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2018年3月16日 (金)

50歳からのSpeedking(ペダルの話)㉓

音色が良いとも言われてる Speedking 、その原因を解析してみよう。
何時もの様に物理学的面から、概念図を交えて考察する。
又してもだが音の為の機械の分析には音波の理論も必要で、当ブログで音程によって「最低限の音の長さ」が定まってるのを述べた。

音波とは空気の粗密波つまりは空気の「震え」だが、これそのものを可視化するのは困難だ。
その最たる原因は人の目には震えが細か過ぎ・速過ぎて、その程度の見極めがつけられない。
そこで普通はそれを電気に変換し、波形で表して判別されている。
遅ればせながら今回漸くの視覚化、簡単で雑だが先ずは図1を眺めて頂戴。

Sin2_2


黒の横線が基準となる 0V 、赤と水色が音の基音の波形。
縦軸が音の大きさ(電気的には電圧)を、横軸に時間の経過(音程=周波数)を表す。
又実際の楽器の波形はもっと複雑怪奇な形だが、どんなのでも純粋に音程を決めてる成分だけを抽出すれば大体こんな感じになる。
だから基音と称され、音色の成分は倍音と称して区別されてる。

図の赤を
仮に 100Hz とすれば水色が 200Hz になり、簡単に云うと水色は赤の1オクターヴ上の音程って事。
今回直接は不要なので理由は省くが、高い音程のの方が波の数が倍になってる処だけ分かって貰えればOK。

で実際には人の耳や頭の遅さで必ずしも上下ひと山分だけじゃ判定し切れなかったりもするけど、
兎に角最低上下のワンセット分がないと「元の音程」にならなくなるのがミソ。
図の赤の前半の
上側だけでちょん切って止めると、「それだけが連続してる」のと同じ様に聴こえてしまう。

ここで比較し易さの為に「もしそれが続いてたら」を黄色で加えてて、同理由で山と谷の位置を水色に合せる為にわざとずらしてある。
音波は波の山・谷の数と横巾が同じなら、幾ら連結しても音程が変わらない性質を持っている。

試しに
半赤の2コ分=黄の「山」と「谷」を数えてみて、赤を半分にしただけなのに何故か元のより倍に増えてるねえ。
波の形と上下の位置はズレてて違うけど、半赤2コ分=は水色と山谷の数と横間隔が同じ→音程も水色と同じになったって事。
元の音程が出なくなったって現象が発生してて、
この例のは音程が1オクターヴ上に上がってる。

これがKick Pedal だと、「押付けて止め易過ぎる」のが該当するのだ。
それは「ワンセット目の途中で止めちゃった」らで、重低音ともなると最低必要時間も結構長く必要になって来るからだ。
実際は人の感覚で判別不可な瞬時の出来事だが、裏を返せば制御不可領域とも言える。

Closed Kick 時普通演る側は「単に押付けて止める」意識だと思うが、音響の理屈の理想としては「鳴ったら止める」が必須。
でも上記の如く、演る側で瞬時に「鳴らす」「止める」と思って連続させるのはとても無理っぽい。
だから重低音生成の為には人が感知不可な僅かさだが、「ひと足遅れて止まって」くれたら助かってその一例が Speedking なのだ。

太鼓は破裂音の楽器なんで幾ら Mute しても、他楽器等と比べると倍音天国。
流石に Cymbal 等には負けるがそれだけ基音の割が少ないってのは、音程が判り難いって事。
それでシンセベース等より含有率はかなり少ないが、実際の音程はとても低く音程どころか地響きみたいだったら格好良い位だ。
では何故「押付けが弱い」になるか、今回はバーゲンセールだ図2を見よ。

1
Foot Board 等は省略の横からの概念図で左x2 が Speedking (カム:黄緑)を若干誇張したの、中x2 が一般的な偏心カム(水色:扁平半円が上手く書けなかったので略)で右が真円カム(藤丸)のつもりだ。
Speedking のにだけオレンジの線があるが、力学的に置換したもの。

一部に Speedking と同様な打点側でペダル軸からカムを引っ張る所の横の距離が減るのもあるが、このタイプの方が現行少なそうなので仮に「逆偏心」と呼ぶ事にする。
真円のが1つしかないのはもうお分かりですね、どの位置でも距離は一緒さ。
で要は赤の両矢印が短いの程ビータ頭を皮へ押付ける力が弱くなってて、もう殆ど下へ引っ張ろうとするだけになってるもんね。

