Eギターと真空管③
前回は Edward Van Halen のスライダック昇圧を検証しましたが、補足も兼ね
て逆にしたらどんな音色になるかをまずは。
この敢えて電源電圧を低下(降圧)させてアンプを鳴らすのは、フルアップの『様
な』音色を小さな音量で得るのに利用されたりしてます。
コレの前段階として全真空管アンプの歪みには、主に2種類ある処からみてみ
よう。
1.プリ部(電圧増幅段)の歪み→過大入力で歪むと 2.パワー段(電力増幅段)
での歪み→過大出力で歪むで、「→」の後部は歪みを実現させる為の感覚的表
現です。
1.の場合プリ部の感度(増幅率)を上げてやれば良いので、一般的には球(電圧
増幅管)の本数を追加して対処されてます。
この方式はおおよそ本数=歪の深さと考えて良く、旨く組めば広範囲に加減が
可能です。
2.の場合は歪みの深さは深く出来ずに浅く、回路設計上の最大出力(音量)に
基づいた状態でしか実現出来ません。(聴感上は大体1.5倍位か)
だがこの音色・反応は真空管以外の素子では再現し難く、それもあって貴重な
部分でもあります。
それで大変魅力的だがとても使いにくく、音量を適正にすべくスライダック降圧な
る方法が編出された訳です。
但しこの方法には色々欠点がありますが、特に後者に御注目。
この接続のままではクリーンサウンド時の音量不足が懸念されるのと、電圧の
相違による増幅率の変動から「音色が少し変わる」等です。
後者を具体的に表せば「マイルド」になる、又は「元気・鋭さ」が劣るです。
Edward Van Halen の全盛期当時のライバルと云えば、畑は少し違うがそれは
やはり Steve Lukather でした。
両者共当時としてはバカテクで歪みは深いが印象は対照的、Edward は「元気に
激しく」で Lukather は「マイルドでスマート」でした。
一般人!?が疑似的に Lukather の様なサウンドを得るには、「降圧」はある程度
有効です。(当時本人は通常この手はしてない)
只両者それぞれがそれぞれの「あの音」になってるのは機材面の相違よりも、弾
き方の相違の方が本当は影響力が大きいでしょう。
彼らの全盛時ですら今と比べたら、楽器類の種類やブランドは圧倒的に少な
かったんです。
最終的には実際やってみて好みに合えば降圧使用も結構ですが、単純に「全開
バリバリや、どうやぁ」とは音色・反応が実は異なってるのであります。
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