50歳からのSpeedking(ペダルの話)⑱
前回に続きしつこい「バネ話」だが、今回はそれが「押し」か「引き」かを含めもう少し
掘下げてみたい。
従兄から返信が来て、「引きバネの利用のされ方」みたいな話が色々訊けたのだ。
彼の見識は先生だけあって異論は無かったが、俺とは利用の仕方がかなり違うのも
気になった。
師曰く『スプリングの調整は都合よく止まってくれる位置に合わせ・よく使う速さに共振
しやすいスプリングの張力』で、『基本的に引きバネのセオリー』との事だった。
ここからまず気付いたのは現代のペダルの多くは「ビーターニュートラル時の角度設定
」が可能だが、Speedking にはそれが無いに等しい。
バネ共振点も理屈としては存在してる筈だが、通常のバネ強さでは「蹴返し」が遥かに
上回ってるみたいだ。
しかし「無い」からこそ面倒でも「加減も出来る」のであって、何だか現代のペダルが
窮屈に思えてしまった。
「欲しい処だけある・要らない処は無い」だと最初から便利だけど、「一度に全体像」
を捉える事が出来ない。
すると本番には好都合だが練習には不都合で、「それらしい音の出し方」の人間側の
比率が低くなってしまいそうだ。
さて押し引きについては物理学的には相違があるんだろうが、Speedking では俺には
全くこの点での差は感じられていない。
勿論様々な要素の組合せで「持たされた!?」特性なんだが、基本的設計思想の違い
みたいなのの方を強烈に感じさせられてるのだ。
以前述べた通り実際は癖があるのは現代ペダルの多くの方で、Speedking はある
意味「ペダルが奏法より先」だったんだから「味付け」などしようも無かった筈なんだ。
Speedking 登場時に「引き」のも既にあった様だが押しが選ばれた理由は汚損・腐食
防止らしいが、バネ最弱時に外れる心配が無いのも大きい。
邪道で非現実的だろうけど「途中までしかバネが効かない」も可能で、これは引きで
普通の構造だったらまず間違い無く外れてしまうからね。
これで見えて来るのはバネの強弱どちら側に重きを置くかで押し引きを選択すると良
さそうな処で、Speedking でバネ最強にしたらすぐに「カム」が擦り減りそうだ。
実際に欧米人に訊いた事が無くて何だが、日本より体格の良い連中が薄っぺらな胴
の太鼓をか細い棒で叩いてる。
和太鼓は分厚い胴のを極太な棒でなのを見ると、我々より太鼓は「小細工で演る物」
と認識してそうだ。
それなら現代のより貧弱でも力不要で、操縦が大変でもあらゆる奏法がなるべく出来
る様な方向性で御尤もとなる。
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