偏心だと押付けが強いので原理的は止めるのが楽そうだが、俺体験では現況理論通り!?の物に出会った試しがない。
原因はバネが強過ぎるからで、それを半分以下に弱めれば効果が表れそうだ。
確かに強押付けなんだがバネ強過ぎによって安定感が減る、力の要る分「状況に合わせた柔軟な受止め」がし難い。

逆偏心でもバネが強過ぎれば同傾向だが押付けが弱くなる分その「反発力」も弱まるので、「鳴った後」を止めとくのが却って少し演り易くなるみたいだ。
前述の重低音に都合が良いのは止まるのが「適度に遅い」だが、これが Kick Pedal の場合「押付け・バネが弱い」のが該当する訳だ。

確かに鳴って直に止まる程アタックが目立って輪郭は明確化するが、意地悪に云えばアタックの倍音がやたら多く低音が無くなってるだけ。
最乱暴にほざけばそんなのだったら最早 Bass (Drum)じゃないよで、他のでもイイんでねだ。
難聴じゃない人に普通は生太鼓の音って爆音な筈で、一聴では音の大きさから来る迫力と過剰倍音の刺激の強さに耳が行く。

勿論誰の好みも否定する気は更々無いが、バスドラらしさの点では「割合が少なくても基音が入ってる」のが唯一の道ですハイ。
生では大音量の迫力で補えてもいざ録ったのを未加工のまま小さ目の音にして聴くと、低音が足りなさ過ぎると大太鼓には聴こえなくなって来ますよ。

さて重低音マニアの俺の実験によると、皮の中心部が微動だに出来なくならない限りかなり Mute しても基音は残るみたいだった。
その割合は相当減って感じられたが、上述「必要な時間的長さ」が確保されてると微かでも残ってた。
だが普通のペダルで馬鹿力脚で無茶な押付け(俺)をすると、No Mute でも低域がお留守になった。

Mute は大抵皮の周囲側からかけるがビータ押付けは中心部、専門用語の分割振動は生き残れても基音生成の動きは妨げられる。
その上クドイけどバネ強だとその分加減する余裕も減るので、もし巧く出来たとしても大変ご苦労さんになるでしょう。
バネ弱や押付け弱は一見止め難そうだがそれは未体験時の想像に過ぎず、多少慣れれば実際の制御はし易くなったのだ。

この普通のペダルでの馬鹿脚力瞬止めが想定外反応になるのは、「強い者同士」の衝突の余波は簡単には収まらないから。
この時の脚はとても硬く固まってるので、僅かにせよ却って反動に正直に反応して動いちゃう。
そして硬いの同士が当たれば余計な音も出易くて、短いバズロール状になって アタックに余計な分身が表れて
結局はボケた

此処迄のアホは力は要って頭はあっちゃイカンので滅多に居ないだろうけど、程度の差があっても現象は同じ。
雨の日にズブ濡れは免れても、傘さしたって大抵どっかがちょっと濡れたりはするじゃない。
これが弱押付け・バネなら車でお出掛けって感じで、濡れる可能性が乗り降り時限定になる様なもんだ。

また皆さんはどうか知らないが俺みたいに踏みっ放しが多いと別問題が生じて、Closed で演りたい場合休符がある時と無い時の音色差が気になって仕方無い。
休符無し時は自動的に Open になるからね、そもそも音創りの調整をどっちに寄せるかだけで悩んで日が暮れそうになる。
Closed が「Closed 過ぎる」と歯切れは良いが存在感が不足し、連打だからこそ粒立ちを目立たせたいのが今度は逆にしか出来ない。

最初は馬鹿だから全力押付け、若かったし叩く時間が短かったから辛うじて出来てたか。
音はヒステリックでちっとも良くないが、録る様な代物じゃなかったから生で大きくするのしか考えて無かった。
その後だんだん時間が延び録る様になる頃には無意識の内に少しは脱力してたが、ここで音色差に悩み始める。

人もペダルも立派に老けた!?頃 Speedking に挑戦する目になって、体だけじゃどうにもならないから漸く少し頭を使わざるを得なくなったのが今。
後は以前の拙ブログに記した通りで、Speedking 以外でもどんな奏法でもなるべく余計な力を抜けると自然に止まるのを知ったんだとさ。

考えてみればコンクリートに球を投付けると跳ね返るけど、フカフカの布団にだとまず跳ね返らない。
のは子供の頃から知ってたのにね、正真正銘のおバカだよねぇ。(´Д`)ハァ…

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