50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉒
前回は入り切らずバネだけに終わったが、いよいよペダルの簡易計測だ。
元はバネ強さの比較しか考えてなかったのがここに至った経緯もあり、それが無ければ方法はおろか多分測ろうともしなかったでしょう。
なのでお手数ですが必要なら前回のを「タブ出し」しといて貰って、概念図は逐次参照に願います。
普通のペダルでもバネを著しく弱めると Speedking 特有!?の奏法が可能にはなったが、それでいて実際は大差があったでしたね。
本来なら次は Speedking のバネを測るべきだが、諸問題回避の為敢えて割愛した。
まず種類が引きと押しで違って同一方法での計測が不可(案は浮かぶがバネが横に曲がるのを防ぐ手立てが現状無し)、しかも一度取出すと大量のグリースがやり直しになるので。
取敢えずは一番踏み込んだ状態での物理的相違(必要な力)を比較しようと思い、それなりに確立した積りのが前回の図のやり方だ。
1つはビータ自体の「引き戻そうとする力」で、もう1つはその時の「ペダルを押す力」。
それぞれの強さと同時に、その比率も見てやろうって魂胆だ。
「引き」の方は偶然ビータ長が同一なので、フェルトがヘッドに接する角度時にその付け根を直接バネ秤で引っ張って測ってみた。
Speedking は 100g で FP は 120g だったが、これは FP のバネは代替候補品 1.05kg での値。
つまりオリジナルだともっと強くなる筈なのでその面だけなら「戻り」が速そうなもんだが、実際は少なくとも限界速 Slide 奏法時は全く逆の感触しか無かった。
で「押し」の方は両方とも同一で 700g だった。
厳密に行けば Foot Board の長さ等に僅かでも差異があるが、今回は敢えて無視してる。
と言うのも Ian Paice 式!?連続 Double が、極力 Foot Board の目一杯奥じゃないと速度が出せないからだ。
また今の俺的にはそう云うペダルじゃないと Slid も高速化出来なかったし。
少し話が戻るが両者のビータは全長のみならずフェルト径や重量もかなり近似で、以前それぞれ逆に付けてもほぼ差が無かったのも付け加えておこう。
フェルト硬さや音色も俺的にはほぼ同様だが、これも以前述べたが材質差か唯一の違いはヘッドとフェルト消耗度の割合だ。
Ludwig ではフェルトの方が YAMAHA ではヘッドの方が消耗が早く、因みにペダル自体でのメーカー相違も同様だ。
さてこの結果を受けてどう解釈するかだが、結局「動き方」の違いも大きな要因らしきを認めるしかなさそうだ。
過去の俺体験では俗に云うカムが「真円」かどうかで差を感じなかったから気にせずに居たが、今回そうは行かなくなって来た様だ。
手持ちのペダル残り1つの ROGERS SWIV-O-MATIC を見ると、要約で言うと Speedking とは真逆みたいだった。
またぞろの脱線ないし小休止、手持ちペダルの経緯を少し。
先ず言えるのは俺にとっては好み優先の選択じゃなかった処で、それは主に経済事情に因る。(或は貧乏な癖に欲張った結果とも…)
1つ目が ROGERS SWIV-O-MATIC のヒールが「独立してない」型ので、2つ目が FP で俺にとって深い理由は全く無い。
特に最近では名機の誉れ!?も高い様だが、失礼乍ら今でもまだ自分にとってはそこ迄では無い。
単に馬鹿なのかも知れんが、ニーズと好みに対してジャストフィットじゃないのが主な原因だと思ってる。
最初の2つは身近な処で従兄のドラムの先生から譲って貰った結果だからで、どうやら当時から彼は「見る目」を持ってた様だ。
当時彼はまだ一介のアマチュアに過ぎなかったが、今にしてみると納得だ。
只流石の従兄も機械的面には俺より弱く、修理や物理学を駆使しての調整が困難で少し手に余してたのだろう。
その面では俺は困らないが俺の都合ではやたらに速いとか強力な『音』が好みで、特に当時だと無理じゃないけどそこは不一致だった。
