の仕方」の違いの説明で、概念図を書いてみた。
俺程度のヤツが幾ら頑張っても苦手な人には分り難そうだが、なるべく演奏者観点からとしてみた。
電気的原理は必要最低限としてるのでそれは他所様へ、これで果たして効果があるかどうか…。

では図の説明前にちょっとだけ予備知識で知っといて欲しいのが、「音って何」についてだ。
勿論「耳に聴こえるもの」なんだが物理的には何かと言うと、「空気の振動」だ。
実際には「震え」と言う方が近い感じで、人が数えられない位細かい振動。
この「空気の震え」を捕えて電気に変換・出力するのが Mic なのだ。

太鼓や Cymbal を叩くと皮や板( Cymbal )が振動(震え)するが、それが空気を「揺らす」(震わせる)。
「1つの区切り」(部屋等)の中の空気は全部「繋がってる」ので恐ろしく小さな音以外は、全体の空気が震える。
空気が軽いから僅かな力でも「微かに」なら動かせ(震え)て、人の耳にも到達して音として聴こえる。
この震えの回数が音の周波数で、特定範囲の周波数の場合に音と感じる。
「特定範囲外」の下はそれこそ正に「振動」で、上が所謂「超音波」になってる。

Mic1
図自体の説明( Mic 心臓部横断面概念)

 青:フレーム(下の切れ目は空気抜きの穴)

 赤:振動板(音を受ける所)

 灰色:磁石

 オレンジの小さい丸:コイル(電線を巻いた物)

 緑:固定電極(電気は通って動かない)


この図では省略してるがダイナミックはオレンジから2本、コンデンサは赤と

緑のそれぞれから電線が出ててそれが電気出力だ。

この時点で分からなくても慌てずに、今回は名前が重要ではない。

各部の「色」でどんな「仕事」を担当してるか説明して行く。

青は誰でもすぐ分かる「入物」とか「台」、赤が「空気によって震える」所で音の入り口だ。

そしてここから先がダイナミック型(左)とコンデンサ型(右)で違い始めるが、そのせいで「赤の震え方」も違って音色の特徴が別れる。

最初にダイナミックは赤と一緒にオレンジ丸も動くが、「動くぐるぐる巻きの電線」と「動かない磁石」の組合せは乾電池で回るモータとそっくりだ。
モータは磁石の中で線が回るが Mic は往復運動と動き方は違うが、電気⇔運動の変換原理は同じだ。
因みに電気で回す時にモータと呼び回して電気を起こすのを発電機と呼ぶだけで、原理的には両者は同一。

ここで重要なのは空気の震えはとても非力なので、赤はとても軽くしないとならない。
それで極薄を目指すのだが「余計な変形」があっては困り、「音がゆがむ」つまり歪んだり違う音になったりしてしまう。
そこで平らな所の両側が波みたいに書いたが、ここだけ音を拾わず平らな所が自由に動ける為の柔らかいシワみたいにしてある。(スピーカの円周部と近似)

現物のは赤部分は大抵は円盤型で余計な変形をし難い様に Cymbal みたいに少し膨らみを持たせてて、「シワ」はもっと複雑な形になってる。
兎に角これらで空気の震えをほぼそのままで、電線の震えにしてるのだ。

次にコンデンサ型だが緑の所はわざと動かない様にしてあり、赤との間も物凄く狭い隙間にしてある。
これの場合赤も電気が通る物になってるが、赤と緑の間には電子が詰ってる。
コンデンサとはそもそも一時的に貯めとける電池みたいな物で、Mic の場合隙間の距離が変わるとそれに応じて出力電圧が変化する。

隙間が極僅かなのでダイナミック型みたいに赤が「動ける」と、緑とくっ付いちゃって機能しなくなる。
動きが小さくて平気だし「震える所の電線」がいらないので、ダイナミックよりは重さの心配が減ってその分大きくも出来たりする。

そして僅かな隙間・震え(動き)が小さくてOKなので、ダイナミックより小さい音にも反応出来るのだ。
但し「間接発電」なのでダイナミックの「直接」よりは、時間が掛るので「音のアタック成分」に対してリニアじゃないのだ。
また僅かで良いを逆に見ると「沢山は駄目」なので大きい音の側は小さい方と比べたら、原理から来る性質としても不得意でここでも
実はリニアじゃない

ここからが本題で上述の通りダイナミック型は直接的で言い換えると原始的でもあるので、低性能でも音への「副作用」は起き難い。
反対にコンデンサ型は高性能だが様々な手間や副作用への工夫が要るが、負の要素を「完全に排除するのは不可能」なのがポイントだ。

取敢えず「そのままを拾える」点ではダイナミック型の圧勝だが、如何せん「拾え切れない音」も結構多い。
とても小さい音や人が聴ける最低音から最高音までを1コで同時に等が無理
で、「とても小さい」は単なる全体の音量以外にも影響するのが注意点だ。

つまり倍音(音色決定要素)が基音(音程決定要素)より極端に小さい場合、一言で表せば「無視」される。
一方コンデンサの方を一言で表すと、音の多くの部分が勝手に「演出済み」になってしまう。

人の好みに対しては甲乙が付きはしないが、場合によっては「無理」な事もあるのだ。

<つづく>

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