Hi-HatとそのStand⑩
昨日従兄の所へ Paiste 602 を持ってって彼が試奏したが、以前と違ってかなり気に入った様だった。
これは加齢からの好みの変化とか彼の工夫で Hi-Hat Stand が小改良されたのも無視出来ないが、ちょっとした秘密!?が他にもあったのだ。
もう一つ私的だが俺の娘が従兄と似たのか、バカテクなのにベーシックが駄目で親父として困り果ててる話し。
この人普通科大学の受験に失敗し音大しか行けず、俺の貧乏を強力に後押しして下さってる。
そう云う学校だから卒業後の就職先は音楽業界になり勝ちだが、職業音楽家なら先ずベーシック部分の腕が何しろモノを言うから大問題なのだ。
さて1つ目だが実際は秘密って程大袈裟じゃないんだが、Hat Top の Cup の裏側に以前から貼ってた「布ガムテープ」を剥がしといた。
大昔に貼ったのなんで剥がしただけじゃテープの糊がふんだんに残るが、それで素と差が出てはいけないと思いこそぎ落して措いた。
最近の実験で薄手・柔らか目な Cymbal 程、その保持の僅かな差が音に出易いのを実感してたからだ。
作業し終えた時点での俺的パッと聴きではあってもなくても大差は感じなかったが、より本物の人にとってはハッキリ認識出来たのかも知れない。
また代替候補になりそうなバネを宅の我楽多山から抽出して持参したが、寸法がギリギリ合わずこっちは残念でしたに終わる。
彼が今回施した小改良はバネストロークの不足を小さなゴムを挟んで補ったので、効果は大いに出てたがまだ寸法がこっちは足りてない。
それで薄手・柔らか目の時は「細心の注意」で押さえてないと、すぐに「不要 Mute」状態となり易かった。
そもそもはこれを彼にも気付いて欲しくて、602 を持参したんだ。
そこから今度は別方向へ2人の興味が行って、Cymbal の掃除になった。
彼の教室は表通り沿いのコンクリビルの地下にあるが、随分時間がたっても湿気がとても多く頻繁に除湿器をかけている。
日によっちゃたった一晩でそれのタンクが満水になるが、これと通りからの煤が悪さをしてそうだと見たのでこうなったのだ。
最初は Ride のチップ音の目立つ筈の倍音が Cymbal の型の割に妙に少なくボケた感じの違和感を覚え、彼がじゃあ一寸やってみるかとなった。
外見上は大して汚れて無さそうだったが、驚く程全然違う音になった。
ついでで彼の Zildjian New Beat Hi-Hat にも施すと、こちらも豹変してまたビックリ。
それで判明したのが細かくて深めの溝切加工のある Cymbal では、「溝が埋まって浅く」なると「目立つ倍音」に特に大幅に影響が出る処だ。
かつて一時期に「表面ツルツル」 Cymbal が流行ったのは、今更だが見た目だけじゃなくこれもあったのかも知れないと思った。
表題の Stand 自体はまだ道半ばで薄手・柔らか目の時は要注意だが、腕のある人だったら手に負える位にはなった様だ。
但しもっと良くなったら(特にフェルト硬過ぎの解消)、従兄の弱点!?が必ず減らせるのを保障致します。
無意識で求める音が出せるに越した事は無いんだからねえ。
こうしてハード面の一応の整備が完了したのに、Cymbal によって凄腕の従兄の方がまだ妙に埋もれる時があった。
これは結局上手くてどうとでも加減出来るのが、「余計な所」へ顔を出すのがマズかったんだろう。
加減が次元違いに下手な俺は最低限確保へ注力するし、技の不足を音色で補わなければならないからそこだけはある程度維持される。
考えてみると今従兄は教師としてかなり出世して腕も格段に上がったのに、昔より録音に呼ばれなくなってる様にも伺えるのはこの辺のせいか。
彼は先ずドラム好きなのと比べると俺は曲で叩きたいのが主なので正常進化なんだろうが、俺からは宝の持ち腐れに見えて勿体無い。
これって金持ち対貧乏人とも似てそうだが、羨ましくていて残念な感じ。
そしてこれが宅の娘話しへリンクするんだが、長年ちゃんと習った割に「簡単なの」のクウォリティが低過ぎるのだ。
職業音楽家に技術は当然必要だが順番があり、どんなに簡単だろうと先ず「プロの音」を出せるのが最低限だと俺は思う。
音楽は動画全盛の現代でも芝居等他のと比べりゃ、見せる為の物より「聴ける」かが大事だからだ。
本当に見るのメインだと例えば俺だったら楽器なんか別に出来なくたって美人な程良いし、なるべく薄着だったりしたら大喜びだ。
それに太鼓より他のが主役なのも圧倒的に多いとなりゃ尚更で、超絶技を出せる機会は全体からは僅かしかない。
娘のメイン楽器は太鼓でなくピアノなので太鼓よりは前に位置し易いが、彼女の希望は「バレエピアニスト」でこれは正真正銘の伴奏である。
やはり音色に影響する部分はこの様な観点からだと全く無視出来ない、録音屋の立場としても「録れる音」になるまで録るのは遠慮したくなる。
他力本願的思考だが出音のせいで下手な録音だと思われたくないから、もし音色に無神経な癖に拘り捲る奏者に当たると最悪なのだ。
真っ当な録音屋なら「その人の音」を決して変え様とはしない、只「その人が本来出せる最高の音」を録ってあげたいと考えるのだ。
録音屋も原点は「イイ音」が好きから来てるんだから、それを追及するのは半ば使命なのだ。
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