SWIV-O-MATIC の俺不適合点はヒール部が厚くて高いのとそれも影響して Foot Board の傾斜が水平に近い処で、傾いてる程 Slide がし易く感じるからだ。
当時は今よりイスを低くしてたから尚更で、俺的には不自然な脚のフォームになってしまう。
幸い何でも調節出来る仕様なのを裏利用してギリギリ許容範囲に持ってけてはいるが、ヒールの独特な厚みで左右足のカカト高さが揃わないのはそのままだ。
解消には Hat Stand も揃えるしか無いが、俺経済にちょっと困難な相談だ。
FP の方では俺の欲しいニュートラル位置が前か後ろにズレるのと、Foot Board が Bass Drum センタより Snare 側にズレてるのが不都合だ。
標準配列(旧!?)の 2Tom 1Floor で云う大好きな 2Tom が遠目になり、有効利用度が低下しそうだからだ。
加えて近年まで件の Foot Board の反りのまともな修理も覚束無かったので、やはりそれも使い辛かった。
そもそも今以上に大した腕前じゃなかったから、それでも買換える気は起きなかった。
本題へ戻るが、SWIV-O-MATIC のホイールはオーバルで FP は真円だ。
前者は解析すると踏み始めが軽くなりそうな対 Foot Board でビータの動きは小、最後は大になっていた。
ビータの慣性モーメントに従ったとも言え、後者はリニアで日本的と言えるかも知れない。
で肝心の Speedking は前者と真逆になってて、この点では踏み始めに力が要る筈の仕様になってる。
だが現実はバネ強さのせいもあるだろうが Speedking だけが桁違いに軽く、重要なのが「動いてる途中」での軽さである。
それが単なる単打だったら理論通りかも知れないけど、そう云うテストはしていない。
少なくとも自分には楽曲中での状態が重要で、目的の技の可否や容易さが問題になるからなのだ。
超高速連続 Slide では足の可動範囲に著しく制限が掛るから、その時にこそ少しでもペダル側に助けて欲しいのだ。
この点で SWIV-O-MATIC だとビータがヘッドに近い時程 Foot Board が重くなりそうで、真円の FP で大幅バネ弱化のすら不足を感じたからバネ交換テストは見送る事にした。
それと最近では Speedking での方が他のより俺だと最大音量も大きくなる様になれてて、各ペダルをそれぞれ色々調整してみたが今の処チャンピオンベルトの移動は起きていない。
しかもいざ出来てみたらばそれに要する労力がこれも桁違いに軽く、外見とは裏腹にこの方面でも汎用なのを再認識させらてる。
但しある意味業務用だからか「無意味なバカ力」は無視してくれて、「壊す恐さ」以前にそもそもが「非対応」仕様みたいだ。
また音色問題としては理屈上「ヘッドにビータを強く押付けるのは苦手」な Speedking の仕様が俺には好都合で、低音が出易いシステムだ。
従前は Speedking で「普通に止める」のに苦労したが、今度は普通のペダルで「 Speedking 的音色」を出しながら止めようとしたらもっと難しかった。
この件の理屈は詳しくはドラムセット録音の話等で触れたが、要は Mute が早過ぎると「重低音が出る」のに間に合わないからだ。
「鳴ったら瞬時に Mute」を人力で毎回せねばならぬからで、もし何処かの達人が達成出来たとしても毎回一々大変な手間になる。
不完全だとしても大時代的な大雑把な加減でそれを得られる方が、Speedking の方が実践的ではあると思った。
なので FP だとこの目的的には俺は Close 不使用になってて、当時はまだ分かっちゃいなかったが Speedking 移行直前には自然とそうなっていた。
解析としてはかなり中途半端そうだが、他に実験機も無いので今回はこの辺でお開きとさせて頂こう。
それでも自分的には「必要最低限のバネ強さ」と「必要最低限のビータ押付け力」の意味がまた少し分かった気がしている。
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